茜屋(あかねや)流の統主である新司(しんじ)の祖父・新兵衛(しんべえ)から直々に指導を受けた三平三平(みひら・さんぺい)は、難しいと言われた小鷹網をマスターした。そこで語られた茜屋流の真髄(しんずい)は、仏のように優しくありながら、鮎に対しては鬼の手をもって漁る「鬼手仏心(きしゅぶっしん)」。その言葉が、伝統に押しつぶされそうになり逃げてばかりいた新司の心に火をつけた!そしてはじまる秘伝の技“火入れ漁”!!果たして新司は、紀の川の鮎と伝統技法を守ることができるのか!?(※収録されている技術や環境に関しての表記は、作品発表当時のものをそのまま掲載しております。)
釣りへの愛に溢れた名作。 この漫画を支えているものの一つが、美しい風景描写だと思います。 緻密で透明感があり、いかにも「漫画」なキャラとの対比が際立っています。 直接、原画を拝見したことがありますが、雑誌で見るよりも数段美しく、芸術的で惚れ惚れしました。 漫画家さんが背景を描くときのお手本として「釣りキチ三平」から学んでいると聞いたことがあります。そういう意味では、矢口高雄先生の絵はこの先も絶えず影響を与え続けて行くのだと思います。 ちなみに昭和の漫画事情と言いますか、タイトルのキチはキチ○○の意味として堂々と使われています。今だとアウトな表現なので、これだけで作品が誤解されたり敬遠されてしまうことがないよう願っています。