あらすじ――滝太郎はその昔よりO池にすむ珍魚なり。身の丈三尺三寸にして体側に斑点あり。かつて幾百人これに挑みても、釣られたる試しなし――O池を訪れた三平(さんぺい)は、ルアーを操る美女に出会う。彼女の標的も“滝太郎”であった。そこにあらわれれたのは、天才釣り師・魚紳(ぎょしん)。3人が幻の怪魚・滝太郎に挑む!「O池の滝太郎」前編。(※収録されている技術や環境に関しての表記は、作品発表当時のものをそのまま掲載しております。)
釣りへの愛に溢れた名作。 この漫画を支えているものの一つが、美しい風景描写だと思います。 緻密で透明感があり、いかにも「漫画」なキャラとの対比が際立っています。 直接、原画を拝見したことがありますが、雑誌で見るよりも数段美しく、芸術的で惚れ惚れしました。 漫画家さんが背景を描くときのお手本として「釣りキチ三平」から学んでいると聞いたことがあります。そういう意味では、矢口高雄先生の絵はこの先も絶えず影響を与え続けて行くのだと思います。 ちなみに昭和の漫画事情と言いますか、タイトルのキチはキチ○○の意味として堂々と使われています。今だとアウトな表現なので、これだけで作品が誤解されたり敬遠されてしまうことがないよう願っています。