わたしはあの子と絶対ちがうの

想像してたよりも友達になれそうな主人公だった

わたしはあの子と絶対ちがうの とあるアラ子
名無し

冬野梅子さんの「普通の人でいいのに!」がバズった時に似ている作品があると話題になったのがこちらです。その時は読んでなかったんですけど急に思い出したので読んでみました。ちゃんと読んでみると全然違うな…。 「普通の人でいいのに!」の主人公はオシャレなサブカルの世界に憧れてるけど現実の自分はただの普通の人だってことが強烈なコンプレックスになっている話ですが、「わたしはあの子と絶対ちがうの」の主人公は定職なし・未婚・アラサーがコンプレックスの本当に普通の人だったんです。サブカルとか興味もないし、それでマウント取ってくる人なんて大嫌いだったんですよ。でも友達に誘われた飲み会で出会ったフリーライターの男の人と付き合い始めてサブカル沼にハマっていくんです…!むしろ逆のタイプなのでは?でも世間っていう大きな尺度で測れば「サブカルチャーに揉まれて承認欲求をこじらせた女」という1つのカテゴリーに入ってしまうのかもしれない…。 身構えて読みましたがサブカルにハマっていく速度とかSNSに翻弄される様子が面白いし、なんとなく憎めない可愛さがあるので友達になりたいなと思えるような主人公でした。ちなみに本屋でもエッセイ漫画の棚に置かれたりしてますが、あとがきには実話を元にしたフィクションだと書いてありました。

私の彼女

小説家とそのファンの束縛百合…

私の彼女 南Q太 デルフィーヌ・ド・ヴィガン
ANAGUMA
ANAGUMA

ときいて飛びついてしまったのですがことはそう単純ではありません。 ベストセラーを書き上げたあと、スランプに陥った主人公の小説家・ユウが出会ったのは自身のファンを名乗る不思議な女性・エル。お互いの悩みや身上を打ち明けるうちにふたりの距離はどんどん近づいていき、エルは書けなくなってしまったユウに対してゴーストライターを申し出ます。 生活と創作の両側面に入り込んでくるエルの存在。ユウは心身ともに大きく揺り動かされることに…と途中からヤバそうな空気がじわじわ漂い始めて読むのが止まらなくなりました。 ふたりが支え合っている姿に心を温められつつも、何が起こるのか常にゾクゾク…というふたつの意味で目が離せません。 ユウに度々送られてくるストーカーらしき手紙や、エルの性格の掴みどころのなさが洋画テイストといいましょうか、サスペンスの緊張感を演出していてよいです。この辺りの味わいはもしかしたら原作小説の『デルフィーヌの友情』からきているものなのかも? とはいえあとがきにもあるように原作とは物語の進め方がかなり違っているようです。『デルフィーヌ〜』そのものがまさに作家の自伝風に書かれた小説らしく、ユウのキャラクターとも重なってくるところがあり、こちらもどんな作品なのか読んでみたくなりました。

インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~

やっぱ鈴木おさむは天才なんだな

インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~ 鈴木おさむ こにし真樹子
たか
たか

秘密のチャイハロでも思ったけど鈴木おさむは人の悪意とレディコミ・オブ・レディコミみたいな胸糞いじめシーンを描くのが上手すぎる…! 主人公は明るくて気立ては良いけれど、黒髪おさげに眼鏡そばかすという垢抜けなさ全部載せの「ドブス(※と周囲からは言われている)」な女の子。 その笑顔に秘めた才能を買われてアイドルグループにスカウトされ、クラスメイトやグループの仲間からスマホ破壊、食べ物に画鋲など、古典的な嫌がらせを受けながらアイドルとして成長していく物語。 ……今まで生きてきて、ホカホカのうんこ(ちゃんと湯気の漫符が描いてある)に顔面突っ込まれるいじめシーンは流石に初めて見ました。こんなこと書きたくないけど、飛び散り方からどう考えても3人分以上あったよね…どう考えてもやりすぎで最高。 いじめが苛烈だと主人公はメソメソするものだけど、鈴木おさむの主人公はそうじゃない…!全く挫けず目の光を失わない鋼の心を持ってるところが見ていて勇気が湧いてきます。 主人公の絵に描いたように地味なファッションとか、「メガネメガネ…」って探すムーブとか、意図的に古臭く描いてあってB級感が漂ってるところがたまらない。 激しいいじめを耐え抜いてトップインフルエンサーになるサクセスストーリー(昼ドラ風) 要チェックです…! 【追記】 ストーリーだけでなく漫画がとても読みやすく、絵にパワーと可愛らしさがあってすごく好きなのですが、作画のこにし真樹子先生はもしかしてこれが初作品なんでしょうか?気になります。

夫はグレーゾーン 単行本版

予想以上に辛かった 発達障害に悩む大人の物語

夫はグレーゾーン 単行本版 秋野さと
六文銭
六文銭

マイペース、人の気持ちがくめない、会話がうまく噛み合わない、マルチタスクが苦手・・・程度の差はあれど、誰しもあるような問題。 それが重度になっても「障害」と判断されず、かといって「正常」とは言い難いほど生活に影響を与えてしまう。 このような人をグレーゾーンというらしいです。 主人公の夫・優斗はこの層に属しており、生活や職場で諸々迷惑をかけてしまっている状況。 同じようなことが、「ケーキを切れない非行少年たち」でもありました。 判断基準が昔と異なることで知的障害と診断されず、まともに治療されなかった人たちが、社会に出て悩み、苦しみ、結果少年院や刑務所に入ってしまうと。 ともに現代社会の闇ですね。 みんなが普通にできることが自分にはできない その悩みは当人しかわからないもので、上述のように空気が読めないから周囲の人もドンドン離れてしまい孤立していく様は読んでいてシンドかったです。 さらに追い打ちをかけるように、一見優しそうにみえる、主人公の友人が不幸を楽しむクズということ。 もう、救いはないのかと。 結局、誰も助けてくれない様が、世間なんてそんなもんだよな~と そのリアリティさに納得してしまいました。 漫画的に優しくて頼りになるお助けキャラなんて都合よくあらわれないもんです。 みんな面倒な人とは関わりたくないんです。 だからこそ、夫婦で支え合い、助け合っていく感じが際立って良かったです。 奥様にこれだけ大事にされているのは、地獄に仏といった感じでしょうか。 この困難を二人で克服し、強く生きて欲しいです。 この社会に、得も言われぬ生きづらさ抱えている人がいることを知るよいきっかけになりました。