ルックバック(読切)

藤本タツキ先生はチェ…

ルックバック(読切) 藤本タツキ
名無し

藤本タツキ先生はチェーンソーマンの人というくらいの認識で、私はバトル系の漫画が苦手で絵も惹かれなかったので読んでいませんでした。 でも、今日たまたまルックバックを紹介している記事を目にして、自然とジャンププラスのアプリを開いて読んでいました。 まずページ数にびっくり。 え、スマホで読むのしんどいかも…。 まあいいか、ちょっと読んだらあとでタブレットで読めばと思っていたのもつかの間、気づけば最後まで夢中になって手を止められませんでした。 私は先生のことを知らないので京アニに思い入れがあることも当然知りません。 だけど、あの事件はオタクとして過ごしてきた私にとって、かなり衝撃的で今でも心に傷が残っています。 そんな状態でも、これはあの事件のことも含めて描かれているのだな、と気づきました。 みなさんの感想を読んでいて、それ以外にもいろんな要素が含まれていることを知ってなんだか打ちのめされました。 漫画で、読み切りで、こんなすごいの描けるの? 誰だよ、漫画はオタクのものだって言ったやつ。 映画や小説と肩を並べられるくらい文化的だろって大きな声で言いたい。 単行本化が既に決定しているということなので楽しみに待ちます。 追記 タイトルがチェーンソーじゃなくてチェンソーマンなことを知りました。 チェンソーマンもめちゃくちゃ面白かったです。 大好きな漫画家さんと同じ時代に生きれることが幸せです。

ルックバック(読切)

感動は原体験に基づくことを知った

ルックバック(読切) 藤本タツキ
六文銭
六文銭

魂が震えるほど感動した。それほど良かった。 藤本タツキ先生を、自分はどこかちょっと引いて見ている点があった。 というのも、「ファイアパンチ」のインタビューを読んだとき、計算高い感じを受けてしまったからだ。 こうすれば読者はびっくりしたり、感動するんでしょ? みたいなのを狙ってやっています、みたいな雰囲気をプンプン感じてしまい、とりわけ「ファイアパンチ」の1話で興奮していた自分は、その打算さにがっかりしてしまった。 続く「チェンソーマン」も、どこか薄目でみている感じがあった。 だが、もうそれを撤回する。 本作を読んで、全力で先生を追いたくなった。 それほど感動した。 この感動は自身の過去の思い出とリンクしたからだ。 本作を読んで久しぶりに思い出し、そのことで人生で初めて泣いた。 本作の主人公・藤野と自分が重なったのだ。 そして、京本のような人と出会い、同様に亡くなった経験があったからだ。 本作を読んで、感動とは、こういうことなのかと魂レベルで理解できました。 原体験に基づくとより強力なんです。 この思い起こさせてくれた体験だけで、 作品に対して、ただただ感謝し、 描いてくれた作家さんの一生ファンでありたいと思いました。

ルックバック(読切)

藤本タツキのまんが道は辛くて愛しい #読切応援

ルックバック(読切) 藤本タツキ
たか
たか

最初の扉絵に143ページとあってあまりの長さにビビリつつ読んだらすごかった。なんで藤本タツキの書く少女ってこんなに純粋で愛しいんだろう……胸が苦しい。 超画力の京本とセンスとスピードの藤野。 藤野がクラスメイトに言った「5分で描いた」はフカシではなく本当で、よそんちの廊下でサラッと一瞬で4コマを書き上げる。が、うっかりそれが京本の部屋に滑り込んでしまう。 尊敬する先生の見たことない描き下ろしが突然部屋に現れたときの京本の気持ちを考えるとたまらなくなる。 そしてあの事件のあと、今度は藤野の元に京本が描いた藤野の作風をリスペクトした4コマ「背中を見て」が届く……。 京本の背中には小学生のときに描いた藤野のサインがあり、藤野の背中は、ずっと京本が見ている。 ……。 ……。 話の大筋は「田舎の小学生2人がお互いの才能を見出し漫画家を目指す」というまんが道スタイルでありながら、キャラの造形・演出・話の展開は完全に藤本タツキ味に仕上がっているものすごい作品。 2021年一番心に残った読切でした。 【追記】 京本が家にいるときに鍵を掛けてなくて、藤野が鍵開いてるな〜中に人いるんじゃんって玄関まで入っちゃうとこ田舎あるあるで笑った。自分が子供の頃(20年くらい前)はこんな感じだったけど今もそうなんだろうか。 あのコンビニはあるにはあるけど雪深いところとか、窓から山が見えるところとか……自分の地元と重なる部分が多くて、だからこそ2人が出会えたことの得難さを噛み締めてしまう。 たとえどれだけ辛い別れになったとしても、2人が唯一無二の関係としてともに時間を過ごすことが出来て本当に良かったなと思う。

白ヒゲとボイン

板垣巴留の人間読切

白ヒゲとボイン 板垣巴留
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

『BEASTARS』板垣巴留による特別読切。 風俗嬢のイチカはある日ヤバめの客に当たってしまった。 その客はガタイが良く、白ヒゲでコワモテのおじいさん。 セクシーに迫ってみても、なぜか半裸で黙々とPCで作業をしていて相手にしてくれないがそれにはある事情があって・・。 人間を描いてるのを初めて読んだ! といっても白ヒゲのじいさんは野性味あるし、ボインなお姉さんもどこか動物的な愛嬌を横顔のフォルムに感じるのは「BEASTARS」の読み過ぎかもしれない。 内容的にはフリの段階でだいたい想像できるものではあったけど、シンプルでベタで見開きがパワフルでかっこいい。 裸の女性が谷間を寄せて少しかがんだときのお腹のしわをちゃんと描いているのがなんだか良いなーと思った。 二人の関係性は、あくまで世の中に割り当てられた役割を必要に応じて演じているだけで、男だからとか女だからとか、性によるこじらせた自意識のようなものが描かれていないのでさっぱりしてていい。 ここでは性差、年齢差を取っ払って意図的に人間対人間の構図にされている気がする。 ヤルつもりはないが一泊するためだけに風俗に来た男と、風俗嬢だがヤラない客を持て余し気味の女、この二人の間には性的搾取もなく仕事でもなくなってしまったから、ただただフラットな二人になるのだ。 そして忘れられない特別な関係になる。いや、なっていた。 全く内容とは関係ないけど、友達になるなら、妙な政治や力関係などが及ばないフラットな関係を結べる、こんな人達となるのが楽しそうだ。