アテもなくハムトースト
難解な原作のための鑑賞の手引きを目指したようだが、それに留まらない面白さがあった。
原作の同名小説は未読だったんだが、むしろそういう人のために描かれた『死者の書』の鑑賞の手引きを目指した、とあとがきで近藤ようこが書いているためむしろ私のような人間のための漫画だったのかもしれない。実際かなり難解な小説のようで、通読を断念した人も多いようで小説から入ってたら読み通せなかったかもしれない。 鑑賞の手引きを目指したからか、この漫画にわかりにくさを感じることはほとんどなかった。だからちゃんと面白さが伝わってきたんだと思う。 ストーリーは、斎き姫にあがる娘として大事に育て得られた藤原南家の娘(郎女)が写経や機織りなどを通して神の存在を確かにし奉仕しようとする姿が描かれている(と思う) 郎女はかなり才能のある女性だったようだが文物を全く与えられない(女に知識を与えるものではないという風潮もあったようだ)中で育てられたが、ひょんなことから法華経を手に入れて、それを習い始めて知識というよりも神という認識に目覚めて彼女の信仰が始まっていく。その姿が淡々としているんだが、写経を1000部行ったりして激しい。 時系列が整理されているようでその点も原作よりも読みやすくなっている点だとか。信仰の神秘さを保ちながら文化的な背景が骨太で面白かった。原作は頑張って読もうと思う。
ギャグとして始まり、リリカルな青春漫画として完結した異色の学園ドラマ
初めは、持て余した男子中学生・弱音のドタバタコメディ。モノローグが詩のよう、くらいの印象だった。 しかし、中盤以降この詩的モノローグが加速し、展開もギャグっぽさを残しながらも恋やら進路やら己の生き方やらに悩むハードな青春漫画に変貌。きっかけは、3年生に進級してヤンキーっぽい女の子が登場したことかな。 終盤は弱音がどんどんハードボイルドになって言って、セリフやモノローグの力も増していき、ちょっとした切なさと優しさを残して幕を引く見事な終わり方。 当初は単行本化の予定もなく苦しい連載だったようでその様子があとがきで語られている。このあとがきもいいので、本編読み終わったら是非読んでもらいたい。
忍びの者シリーズ
自作の手裏剣で相手を倒して行くのだが、相手が一方的な悪人ではなく、主人公から喧嘩売ったりと、正義の味方の感じはない。 途中で仲間になるガンマンもそんな感じで、個人的な恨みをはらしているだけにしか見えない 西岸良平は鬱屈した精神状態の青年を書くが上手いと思う。
説教とグルメ
ある時代の日本の、ある価値観を強烈に反映した作品であり、それ故に人によって評価は分かれるだろう。ここに出てくる作者の「美学」は2017年の日本のネット上に晒されたら確実に炎上する。連載当時(2002年くらい)ならカウンターとして有効だったかも知れないが、今の感覚からするとびっくりするような表現だらけで、改めて時代の移り変わりを実感した。いつか「こんな時代もあったんだな」と面白く読める日が来ることを願う。
名作 御用牙の続編...
※ネタバレを含むクチコミです。
政争物かと思ったら戦争物の様相を見せてきた
※ネタバレを含むクチコミです。
ある意味怪作というか、よくヒットしたよなこれ…
※ネタバレを含むクチコミです。
マンガ的感動に涙する
コージィ城倉がおそろしく優れた漫画家および漫画原作者であり、その両端の活動を、誰もがその早すぎる自死を惜しんでやまない天才漫画家の大名作を継ぐという史上もっとも美しい形で引き受けたことへの敬意をまず述べておきたいのですが、この際そんなことはどうでもよくて(ぜんぜんよくない! ほんとうにありがとう! コージィ城倉)、じつに38年の時を超えて、谷口が、丸井が、五十嵐が、ほかにも愛おしいすべてのキャラクターたちが、コマのなかでバットを振り、白球を投げる、もうそれだけで涙がはらはらと頬をつたって止まらないのです。 これが映画だったらどうか、小説だったらどうか、あるいは、大友克洋の出現以降おそろしいまでの発展を遂げた現代のマンガだったどうか。どれをとってもこの感動は生まれないと思うのです。白と黒の線とコマで描かれた「記号」の集積物としてのマンガ、このもっとも基本的であり、もっとも美しくもあるマンガ本来のスタイル、これだからこそ為しえた奇跡だと思うのです。手塚治虫いらい編み出され共有されてきたマンガ的記号、この幾ばくかの記号のうち、ちばあきおが好んで使用したものをコージィ城倉が受け借りてここに再現する、これをマンガ的感動と言わないで何と言えばいいのでしょうか。
雪女ちゃんかわいい
妖怪?マッサージ?と思いつつ、押切蓮介のファンなので読んでみました。 押切先生がネームを描いて、愛弟子が作画しているようです。 タイトルそのまんま妖怪をただマッサージする話なんですが、作画の忌木先生がエロい絵得意らしいのでエロく仕上がってます。 ちょっとマッサージの勉強にもなっていいです。
郷里のある幸せと父子のわだかまりを描いている
あとがきでも語られるが、谷口ジロー自身の体験が物語にかなり反映されている。それもあってかやり取りや心理描写が細かくてリアル。 ストーリーは結婚の挨拶以来実家に帰っていない男が父の死を機に里帰りをする話。通夜で昔世話になった母方の伯父や姉から、家に帰らなかった間の父の姿や、幼い日には理解できなかった父の心情などが語られて、後悔とともに父とのわだかまりがほぐれて行くという話。 読み終わると、実家に帰るかという思いになる。あとがきも結構いいので是非呼んでもらいたい。
天才・中村明日美子、王道を征く
タイトルを読んでそのまんま鉄道と恋愛の2つが作品のメインテーマ。正直私には鉄道のことはよくわからんのですがとても面白かった。 オムニバス形式の1巻でいちど完結したのち2巻から新展開となるので、まずは1巻について。グルメ漫画における美味しい食べ物のようなノリで鉄道ネタが出て来る。斬新過ぎてはじめは戸惑うが、後半の鉄道模型の話はたぶんいちばんわかりやすく共感とか感動を得られると思う。続く終電の話でおおっと感嘆。 1巻のあるエピソードの続編が2巻以降つづく。ここでも鉄道が重要なファクターになっているのには違いないけれども、青春漫画として少女漫画として普通に超最高なので、1巻を枕として楽しめたらもうあとは4巻まで一気に読んで泣くまでいくのがよいかと。 オールバックから始まりオールバックで終わる、アツい魂を感じる漫画でもあった
蜃気郎シリーズは無茶苦茶いいな
裏社会では「悪の帝王」と呼ばれる怪人「蜃気郎」が芸術的な犯罪を計画して実行するのだが、その際に犯罪に利用した人物や関係者に対して「蜃気郎」が協力者への謝礼という形でなんかしら報いるので、みんなが幸福になる良い短編集 「街角のブルース」/「二つの顔の女」/「復活の日」が特に好みだ。 西岸良平は「三丁目の夕日」のイメージが強くて、今まであんまり読んでいなかったけど「西岸良平名作集」を読んで他のも読みたいって気になった
ちばあきおの名作『プレイボール』の続編をコージィ城倉が描く
ちばあきおの代表作『プレイボール』の続編。『プレイボール』は作者の体調不良により最後の夏大会を前にして完結。その後、急逝により物語はそこで終わってしまっていた。それをコージィ城倉がちばあきおの画風と作風を再現しながら続きを描いている。 1話目には導入もなく、『プレイボール』の最終話からそのまま読める。この構成から、「新作」ではなく「続編」であるという、コージィ城倉の意気込みが伝わってくる。 谷口のスパルタも、丸井の谷口への深い愛も、田所さんの面倒見の良さも健在。好きだった『プレイボール』が復活したようで嬉しい。ちばあきおが描ききれなかった谷口たちの最後の大会の行く末を見守りたい。
鳥肌が立つほどのリアリティを感じるマンガ
マンバ通信の記事を読んでみて興味が湧いたので読んでみた。 実在する病気って名なんだろう?と思いながら読み進めていたら、なるほど確かに知ってはいるけど実態はよく知らない病気だった。 でも手強い病原体とはいえ昔からあるものだし、治療法や対策は確立されていそうだから、パンデミックといっても人為的なミスや、政治や組織の問題で感染が広がっていって大規模になるのかなぁ?と想像していたら……それだけではないなるほどそりゃオソロシイわという展開で1巻が終わり。実際に起こりうるんじゃないか?と思わせる巧みな設定とストーリー展開に恐怖感を覚えざるを得なかった。 パンデミックを取り扱った作品はマンガに限らず数多くある中で、今後どういったストーリーが描かれていくのか?何か新し切り口が描かれるのか?いろいろと楽しみ。 続きをはよ!
賞金だけで生きていく
荒事専門の賞金稼ぎとは一味違い、地味な大会に出張っては賞金をぶんどるという仕事。 入念な準備をして勝負に挑むタイプの主人公、中郎(あたろう)は、 運にはあまり頼らず、天性の情報収集能力・計画力・実行力を活かして次々と賞金を攻略していく。 いくら勝算があっても常にギリギリの展開となるが、最後に勝敗を分けるのは、一度きりの勝負に賭ける覚悟か。 世の中に楽々ゲットできる賞金大会などありはしないのだ、と思わせてくれる。 ヒロインのビッキーは日本語をあまり話せない外国人なのだが、不思議と作中に溶け込んでいて、主人公と拳で語り合う愛憎の念が入り混じったロマンスも見どころのひとつだ。
9月号の別冊マーガレットに新作掲載決定!!
ジョジョの奇妙な冒険のスピンオフ。岸辺露伴は動かないがなんと別冊マーガレットに掲載されることが決定しました。 気になるその内容は精子バンクを舞台にした話だそうで、そんな話やっていいの?と思いながら楽しみにしてます。
『坂本ですが?』の佐野菜見新連載は双子によるサスペンス?
『坂本ですが?』佐野菜見のハルタ新連載。子供のできなかったある夫婦のところに養子として引き取られた秘鳥(ひとり) 夫婦が引き取ったのはひとりの少年のはずなんだが、秘鳥が1人でダンボールを開けていると出てきたのは姿が全く一緒のもうひとりの秘鳥。夫婦を欺きながら2人で1人として振る舞う生活が始まった。 2人(ミギとダリ)が入れ替わったりするところは『坂本ですが?』と同じくアクロバットに描かれていて見ていて「おお」ってなる。ただし、ギャグ調ではない。2人の目的はまだ謎だけど、不気味さみたいなものが漂っていて、どうなるんだろうって感じで面白くなりそう。
めーさく
卜部さんはかわいいし、椿くんは本当にいい子。 二人の関係が深まっていく過程が好き。 唾液コミュニケーションが生理的に無理でなければぜひみんな読んでほしい… 植芝先生の新連載の大蜘蛛ちゃんフラッシュバックも期待しています。
今度は「大人青春編」
少し前に6年ぶりに読み切りが掲載されてもう当分ないかなって思ったら、反響があったらしくまた読み切りが掲載。今度は「高校のとき、実はあいつのこと好きだったんじゃないの?」って感じで晃と友宏がちょっと喧嘩?するみたいな話。 ここまできたら新章突入とかでもいいんじゃないかなって思うけど、ひとまずまた読めて嬉しい。 単行本とかでまとまってくれないかなー
長崎尚志と猿渡哲也のタッグで新連載
『MASTERキートン』の長崎尚志と『TOUGH』の猿渡哲也がタッグを組んでグランドジャンプで新連載が始まった。テーマはテロリストとの戦いだと思うが結構大きい話になっていきそう。楽しみ
グランドジャンプ×ワンピースコラボ
グランドジャンプの2017年18号がワンピースとコラボをしている。 『プレイボール2』のコージィ城倉が表紙で、『ワンピース』が表紙になっているジャンプを持っているイラスト。 コラボピンナップとして『イノサン』の坂本眞一、『EX-ARM』の古味慎也が描いている。 プレゼントキャンペーンもあるしかなり『ワンピース』に染まっているグランドジャンプ。
神話と科学が融合した独特な物語
表題の「イワとニキの新婚旅行」から始まり「神託と灰色の髪の少年」「アンドロメダ号で女子会を」「さよなら私の兵馬俑」「海の女神と旅立つ船」の全5編。宇宙から飛来した“帝国”が地球を占領して、人類の心を掌握すべく帝国が作り出した、各地に残る神話や宗教を用いた"統治システム"を軸とした独特な切り口の短編集。 あとがきにも書いてあるように「もしも空気の読めない宇宙人がやってきて地球を支配し、各地にある神話を真に受けたらどうなるの?」というのがテーマのようだ。“帝国”が地球を支配するというかなりの大事を「ごくありふれた全面戦争なので詳細は省く」と何度か書いてあって笑った。 短編集とはいえ微細な繋がりがあってニヤリとできる。もちろん短編の良さもあって、それぞれ微妙にテイストが違ったりもする。「アンドロメダ号で女子会を」がコミカル寄りで好みだった。 ファンタジーっぽい描写が多いものの、帝国の人類を超えたテクノロジーによる仮想世界やAIの表現もされていて、SFとしての読み応えもあって満足度が高い。この世界観で長編も読んでみたい気もするな。
京都を舞台にした中学生の話
京都を舞台にした中学生達の短編集 一番最初の京都への修学旅行に行く際にクラスの余り物で班を行くことになった「THE 修学旅行」はよかった。 こういう派手さはないけど、面白い漫画はいいな。 ただちょっとページ数の割には値段が高い気もする。 IKKICOMIX reraレーベルだからそんなもんなのかな
relaxって雑誌が好きで、学生時代によく読んでた。その98号に「アテもなくハムトースト」が載ってて、特に感動した訳でもないんだけど、会社を辞める時や、喫茶店でメニューを見る度にふと思い出す。