マイデリケートゾーン

歴史に残る傑作

マイデリケートゾーン 岩崎う大
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

「キングオブコント2013」王者、お笑いコンビ「かもめんたる」の鬼才・岩崎う大が、混沌とした変態たちの思考を丁寧になぞっていくヤバすぎて笑えてくる短編集。 漫画という媒体で、身体や舞台といった物理的な制限から解放されたコント師の妄想力が行きついたところには、哀しき変態達の楽園が広がっていた…!! 間違いなく、2010年代を代表するサブカル漫画になるであろう超傑作! 変態万歳!人間万歳! かもめんたるさんのコントとか深夜ラジオ好きな人は絶対好きだし、漫画だったら宮崎夏次系、渋谷直角あたり好きな人はぜひ手に取ってみてほしい! とんでもないものを読んでしまった…。 と、もはや放心状態の読後感。 脳髄のど真ん中をクソがこびりついたトイレブラシでゴッシゴシかき回されたような感じ。 読んだ後はしばらく壁の染みを一心に見つめていた。 あの話のアイツがヤバすぎると誰かと早く話したくってしょうがない。 本人のネタを見れば分かるが、かもめんたるさんはワードセンスがずば抜けているので、ひょっとしたら耳で聞くより、絵と共に目で見た時の方が破壊力として凄まじいものがあるかもしれない。 ページめくって最初の短編「イクオの秘密」にガツンと頭を殴られたような思いなので、一旦、コレだけでも読んでもらっていいですか? 試し読み→https://estar.jp/_comic_view?w=24746312 読んで心の琴線がチギれるヤバイと感じたら速攻で購入した方がいい。 他の話も大概ヤバイ。 ヤバすぎて自分の語彙力が無くなっていくのが分かる。 ヤバ面白い短編が11本もあるからもう満足度がすごい! 濃厚で濃密な人間の狂気、業、性(さが)、愛が溢れている。 自分が高校生のときにこれを読んでいたら今とは全く人生を歩んでいるかもしれない。 よかったらこっちの試し読みも→https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784778034061 そんな『マイデリケートゾーン』著者のかもめんたる・岩崎う大さんが出演するライブ&サイン会が9/1にあるから参加してみては? https://peatix.com/event/415349

東京核撃

日本国民は全員読むべき作品

東京核撃 細野史羽
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

核爆弾が東京で炸裂したときどうなるか、どうするかという話。 ヤマザキマリ先生の新作『オリンピア・キュクロス』を読もうとグランドジャンプをぱらぱらめくっていたら目に飛び込んできた東京での核爆発のシーン。 パッと手が止まって読み始め、引き込まれるのにそう時間はかからなかった。 壮絶である。 第一話→http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/tokyo_kakugeki.html 子どもの頃、3年ほど広島県に住んでいたことがある。 わりと大きな小学校で1学年に5クラスあり、すべてのクラスの学級文庫には「はだしのゲン」が置いてあった。 転校してすぐの頃は馴染めなかったのでずっとはだしのゲンばかり読んでいた。 特別授業というものがあって広島市、原爆、戦争の歴史など学び、課外授業で広島平和記念資料館に行ったりして原爆の現実を肌で学んだ。 もう、二度と日本で核に怯えることはないと思い、自分の中ではファンタジー化していた部分もある。 そしてすっかりその脅威を忘れて安穏と生活していた。 しかし、その恐怖が呼び覚まされることになる。 そう、北朝鮮だ。 ミサイルが日本上空を通過した。 まさかと思っていたのに。 そしてJアラートの性能を知ることになった。 この漫画は、東京・永田町に核ミサイルが落ちたことを想定し、その時どこにいて、どの時間経過でどう行動すべきかが描かれている。 これを読んだらJアラートを「どうせまた誤作動でしょ」と切り捨てることなんて出来ようがない。 誤作動だったらそれで良し、まずは自衛のため行動に移すのみと具体的な危機感を持つことができた。 グロ描写もないので読みやすい。 僕は専門家でもなんでもないのでこの漫画がどの程度のシミュレーションの上で描かれていて情報がどの程度確実なものかなんて知らないけど、危機感を持てただけでもかなりの収穫だ。 おかげで生き延びる確率が格段に上がるはず。 あとは普段から自分で調べて行った先々で軽くでいいからシミュレーションして備えることだ。 「東京核撃」が「はだしのゲン」や「サバイバル」のように傑作になり人々に目に触れる機会が増えることを祈る。 いま、北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされている日本国民全員が読むべき漫画かもしれない。