深淵を覗く時 深淵もまたあなたを
ニーチェ曰く 「深淵を覗く時 深淵もまたあなたを覗いている」 19世紀の哲学者であるニーチェは、今の世の中を 想像出来ていたのだろうか? 21世紀の世の中は深淵だらけになっている。 机の上のパソコンに、てのひらにある携帯電話に、 街中の安全確認のための監視カメラに、 いたるところに形を変えて深淵が存在する。 いたるところが深淵ということは、もはやすでに 世界が深淵の中にあるということだ。 いまや世の中は深淵の中に包み込まれている。 覗きこんでいただけのはずの自分が、 いつの間にか覗き込まれており、 しかも、弄ばれていたとしたら? それに気がついたとき、深淵の闇は、 自分から一切の光を奪う。 光は戻らない。 いまや世の中は全て深淵の中だから。