有明海の干潟で繰り広げられるムツカケ勝負。「ムツカケ名人」小次郎の特訓で秘技「ツバメ返し」をマスターした三平三平(みひら・さんぺい)に対し、地元の天才少年五郎は、父親から伝授された美技「王将抜き」「浮き船」で対抗する。そんな時、ツバメ返しは、三平の父、三平平(みひら・たいら)が開発した技だと知らされた魚紳は、深い因縁を感じていた。二人の天才少年のバトルの行方は……?他、「幽沼の羽衣鮒の巻」を含む短編3編収録。(※収録されている技術や環境に関しての表記は、作品発表当時のものをそのまま掲載しております。)
釣りへの愛に溢れた名作。 この漫画を支えているものの一つが、美しい風景描写だと思います。 緻密で透明感があり、いかにも「漫画」なキャラとの対比が際立っています。 直接、原画を拝見したことがありますが、雑誌で見るよりも数段美しく、芸術的で惚れ惚れしました。 漫画家さんが背景を描くときのお手本として「釣りキチ三平」から学んでいると聞いたことがあります。そういう意味では、矢口高雄先生の絵はこの先も絶えず影響を与え続けて行くのだと思います。 ちなみに昭和の漫画事情と言いますか、タイトルのキチはキチ○○の意味として堂々と使われています。今だとアウトな表現なので、これだけで作品が誤解されたり敬遠されてしまうことがないよう願っています。