青年マンガの感想・レビュー15405件<<455456457458459>>斜陽の国が舞台の巧妙なストーリー、そして「動く」マンガ東独にいた 宮下暁いさお「東独にいた」は、解体前夜の東ドイツで発生するテロをめぐる群像劇です。ヤンマガサードで連載しています。 主人公アナベルは軍人です。彼女は小さな本屋の店主、ユキロウに想いを寄せており、足繁く本屋に通う乙女な一面がある一方で、軍人として、テロリストを束ねる反政府組織との壮絶な戦いに身を置いています。 しかし、彼女はもちろんこのことを知りませんが、ユキロウこそ、実はその反政府組織の総指揮官なのです。 本作が描くのは、そんな2人の捻れた関係です。 アナベルは、軍人である自らの所業を肯定するために、斜陽の祖国を愛そうとする。 ユキロウは、祖国を愛するがゆえに、自らの信念に従って、斜陽の祖国を断罪する。 だから、アナベルは、愛国心を裏に秘めたユキロウたちに一種の憐憫を覚えてしまうし、ユキロウは、自らを肯定したい気持ちを裏に秘めたアナベルに、不思議な共感を抱いてしまうのです。 しかし、アナベルとユキロウは、もう引き返せないほどに、互いに相容れない立場に捉われてしまっている。 そんな先の見えない2人の行方に、いつのまにか目が離せなくなっていくのです。 また、本作の魅力は、こうした巧妙なストーリーだけではありません。 もはや「マンガであること」をやめかけていると言っていい独特な表現技法も、本作を語るに欠かせない特徴の一つです。 まず、本作のコマ割りは、非常に「動画性」を意識しているように思われます。何コマも連続して、同じカメラ視点から同じキャラの動きを描く場面が頻繁にあり、パラパラマンガのようにキャラが動いて見えるのです。 また、そのコマ毎のキャラの動きを大きくすることで、瞬間移動のような速さを表現するとか、逆にコマ毎のキャラの動きを極端に小さくして、その間に心の中でのセリフを大量に入れることで、そのキャラの思考の速さ、スローモーション動画のような感覚を覚えさせる、といった表現が多くとられています。 そうした表現に、これまた本作に特徴的な絵の簡素な雰囲気や、白黒を基調とした陰影に溢れた色遣いが重なってくる。 そんな本作を読んでいると、まるで往年の白黒映画を鑑賞しているかのような、静止画である「マンガ」ではおよそ体験しえないはずの不思議な感覚に捉われていくのです!この表現体験、一度は皆さんに味わっていただきたいです! 内容、表現、ともに一級品の作品です。 2019年末に1巻が出たばかりと、すぐに追いつけます。ぜひ、手にお取りください!!なんか…エッチだ…さわれないのよ、さわこさん 松林佑名無し※ネタバレを含むクチコミです。クスッと笑い、元気になる!!新しい上司はど天然 いちかわ暖starstarstarstarstar干し芋この上司、なんて癒やし系なんでしょう!! そして、とってもキュート♡ 職場にこんな上司がいたら、仕事が楽しくて仕方がない。 母性本能を擽られまくりです♪ 読むと肩の力が抜けてふっと軽くなる。 オススメです!!湾岸戦争バージョンCat Shit One JP 小林源文さいろく「黒騎士物語」で名台詞を量産した小林源文先生のフルCGアニメ化された作品としても有名な「Cat Shit One」の湾岸戦争ver。 戦地では実際どうなのかわからないがプライベート・ライアンとか観たあとに読むと意味がわかってなかなかヤバい。 内容は女子には一切理解されないであろうガッチガチの戦争モノであり、見た目が可愛くなかったら一般受けも全くしないだろうし、かわいいのに一般受けしないレベルのガチだと思う。 結構なシリアスさだけど命の大切さや戦争が如何にヤバいか(核もさながら劣化ウラン弾とか生物兵器とか)もわかるし、専門用語がいっぱいあるけど「了解(コピー)!」とか余計な知識がいっぱい増える。こういうのは真似したくなるので読んで真似しよう。ラインスタンプもあるぞ!(ラインスタンプは黒騎士物語の方が推し) ちなみに自分はあまり戦争に明るくないのですが、ウサギが米人、クマが露人、中東はラクダみたいな感じで描かれている程度の認識で読んでおりハッキリ理解してませんので違ったらご指摘ください。 ネズミはなんだろね。 にしてもCGアニメが話題になったのが10年前…なついぜ お色気シーン満載の水球マンガハンツー×トラッシュ こばやしひよこ名無し高校水球部に入った浜路洋平の部活動を中心に描いていますがそこまで真剣なプレイシーンは多くないです。ワイワイ部活をふざけながら楽しんでる青春部活ものって感じ。女子と男子が同じプールで練習しているのでセクシーな女子生徒のサービスショットがたくさん見れます。度々胸や下半身が丸出しになるシーンもありエロに関しては攻めてます。深夜のテレビでやってた水着企画モノとか好きな人間にはたまらんです。ストーリーの内容が暗いテセウスの船 東元俊也 東元俊哉名無しストーリーの内容が暗い。主人公の母親が昔ながらの人という感じで、すごく弱腰だし、長いものには巻かれる事なかれ主義で、この人がもっとちゃんとしてれば主人公の人生も違っていたかもしれない。全体的に絵がきれいだったのが救いで読み進めることが出来た。ちょっとエロいマジックっていいよね手品先輩 アズ名無し手品が大好きな先輩が、後輩の男の子に手品を披露する日常系漫画。しかし先輩はかなりのアガリ症で、マジックを披露するたびに何かしらのハプニングが起こり失敗してしまうポンコツさを兼ね備えており、奇抜なファッションも相まってエロハプニングを連発するのであった…。先輩の巨乳が過ぎるので、手品よりそっちばかりに目がいってしまう(笑) トラ子が強烈工業哀歌バレーボーイズ 村田ひろゆきstarstarstarstarstarウマタロまず、はじめにこの作品はスポーツ系の漫画ではありません。 最初は多少やってますが途中からバレーボールはほとんどしなくなります。 工業高校に通う不良3人組の青春ギャグ漫画で、男子校であるが為に、いかに女の子とエロい事をしようか、常にHなことばかり考えてばかりいる日々を描いてます。 めちゃくちゃ強烈な女キャラ「トラ子」が出てくる辺りから、面白くなってくるのですが…。 吐くほどエロネタが出てくるので、かなり読む人間を選ぶ下品なマンガです。でもこういうテイストが好きな人ならめちゃくちゃハマると思います。完結そしてアニメ化からの初見ドロヘドロ 林田球mampuku誠に恥ずかしながら今まで読んだことが無かったのですが、アニメ化したしいいタイミングと思い手を出しました。 後出しジャンケンみたいな感想になってしまいますが、今となっては人気のある良作と知った上で読んでいるので確かに面白く感じます。キャラクターも個性的で好きだしそれ故に先も気になります。 ただ絵が粗くて見づらかったり、台詞回しや画づくりが型にはまっておらず読みにくかったりする短所もあり一筋縄ではなかったです。近年は「進撃の巨人」「呪術廻戦」「ファイアパンチ」「チェンソーマン」など絵は粗いけど独特のリズム感と強烈かつディープなストーリーが魅力なヒット作が増えてきたことがもしかしたらドロヘドロ再評価→アニメ化の遠因だったりするのかもなぁなんて勝手に想像しました。 2巻まで読みましたが恵比寿が自由すぎて見てて楽しいです。 また読み進めたら書き足すかもしれません。賛否両論のラスト最終兵器彼女 高橋しん名無し最終兵器彼女は当時の連載環境を含めても、戦略も内容も非常にセンセーションなものでした。 まず高橋しん先生が作者でこのタイトルだから、あまったるいラブコメだと誰もがそう思っていたでしょう。 しかし、あの一話で読者はみんな度肝を抜かれたのです。世代も二周くらいしてしまいましたが、今で言う「まどマギ」くらいの衝撃がありました。 メルトダウンが起きた日本を描いたIFの物語COPPELION 井上智徳名無し※ネタバレを含むクチコミです。一人暮らしコタローと住人の日常。コタローは1人暮らし 津村マミ名無しとあるアパートに小さな男の子が引っ越してきます。しかしその子は1人暮らしでした。もし自分が実際にそのアパートにいたら不思議な感じがしますよね。 その子はアパートの住人たちを巻き込みながら、着実に1人暮らしをしていきます。そして今まで知らなかった住人同士もそれぞれに関わっていくことになります。男の子はなぜか上から目線なんですが、それが可愛いんです。優しい所は優しく、しっかりしているようで子供らしい。ホントに可愛いです。ときどき見せる「やんごとない感」が素性に何か関係があるのかな?と思わせてくれます。 次はどんな問題が起きるんだろうと楽しみになります。アッと驚く最終回代紋<エンブレム>TAKE2 渡辺潤 木内一雅TAKE2題名の通り、ヤクザ漫画になります。 物語は、自分の子分だった奴から鉄砲玉を命じられるくらいに、しがないヤクザの主人公が、逃げる途中で自滅して死んでしまうところから始まります。 そこから目覚めると、10年前に戻っており、10年間の経験値を生かして、ヤクザとしての人生を再度やり直していくストーリーになっています。 個人的にはヤクザ漫画があまり好きでなかったのですが、この作品を一度読んでしまうと時間が経つのを忘れてしまうくらい熱中して読んでしまいました。※グロいシーンは結構多めなので、苦手な方は気を付けてください。 登場人物が非常に多くて、名前と顔を覚えるのが大変です。また、作品中でめちゃくちゃ人が死ぬ為、キャラクターの記憶が曖昧になり、読み進めていくのは非常に時間がかかるかもしれません。※個人的にはそこも魅力の一つだと感じていますが 最後には、アッと驚くクライマックスを迎えますので、気になる方は一度読んでみることをおススメ致します。 カン違いだとカン違いしていたとカン違いさせる漫画?ぐりこカミングスーン 赤堀君名無しひーくん(恋人)は100年に一人の天才ロッカー! 将来は絶対に武道館を満員にする! いまは、ひーくんを支えるために私が稼がなきゃ! ・・ごめんね、ひーくん。 アナタのために私は悪魔に魂を売るわ。 アナタが「日本の音楽シーンを支配する悪魔だ」という その悪魔(アイドル)に今だけバイトでなるわ! 「ぐりこカミングスーン」は 間違いなくバカップルのカン違いコメディ物語なんだけれど、 才能があるのに気がつかないで苦労をしているという、 ある意味で贅沢なバカップルのお話だ。 「無能なこと、無意味なことに気がつけよ!」ではなく 「有能なこと、才能を無駄遣いしていることに気がつけよ!」 とツッコミたくなる物語だ。 なぜそこで、そうカン違いする! と思いつつ読んでいたのだが、 読んでいるうちに「アレ?」と思う部分が ダンダンと増えてくる。 カン違いロッカーのひーくん。 カン違いアイドルのぐり子。 ロックやアイドルそれそれを崇拝するファン。 スカウトマンやマネージャー、プロデューサーなど業界人。 それらの日本の音楽シーンの全部に対して、 「お前らみんなカン違いしてるよ」と ディスって笑いにしているような漫画だと思って読んでいったが、 実はそう思った自分こそカン違いをしていたのでは?と ジワジワと思わせてくる漫画だった。 ピザ屋でバイトした後に 「あの大空にピッツアをひろげ~」 と唄う、ひーくん。 それを見て 「ひーくん、かっこいいかも・・」 と思ってしまった。 それこそカン違いかもしれないけれども。恋のショートオムニバス恋、ヒトゴトに及ぶ タカハシノブユキstarstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)青春ショート群像劇! 初回掲載は、第1話13pと第2話8pの一挙掲載! 1話と2話だけではまだどう進んでいくのか判断できないけど、やわらかくてシンプルめな絵でお洒落な演出でいい感じの雰囲気だと分かる。 恋と縁が繋がっていくんだろうなー。 モーニングで読んで、連載したら絶対読もうと思ってたタカハシノブユキ先生の連載が、「ヤングキングアワーズ」で早くも始まって嬉しい!! 『目移り男の結論(モーニングTHE GATE 大賞)』 https://comic-days.com/episode/10834108156703719878 雰囲気的には、わりとしっとりめに描いているので過去の読切だと『目移り男~』よりは、『ツキミソウ』の作風に近いかもしれない。 http://www.moae.jp/comic/chibasho_tsukimisou 2話目のコンビニでは、ホットの飲み物と冷たい牛乳を一緒の袋に入れていて、おや?と思ったけど、きっと店員さんが動揺してしまったというさりげない演出が効いてる!く~! 少し切なく恋の矢印が数珠つなぎになっていくんだろうか。 とりあえず次回をまた楽しみにして待ちます。画力と繊細なトーンワークに裏打ちされた演出力恋は雨上がりのように 眉月じゅんTKD@マンガの虫表紙の目ヂカラに心を掴まれてジャケ買いし、内容を読んでさらに心を掴まれました。とにかく画力を活かした演出が抜群です。 キャラの作画はCLAMPの目ヂカラと矢沢あいのフェミニンな細身のシルエットを見事に融合させており奇跡的なバランスで成り立っています。 そして手の細かな演技や表情付けなどは週刊漫画とは思えないほど繊細に描写されており手の動きだけでキャラの悲痛な感情が伝わってきます。 背景に関しては繊細なトーンワークによる光の表現が特に素晴らしく、この現実感のあまりないキャラたちを違和感なく世界に溶け込ませています。 さらに、シリアスとギャグの配分が非常によく。80〜90年代のサンデーが好きだった人にはたまらない配分になっていると思います。店長がパトレイバーの後藤さんに似ていますがその辺りの感覚はパトレイバーに近いと思います。 ストーリーに関しても初めての挫折を経験した少女の鬱と中年の危機に差し掛かったおじさんの鬱という2種類の鬱を恋愛という誰にでもわかる主題を使いながら見事に描き切っています。 少女漫画が好きな人、そして少年漫画が好きな人、もちろん青年漫画が好きな人、どの層の人にもお勧めできる恋愛マンガです! 童話ですね童話 G-CATS 安彦晴starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)ここ最近、安彦晴さんのマンガがスペリオールよく載ってて嬉しいです。 逆張りしてしまう尖り男が本当は巨乳が好きなのに好きじゃないと言っては巨乳好きな神様がお怒りになってやっとできた彼女さんのGカップを猫にしてしまう話。 全体的にとても可愛らしくて、男には狙い通りイライラさせられるけど最後ちょっとほっこりな童話的で素敵な話でした。 しかしデフォルメされつつも線が妙にエロいのがまたよかったです。「龍捕り」という職業としての群像劇空挺ドラゴンズ アフタヌーン編集部 桑原太矩名無し現在、アニメが絶賛放映中ということで読んでみた。取り上げられ方としては、流行の「ファンタジーと美食」というジャンルで推し出されていた気がするが、それは一端でしかない。ミカという主人公は配置されているものの、エピソードごとに中心となるキャラクターは決まっており、物語が展開される。そこに通底しているのが「龍捕り」という職業。彼らの生き様それ自体が物語となっており、ドキュメンタリーのように生き方に触れられるのが魅力だと思う。味だけではなく経営まで視野に入れたラーメン漫画ラーメン発見伝 久部緑郎 河合単名無し味だけではなく経営まで視野に入れた成功するラーメン店とは何か。 単なるグルメ漫画ではなくラーメンがどうすれば職業として、ビジネスとして成り立つかを1サラリーマンの目からとらえた過去にないグルメ漫画です。 もちろん主人公のラーメン屋としての成功を描くサクセスストーリーでもあります。ラーメン屋として、ビジネスマンとして成功していく姿はサラリーマンの励みになると思います。 トーチは本当にいい仕事をする近所の最果て 澤江ポンプ短編集 澤江ポンプ影絵が趣味リイド社のトーチは本当にいい仕事をするよなあ、と、毎度のこと唸らずにはいられません。新人の漫画家は雑誌の読み切りからデビューするという漫画界の定石を覆さんとしていますよね。そればかりではなく、やんごとなき事情で誌面にはどうも上がってこられなさそうな才能であったり、何らかの理由で表舞台には立とうせずアンダーグラウンドの世界に留まっている才能をまさに一本釣りですよ。 初期の窓ハルカさんなんて凄まじかったですよね。パースもヘッタクリもない、そもそも立体が描けていない小学生みたいな絵なんですけど、それをそのまんま載せちゃう。でも、すごい面白いんです。そのほかにも、セミ書房は『架空』の仙人たちというか怪人たち、川勝重徳と斉藤潤一郎の首根っこをしっかり掴んでいるのにも感心する、たぶん大変な気苦労があることでしょう。 そんなこんなで澤江ポンプ。初期の作品集ということもあってか、まだ絵自体は浮気がちで、よしもとよしともじゃないですけど、好きな漫画をよこに置いて描いてるんじゃないかなあという感じ。でも、絵は他人のものでも、このひとは漫画の呼吸をあらかじめ知ってしまっている。どんなに絵に個性があっても馬のエサにもならん漫画しか描けない漫画家が大勢いるなかで、この才能は群を抜いていると思います。とくに、二話目の『夜明けの未来ちゃん』が素晴らしかった。たぶん、黒田硫黄の漫画をよこに置いて描いたんでしょうけど、それ以上に野球マンガならでは呼吸をあらかじめ知ってしまっている。最後は縦に大きく割れるカーブでアウトを取るわけですけど、肝心の曲がっているところは見せないんです。でも、スゲえ! となる! これぞ野球マンガの呼吸!教養として一刻も早く読むべき本の一つ戦争は女の顔をしていない 小梅けいと 速水螺旋人 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチmampuku 小梅けいと先生を知ったのは小説「狼と香辛料」のコミカライズ版だった。可愛らしい絵柄とは裏腹なディープで骨太なストーリーのライトノベルの名作だ。小梅氏の繊細なタッチで描かれた漫画のヒロインの少女もまた、目が大きく髪が柔らかそうで、氏の描く少女の魅力は年月を経てジャンルすら異なる本書「戦争は女の顔をしていない」においても発揮されている。 本書に登場する女たちの多くは実際、戦争当時は少女だった。洗濯兵、衛生兵、狙撃兵……彼女らは様々な戦場で活躍し、そのいずれも悲惨で過酷で血の死にまみれていた。 漫画や映画で描写される戦争はいつも凄惨だが、本書の特筆すべき点はやはり女性特有の(身体的、社会的)苦悩であったり、敵であれ味方であれ「人間同士である」ということが強く感じられるような心の触れ合いが描かれている点であると私は思う。この本の中の戦場では、女たちは男性に馬鹿にされまいと奮闘し、時に自身が女性であることを呪い、時にハイヒールやスカートに密かに憧れ、自らの足跡を経血で文字通り赤く染めながら行軍する。同僚の男たちとしばしばぶつかり合うが、しかし最終的には人々は互いにリスペクトしあっている。本書は原作者・スヴェトラーナによる従軍女性へのインタビューと、それを受けての生存者である女性たちによる回想で構成されているため、文字の大半が彼女らのモノローグからなる。おそらくは部分的に美化された記憶であるだろうことは想像できる。戦場の凄惨さと精神的に前向きな美しさの奇妙なコントラストが、小梅けいとの美麗で繊細な絵柄によって際立つ。戦争ドキュメントと、美少女を得意とする作家、一見ミスマッチにみえる組み合わせだがまさか狙ってやったのだろうか……?読み味が独特すぎて、新鮮さに痺れる。あの有名な「片隅」ともある意味では共通する面白さがあるかもしれない。10巻一気読みをオススメする!罪と罰 落合尚之名無し※ネタバレを含むクチコミです。 独りになったお父さんにまさかの青春カムバック青春お父さん 藤末さくら名無し妻が亡くなってから一人娘が自立するまで頑張ってきたお父さん。 ひとり暮らしが始まった今、どう暮らしてゆけばいいか迷っていたときに、かつて若い頃に追いかけていた元アイドル・ゆりあと競馬場で奇跡のように出会う。 終活も考えていたけれど、ゆりあとの距離もいっきに縮まり、心には青春時代のときめきが舞い戻ってくる。こんな夢みたいなことがあるんだろうか…な第一話。 「オオカミの住処」「あのコと一緒」など女性誌で活躍してきた藤末さくら先生の新連載。新天地・グラジャンむちゃでどう展開されるのか…注目してます!世界一エロティックな漫画その男、甘党につき えすとえむ野愛飯漫画における料理の力は相当強い。道を間違えた人が生き方を改めたり、仲違いした夫婦や友達が絆を取り戻したりというのが日常茶飯事だ。 そこまでの力を日常生活で実感することはなくとも、香りや味で記憶が蘇ることは割とあるんじゃないかと思う。いわゆるプルースト効果ってやつ。 もしかして、味覚や香りが経験したこともないような甘美な記憶を生み出すこともある? 少なくともこの作品を読めば、味わったこともないような官能的なショコラの味を呼び起こすことができます。 ショコラを食べたあとに挟まるエロティックな描写も実際の出来事ではなく味の比喩として描かれているんだろうな、と思っている。 ジャン=ルイがそこにいれば、ヌテラのクレープも板チョコも至極のショコラに変わるのかも…? 結局のところ、ショコラそのものよりもジャン=ルイが纏うショコラの香りに惹かれてしまったんだろうな…。 <<455456457458459>>
「東独にいた」は、解体前夜の東ドイツで発生するテロをめぐる群像劇です。ヤンマガサードで連載しています。 主人公アナベルは軍人です。彼女は小さな本屋の店主、ユキロウに想いを寄せており、足繁く本屋に通う乙女な一面がある一方で、軍人として、テロリストを束ねる反政府組織との壮絶な戦いに身を置いています。 しかし、彼女はもちろんこのことを知りませんが、ユキロウこそ、実はその反政府組織の総指揮官なのです。 本作が描くのは、そんな2人の捻れた関係です。 アナベルは、軍人である自らの所業を肯定するために、斜陽の祖国を愛そうとする。 ユキロウは、祖国を愛するがゆえに、自らの信念に従って、斜陽の祖国を断罪する。 だから、アナベルは、愛国心を裏に秘めたユキロウたちに一種の憐憫を覚えてしまうし、ユキロウは、自らを肯定したい気持ちを裏に秘めたアナベルに、不思議な共感を抱いてしまうのです。 しかし、アナベルとユキロウは、もう引き返せないほどに、互いに相容れない立場に捉われてしまっている。 そんな先の見えない2人の行方に、いつのまにか目が離せなくなっていくのです。 また、本作の魅力は、こうした巧妙なストーリーだけではありません。 もはや「マンガであること」をやめかけていると言っていい独特な表現技法も、本作を語るに欠かせない特徴の一つです。 まず、本作のコマ割りは、非常に「動画性」を意識しているように思われます。何コマも連続して、同じカメラ視点から同じキャラの動きを描く場面が頻繁にあり、パラパラマンガのようにキャラが動いて見えるのです。 また、そのコマ毎のキャラの動きを大きくすることで、瞬間移動のような速さを表現するとか、逆にコマ毎のキャラの動きを極端に小さくして、その間に心の中でのセリフを大量に入れることで、そのキャラの思考の速さ、スローモーション動画のような感覚を覚えさせる、といった表現が多くとられています。 そうした表現に、これまた本作に特徴的な絵の簡素な雰囲気や、白黒を基調とした陰影に溢れた色遣いが重なってくる。 そんな本作を読んでいると、まるで往年の白黒映画を鑑賞しているかのような、静止画である「マンガ」ではおよそ体験しえないはずの不思議な感覚に捉われていくのです!この表現体験、一度は皆さんに味わっていただきたいです! 内容、表現、ともに一級品の作品です。 2019年末に1巻が出たばかりと、すぐに追いつけます。ぜひ、手にお取りください!!