うつ病になってマンガが描けなくなりました

これはひょっとして相原先生の最高傑作なのでは…?#1巻応援

うつ病になってマンガが描けなくなりました 相原コージ
toyoneko
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「かってにシロクマ」「コージ苑」「サルまん」「真・異種格闘大戦」「ムジナ」などの名作・怪作を作り続けてきた相原コージ先生による実録エッセイ漫画です。 タイトルのとおり、自身がうつ病にかかった様子を描きます。 アイデアが出なくなり、マンガが描けなくなったので、あったことをそのままマンガに描いている…らしいのですが、その結果生まれた本作は、相原先生の最高傑作になりそうな予感のする作品です。 これまでの相原先生の作品は、良くも悪くもクセが強くて、フィクション感も強いものでした。 しかし本作は違います。 ものすごく、リアルなのです。 何しろ事実をそのまま描いてるのだから。 しかも相原先生は、うつ病のときの思考や感情を、おそらく本当にそのまま描いているようで、読者はそれをそのまま追体験できてしまいます。その破壊力たるや。 また、これは、キャリアの長い現役漫画家である相原先生だからこそ生み出せた作品でもあります。 うつ病を扱ったエッセイ漫画作品は数多く存在します。 しかし本作は、その中でも、漫画としての完成度が圧倒的に高い。ストーリーがあって、起伏があって、感情がこもっている。 こういう表現が適切かはわかりませんが、「面白い」のです! 実験漫画ばかり描いているイメージの強い相原先生ですが、こんなにも漫画力が高かったのかと、改めて実感させられます。 オマケにクセが弱くて読みやすい! これも、これまでの相原作品とは異なる点です。 つまり本作は、相原先生の漫画力が存分に発揮されながらも、読みやすくリアルなうつ病エッセイ漫画でして、これは…きっかけがあれば大いに売れますよ! 未読の方はとりあえず無料公開分だけでも読んでみることをオススメします。 https://comic-action.com/episode/3269632237294896715 #マンバ読書会

降り積もれ孤独な死よ

予想つかないスリリングな展開にひきこまれる

降り積もれ孤独な死よ 伊藤翔太 井龍一
六文銭
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4巻なのですが一瞬でとけました。 ミステリーやサスペンスって、自分はちょっとダレることがあるのですが、(注:内容が悪いのではなく、自分のIQが低いので登場人物が多すぎると覚えられない、展開が理解できないといったことがしばしば起きることによる)本作は、全くそんなことなく、4巻まで一気にいってしまった。 とある別荘の地下で見つかった大量の子どもの遺体。 この別荘の主人である「灰川十三」に対して、児童虐待の容疑で捜索依頼が出される。 しかし、捜査を続けていくと、そもそも彼は身寄りのない子供や、実の親から虐待を受けていた子供を預かり育てていたことが判明。 その証言をしたのは、かつて彼に育てられたという子供たち。 皆一様に、父として慕い、子供を殺すようなことはしないと言う。 では一体だれが、何のために? 別荘の死体 灰川十三の正体 彼をかばう子どもたちの真意 とにかく謎が多いまま進むのですが、息もつかせない怒涛の展開で、 特に、灰川を探す→灰川が出頭してくる→!!(※ネタバレなのでふせます)の流れは、予想もつかなくて、何度もみてしまいます。 毎巻ビビらされますし、終わり方も気になって、とにかく先がきになってしょうがないです。 ついに、灰川の生い立ちまでたどり着き、どことなくクライマックス感が高まってきましたが、展開によってはまだまだ続きそうで、早く真相が知りたいような、終わってほしくないようなもどかしい気持ちで読んでおります。 いずれにせよ続きが気になってしょうがないので、一気読みをおすすめします。

そんな家族なら捨てちゃえば?

モラハラ夫ならぬモラハラ妻?から家族再生の話

そんな家族なら捨てちゃえば? 村山渉
六文銭
六文銭

夫婦と娘の3人家族が登場人物。 だけど、その家には廊下にテープが引かれて、夫はここを超えてはいけない。 食事は一緒にしない、挨拶もしない。 ドアの音をたててはいけないし、風呂は良いがトイレはだめというルール。 主人公は、そんな生活を強いられながら生活している。 え、なにこれ? と率直な感情とともに、怒りがわいてきた。 妻と夫両方に。 よくこんな状況になってまで一緒にいられるなと、よく我慢していられるなと。 この状態になったのは、つわりで苦しんんでいたときに夫に言われた言葉が原因だという。(ここはまだ全て出ていない?) 夫の性格上優しすぎるというか、現実を直視できない弱さのせいで、その場シノギで不用意に何か言ってしまったと推測するが、それにしても酷いと思う。 そういう言葉を吐き出させる側にも問題があると自分は思うんですよね。 妻は言葉で伝えて欲しいとかいうけど、 結局自分の価値観や先入観で曲解して、夫(というか、周囲の人間)の言葉なんて歪んで伝わっているのをみるとなおのことそう思います。 そんな夫のところに、謎の未亡人が現れて彼を救おうとするのですが、これはこれで非現実的で(今の御時世で、なんの接点もない他人をこんなに気にかけることあるか?と)正直、胸糞悪かったのですが、2巻の娘のシーン(添付画像)を読んでグッときました。 1巻までは、崩壊した家庭とそこから夫を奪おうとする、いわゆるドロドロ的な話かと思っていましたが、2巻のこの娘のセリフを読んで、 家族とは何か? を伝えてくれる話なのでは?と思うようになり、俄然面白くなってきました。 違う人間だから、完全にわかりあうことは難しいかもしれないけれど、それでも思い合うことはできる。少なくとも赤の他人よりは。 それが家族だと思うんですよね。 娘がキーになって、今後この家庭がどうなっていくのか楽しみです。