青年マンガの感想・レビュー15410件<<506507508509510>>スキップとローファーの高松美咲さんがSFを描いていたとは知らなかったカナリアたちの舟 高松美咲名無し部活と進路に悩む普通の女子高生である主人公の日常が描かれていると思ったら、いきなり得体の知れない生命体が人類を襲ってきて、目が覚めると地球ではない場所にいた…から始まる物語。スケールはハリウッド並みに壮大ですが、一番の魅力は繊細な人物の心情表現です。あり得ない状況でも主人公に感情移入できるのはここにリアルがあるからだと思います。ある意味で期待を裏切る展開なのがいい!全1巻でまとまりも良くめちゃくちゃ面白いです。エモくて笑える会話劇!久胡先生の新作深海のエイリアン 久胡竣輝たか大学生とアルバイトの男の子が夜中に外で喋ってるだけの話なのに、シリアスとギャグのバランスが絶妙で、最後まで集中して読んでいました。「ただ会話してるだけ」の話を面白く見せることができるって、メチャクチャすごいことだと思います。 セリフも絵もセンスしかない。 前作の、チェイスタグというスポーツ鬼ごっこを描いた読切『CHASE TAG』も面白いのでぜひ読んでください。 次回の作品も楽しみにしています…! https://i.imgur.com/2Ktlqsm.jpg 【週刊ヤングジャンプ2019年42号掲載】 http://jumpbookstore.com/item/SHSA_ST01M02817101938_57.html韻がわかりやすいから分かりやすいギャグ漫画になってるゲット・リッチ・オア・ダイ 水野竜樹名無しラップ漫画って韻(ライム)をどうわかりやすくするかが大事。そんな中、これはすごくわかりやすい韻を選んで、太字にすることでサラッとラップ要素を流して、ギャグに意識を向かせてる。 こういう短編ならそういうわかりやすいラップに終始するってのもありなんだろうなぁと思った。人に取り憑く蟲を葬り去れ!in京都百鬼夜京 松本明澄名無し刀と霊獣を操る二人の高校生が京都で出会い、人に取り付く霊蟲を退治するアクションと、存在感のあるコメディ両方あり、非常に読みやすい。出町ふたばに豆大福を買いに行くくだりとか、京都好きにはおなじみのネタもあり。 転校が多く、人との深い関わりを諦めていた主人公・ゆたかがとにかく平和に暮らしたいという強い気持ちにより上位霊である霊獣を操ってしまうシーンが良かった。 原作と似たテンポ寄生獣リバーシ 岩明均 太田モアレさいろくというか岩明均作品はだいたいテンポが独特で、スピンオフだけどそこが似てて不思議と不満もあんまり無く読めてる。 ifの世界、パラレルワールドだと思って読んでれば全然面白く読めるし、普通に続きが気になって仕方ない…ということで原作『寄生獣』が好きな人は期待していいやつだと思う!ウンチク漫画の決定版減点パパ 古谷三敏マンガトリツカレ男同じ作者のレモンハートの店長に少しヒゲを生やした男が主人公。ちょっとした読み物と日々の生活にウンチクを混ぜ込んだ形で話が進む 作者が「ものごとに突っ込んで解明し、読者にヘェエと思わせるような連載をしたい」と書いていたように読者の好奇心を引くような内容であり1話4ページで完結する寝る前に読むとちょうどいい感じだった 漫画ならではの楽しみこの世界の片隅に こうの史代starstarstarstarstar干し芋料理の素材と作り方のコマ割りが面白い! そして、すゞの描く『鬼イチヤン』も楽しめる♪ 表情が見えづらいから話に集中できるのかも。コスモス 光用千春アリクイお父さんとの二人暮らしをしている小学生の女の子が主人公のマンガ。このマンガは登場人物の表情が見えづらい(マンガに表情があまり描かれていないから)。しかし登場人物の表情を見なくても登場人物の発言やまわりにあるもの、雰囲気などで登場人物の気持ちや、どんな話なのかが何となくわかるような。表情がなかなか見えづらいからこそ、表情以外の表現や話に意識がいく、集中して読むことができる感じがするなと。パッと見は淡白な感じの絵なので好き嫌いは分かれるかも知れませんが。このマンガの雰囲気にハマるとマンガが頭の中に残ります。この感じ好きゲット・リッチ・オア・ダイ 水野竜樹名無しリアルな割に動きを一切感じさせない絵から繰りだされるギャグ、好き。「 オー!マイキー」とか「試験に出ない英単語」とか、こういう芸風なんて呼ぶのかしらないけど、それ系の漫画。 トニー先輩がラップでひたすら税金の心配をしてるだけの話で、サラッと読めてジワジワくる。独特の色気のある人物たちが繰り広げる吸血鬼一族の顛末を見届けよ!ラパス 血族の王国 ジャン・デュフォー エンリコ・マリーニ 山本ゆうじ書肆喫茶mori店主「お前たちの王国は滅ぶ」という謎の落書きとともに発見される変死体。殺人事件を捜査する女警部補ヴィッキーは、人間のなかに潜む吸血鬼一族の抗争に巻き込まれていく… とにかく先のストーリーがまったく読めない。 一族の長老たちは悪人ヅラをしているが、彼らと敵対する赤い兄妹も敵か味方かわからない。 吸血鬼同士の争いに巻き込まれるヴィッキーの巻き込まれ方も、次がどうなるのかハラハラドキドキさせられる…! エンリコ・マリーニは、2019年9月に日本語版が発売された『バットマン:ダーク・プリンス・チャーミング』でバットマンとジョーカーの汗にぎる駆け引きを描いたりもしているが、この方の描く人物がまた独特の色気があるのだ。 ぜひぜひこの闇の一族とヴィッキーがたどる驚くべき結末を最後まで楽しんでいただきたい…! 猫…?猫を拾った話。 寺田亜太朗名無しTwitterで大反響、連載化! 猫?の謎の生態に戸惑いつつも愛情を持って世話する青年・イガイの日常。 https://twitter.com/t_atarou/status/1144153780654501889連載になったら面白そう! #読切応援メンタルリリーブズAI 夜鳥ようかしこ※ネタバレを含むクチコミです。新人類ヤンキーアクションFLOWER 押切蓮介名無し読み終わったあとに作者のTwitterを見て、あ、これヤンキー漫画だったんだ。と思った。 https://twitter.com/rereibara/status/1170956323543908352 四角四面な性格の主人公が忘却するほどの食を追及する悲喜こもごも忘却のサチコ 阿部潤名無し※ネタバレを含むクチコミです。どこまでも救いがないミスミソウ 完全版 押切蓮介starstarstarstarstarウマタロ救いようがないほど登場人物がクズばかりで、陰湿ないじめを受ける春花に同情してしまうが、そこから淡々と恨みを晴らしていくところが逆に怖い。そして唯一の味方だと思っていた晄君までもが、歪んだ愛情を持ったサディストだったという・・・どこまでも救いようがない話なのに、一度狂気に当てられたらもう読むのをやめられない。スーパーバッドエンドまで一直線で向かうべし。誰彼構わず死んでほしい、と願ったことがある人であれば何かしら思うことがあるはず。どんな家庭もこうあればいいうちの息子はたぶんゲイ おくらnyae自分の身内が同性愛者だとわかったとき、多少の戸惑いは当然あるとしても、否定しない・踏み込まないというのを守ればこの漫画の家庭のように平和なんだろうなと思う。 「この母親が自分だったら」と考えると、息子の良き理解者でありたいと思うあまり必要以上に踏み込んでいきそうだな、と感じました…。そういう意味でも、もしもの時はこうありたいという見本になります。 単身赴任してほとんど家にいない父親は息子の性指向を知りませんので、本人の前で「男同士の恋愛は気持ちが悪い」や「普通の男はこうであるべき」などと語ります。 そこでこの母親は、困惑する息子を気遣いながらも片方を否定するのではなく「色んな人がいていい」といったようにやんわりと場の空気を平穏に保つのです。また、大人しくて何も考えていないような弟も、時たま遠回しに兄に助け船を出したりと、この人達なら大丈夫だなという安心感が得られます。 当事者(身内の同性愛が発覚した、性指向を家族に隠しているなど)のひとはこれを読んでどう思うだろう。やっぱり理想的な家庭なんだろうか。 沖縄の文化や歴史、気質はいさい新聞文化生活部 ひらまつおさむ 高津太郎マウナケア観光ガイドっぽい作りか?などと思ったら、これがかなり読ませてくれる、若者の成長物語でした。就職に失敗した主人公・我如古(がねこ)六郎が母の勧めで沖縄旅行に行き、ひょんなことから地元の弱小新聞社で働くことになるというストーリー。この六郎が少しずつ成長していくきっかけになるのが、沖縄の文化や歴史、住民の気質。文化部の一員として自分で取材し、考えることで、自分の中の何かが変わり、沖縄の本質も見えてくるという筋立てが絶妙です。基地の問題や、離婚率の高さ、仕事の少なさなどに首をつっこんでも、これが沖縄だ、引っ込んでろと言われることも度々。それに対処する六郎の立ち位置も考え抜かれています。また、取り上げる風習も、キジムナーが住むガジュマルに対する地元民の想いだとか、一見ゴミのように見えるけれど魔よけの”さん”だとか、女性の手に入れる”ハジチ”という刺青の意味など、沖縄に精通していないとわからないことばかり。沖縄について知る意味でも、単なるガイド本より、よっぽどこの漫画のほうがためになるんじゃないでしょうか。近未来SF仕立てな哲学的作品説得ゲーム 戸田誠二マウナケア近未来SF仕立てで、森博嗣や瀬名秀明の小説などと同じ理系の雰囲気を漂わせた短編集。なのですが、作品全体として投げかけているのはむしろ”哲学”な印象を受けました。生きること、もしくは生きていくこと、というか。それが、脳を入れ替える手術や男性の出産、そして表題となっている自殺志願者を思いとどまらせるゲームなど、奇抜なアイデアの中でうまく主張されているのです。このテーマを一番感じたのは、「キオリ」という作品。自殺をはかった女性。だがその脳は無事。研究員たちは実験のためその脳を人工的に培養し、意思の疎通をはかる…。研究員の生い立ちと、女性の人生観を照らし合わせながら淡々と進むストーリー。それでも生きていく、ではどう生きるのか、と考えさせられ、ラストの漠然とした語りが切なさを倍増してくれます。他の作品でも、形は違えど同様な試みがなされているのでそれぞれの味わいを感じてみてください。あ、「タイムマシン」だけは違うかな? でも自分もタイムマシンがあったらこれはやってしまうかも。とても心地の良い探検散歩もの 谷口ジロー 久住昌之マウナケア散歩、というか探検なのかな? 今はもう無理ですが、昔は2年ごとに引っ越しをしていて、そのたびに新居の周りを歩き回っていました。人が多く住む場所には必ず商店街があって、眺めて歩くだけでも楽しいし、ちょっと大通りを外れると、雰囲気のある喫茶店やカウンターだけのおいしいラーメン屋を見つけたりして、得した気分になったり。ワクワクしながら半年くらいかけて歩き倒したものです。そんな経験があるせいでしょうか、この作品の世界観はとても心地良いものでした。勤務中の空いた時間や休日に、主人公が歩いた都内各地。吉祥寺や井の頭公園など、人気スポットではあるけれど観光目的ではなく、あてもなく歩いておもしろそうな路地があったら横道にそれる。そこには時代にとらわれない一角があったり、懐かしきものがあったり。ただ淡々と描かれた八話の小編ですが、なかなかの掘り出しものです。欲を言えばあとがきにある中野ブロードウェイの屋上庭園も描いてほしかったですが、これを読んだ後ではあてもなくという趣旨に反してしまいますね。少し残念。 アニメもよかったけどヒナまつり 大武政夫starstarstarstarstar_borderさいろくこの謎の空気感はマンガにしかなかった。 ギャグマンガというか宇宙人女子高生たちとヤクザの日常マンガ。 メインヒロインのヒナより圧倒的にアンズや瞳ちゃんが人気の本作はスルメ的に味わえて繰り返し読める。好き。本当に面白い夜明け前に死ぬ 大北真潤名無し最近の漫画とかじゃなくてストーリーが色々膨らんで面白すぎる! ぜひみなさんにも読んでもらいたい訳がわからないけど読みごたえはかなりある足摺り水族館 panpanyaアリクイおつかいで渡されたメモの中に解読不可能な一文を見つけ、その一文であろうものをさすらいながら探す「完全商店街」、自由研究で自動販売機の観察をしていたら自動販売機の予想外の秘密を知ってしまう「マシン時代の動物たち」など、panpanyaさんの何を狙っているのかわからないけどこだわり、さすらい、色々なものへの執着心は(理解しようと思えば)わかる。赤瀬川原平的な感じがするマンガ。手応えはよくわからないのですが読みごたえはかなりあります。 もう少し続きを読みたかった大正野郎 山田芳裕マウナケア久しぶりに山田芳裕のデビュー作を読み返してみました。う~ん、絵はおどろおどろしいですけど、気持ちのいい作品という印象に変わりはありませんね。主人公は大正時代を愛する大学生・平徹。変人で一般人とかなりズレた行動を取りますが、憎めない男で基本、イイ奴。脇には平の下宿先の娘でニコニコ顔の癒し系・由貴ちゃんや、平の隣の住人で典型的遊び人の佐山が控えており、彼らの生活する日常が、ほほえましく描かれています。人物にヘンな裏表はなし。そして一本気な男を肯定する目線がいいんですよね。賄いつきの下宿という設定も絶妙で、下宿のおじさんおばさんを交えた食卓シーンなどは、大正と昭和を融合させた、何とも言えない良い味を出していると思います。最終回も作品全体の雰囲気を凝縮した「平、よかったなあ」というお話。自然に平を応援してしまうと思いますよ。ちなみに3巻へ続くと最終頁にありますが、紙の単行本も出ておらずこの作品はここで完結。もう少し続きを読みたかったかなあ。だからも“シモ”なのか…もシモ、君と話せたら 振子やくも名無し吃音というハンデをテーマとしながらも、笑いながら読める。 人前で喋らない代わりに股間が喋ってくれる男の子と、そんな彼を大きな愛で受け止めるかわいい彼女の話でした。 股間がコッテコテの関西弁で喋るから、二人の間におっさんがいるのかな?という感じ こういう美麗な絵柄なのに遠慮なしのギャグを描く漫画、大好物です。<<506507508509510>>
部活と進路に悩む普通の女子高生である主人公の日常が描かれていると思ったら、いきなり得体の知れない生命体が人類を襲ってきて、目が覚めると地球ではない場所にいた…から始まる物語。スケールはハリウッド並みに壮大ですが、一番の魅力は繊細な人物の心情表現です。あり得ない状況でも主人公に感情移入できるのはここにリアルがあるからだと思います。ある意味で期待を裏切る展開なのがいい!全1巻でまとまりも良くめちゃくちゃ面白いです。