人といる時の同調圧力とか気遣いとかを、たいていは嫌だと思う。それというのも「自分が大切にされていない」と感じるからですよね。まずは自分ひとりを、きちんと満たしてこそ、他人に気遣いしたくなる。 本作の主人公は小さなキャンピングカーで、週末ソロキャンプを楽しむ女性。各地の名物から自炊まで様々な食を楽しみ、自然を満喫する。 思いつきで予定を変えたり、未知の冒険に突っ込んでみたり、予定通りに行かなくても次の楽しみを見つけたり。ひとりならではの自由さで、自分の「本心」を満たす。そんな彼女が本当に羨ましい。 その上で、どうも人付き合いは苦手そうな彼女が、一期一会の喜びを知ったり、意外な人との交流で相手の良さをきちんと受け取る。派遣先の会社のエースと言われる女性との、お互いを知り合う関係は2巻以降の展開を楽しみにさせてくれます。 たくさんの知識と共に、主人公の「満たされる」感覚を共有すると、世界を受け入れる心の余裕が私にも生まれました。
この作品は、大学病院から離島に転勤することになった総合診療医・天海唯人が、赴任先での落雷事故の影響で異世界に転生してしまうという物語です。 もともと天海はいつ病院に呼び出されてもいいように禁酒をしていたり、離島への転勤も子供が生まれる同期の代わりを申し出てのことだったりと、とにかく他人思いな性格の持ち主 そんな天海が医療という概念すら定着していないような異世界に転生してしまうのですが、自身の信念に基づき、たとえ相手が人間ではない種族であっても、また、彼にとっての正当な治療がその世界の倫理観では認められないようなものであっても、目の前の病気や怪我に立ち向かっていく、そんな彼の正義感に惹かれる作品です。 また、原作の津田彷徨さんも現役の医師なのですが、奥付を見ると、各診療科ごとに合計8人もの医師の方が監修に入っていて、ファンタジーではありますが医療シーンの描写にもすごく力が入っている作品です。 1巻まで読了
見た感じでは普通の高校生である静永 澪(しずなが れい)は、実は静永組というヤクザの組長の息子。 高校生として普通の日常を過ごしていた彼の元にある日、その父親である組長が銃で撃たれたという報せが入ります。 急いで病院に向かった彼でしたが、一命を取りとめていた父親から「お前を静永組 組長代理に指名する」と言われます。 この出来事をきっかけに、澪はヤクザの世界へと否応なく巻き込まれていくことになります この作品には澪の他にも彼の"世話係"である王賀 真純(おうが ますみ)や高校の友人である可愛(かわい)める など数多くの人物が登場しますが、その誰もが裏に何か抱えていそうな雰囲気を醸し出しています。 特に真純は澪に対して異常とも思えるほどの忠誠を示していて、その行動も謎に包まれています そんな登場人物たちの思惑にヤクザ同士の裏社会の抗争も絡む複雑な人間模様が、表紙の通りの美しい絵柄で描かれていく作品です。 1巻まで読了
性欲が強い人も、なにかと大変だと思います。男性であれば、性を謳歌する事がおおらかに認められる文化がある。それが女性であれば、とたんにモラルの奥に隠される。そんな女性の性欲が可視化され、さらに誰にも否定されないところが、この作品の第一の美点です(この言動が、性犯罪者男性の言い訳に使われかねない事には注意が必要)。 台湾人のT子は、自らの欲望に従って日本の男とセックスしに来る。1巻にして既に4人。 猪突猛進のT子。はっちゃけぶりと暴言に思わず吹き出してしまう。エロい事をガンガン言い、いつも発情している様子はコメディとして笑える。 対する日本人男性は、みなイケメンかつハイスペック。しかしここで面白いのは、T子がなかなか満足しないところ。 T子のやりたい事ははっきりしている。ただセックスしたいだけなのに……と言いながら彼女の欲求、フェチや性交の頻度等は独特で強固。しかしそれを満たすには「違う人間である」相手側と、互いの欲求を擦り合わせなければならないはず。そしてT子には、その視点は今のところなさそう。 彼女は社会規範から自由で、堂々と主張できる人なのですが、彼女の人生を充実させるにはそれだけでは足りないのだろうな、と感じるのです。 まだ1巻。最高の快楽体験のために、友人に色々突っ込まれつつ迷走するT子には何が足りていないのか……それは最後まで読まないと、わからないのかもしれませんね。 (なぜ日本なのかについては、フェチ的観点と台湾社会の点から語られます。外から見た日本は面白い!)
仕事も生活も上手くいかずに絶望したOLは、勤務先の社長令嬢である16歳の少女に飼われる形で一緒に暮らし始める……という甘さを連想させるあらすじに反して、1話から不穏。 OL側の事情が明らかになるにつれて、物語はおかしな方向へ向かう。たった1巻で状況は大きく変わり、私は展開にビックリしながら、少女の血縁を巡る物語を追わざるを得なくなる。 警護の男性二人組はウザい程の圧力でOLにつっかかり笑いをもたらす。OLは不器用で嘘をつく事も出来ない誠実さ。何かを隠しつつ隠しきれない?OLを、捻くれているようで意外と真っ当な少女は試すように翻弄する。 この二人の距離感と共に百合的なのは、少女と叔母の関係……というか、叔母が一方的に募らせるある想い。ここには酷く歪んだ「姉妹百合」がある。 様々ないびつな思惑が、お互いを大切に想い始める少女とOLを翻弄する。事態は二人の本意とは少し違って進んでゆく。今後どうするのか……手錠無しで添い寝できる日が来るのを願って。
舞台となる町では3年前に小学5年生の女の子・平川彩乃さんが行方不明になる事件が起こっていました。 物語はその後、中学生になった彼女の同級生・乾イッシンが事件解決の手がかりとなる鉄塔の場所を特定したことで動き始めます。 イッシンは同級生2人とともに、"夏休みの冒険"のつもりでその鉄塔の場所まで向かおうとするのですが、 その行動が本人たちだけではなく、事件とは無関係なはずの同級生の女の子や事件を探っていたライターの女性、ひいては捜査を行っている警察までもを巻き込む大きな騒動へと発展していきます。 子どもたちのひと夏の冒険の裏で様々な情報が提示されてゆき、物語が進むごとに謎がどんどん深まっていくジュブナイルサスペンスです。 1巻まで読了
詩に強い関心を持っている女の子・薬研(やげん)は、国語教師との会話をたまたま聞かれたことをきっかけにクラスメイトの東雲(しののめ)と接点を持ちます。 普段からどこか挙動がおかしくてクラスでも少し浮いていた東雲ですが、それは彼女が五感の1つを感じると同時に別の五感も感じる「共感覚」という感覚の持ち主だったからでした。 「共感覚」といえば“音に色が見える”だったり“字に色が見える”などが代表的ですが、東雲の「共感覚」は『人の言葉を聞くとそれが獣の姿に見える』というもの。 その獣は言葉の意味や解釈、発した人間の感情などを反映した姿をしているらしく、そんな東雲との交流によって薬研は「言葉の獣」の世界へと入り込んでいきます。 詩や言葉に興味を持っていた薬研と「共感覚」を持つ東雲との出会いにより、2人が身の回りにありふれた「言葉」に対して理解を深めて心を耕す様子が見て取れます。 そしてそれが「言葉の獣」という形で視覚化されて描かれる、まさに物語がマンガとして描かれるべきものに昇華されている、そんな作品です。 1巻まで読了
昨年映画をみて、GWの長期休暇中に原作も再読したところに、このコミカライズと出会う・・・絶賛『燃えよ剣』に絡め取られております。 が、どのメディアでも土方は格好良くて、シビレてます。 内容については、原作が有名だし、新選組の副長「土方歳三」も有名だし、ある程度認知はあるかなと思うのですが・・・ あえて本作の魅力を上げるとすれば(1巻時点ですが)、『燃えよ剣』の土方歳三を忠実に再現していること。 原作ファンも十分楽しめる点だと思います。 私的に『燃えよ剣』の土方歳三の魅力は、怜悧冷徹な鬼の副長、戦術の鬼才としての名参謀的な面だけでなく、根っからの「喧嘩師」としての側面が魅力だと思っているんですよね。 駆け引きとかではなく、拳と拳、意地と意地。 身分制度から武士になれない、何ももたない人間だからこそ、戦って勝つことだけに自分を見出した喧嘩一本の生き様。 最初から最期まで、対人だけでなく、それこそ国に対しても喧嘩している感じ。 これが格好いいんすよね。 本作は、そんな土方の満たされない、腹に煮え切らない何かをもって泥臭く戦う様がありありと描かれていて、原作ファンとしてはたまらなかったです。 原作ファンも、土方ファンも、ぜひご一読してみてください。 余談ですが、降伏して明治政府の新体制で獅子奮迅の活躍をした人間よりも、降伏せず最期まで抵抗した土方歳三みたいな人間にロマンを感じるのは、不思議なものですね。 実際に、現場にいたら「めんどくせーやつだなー」とか言っちゃいそうなのに、歴史だと格好いい。 やはり人間は成したものと同じくらい生き様に惚れるのでしょうね。
豚のシルベスタが主人公。 老人に幸せの花の種をもらってから、人に出会い仕事をしてお給料もらったり、出会った人々から色んなことを学んで”人生”を経験していく。 四コマ、1巻で内容がとても濃かった。 シルベスタがどんどん変わっていき生き生きしていく様にホロリした。良いお話でした。 ダンさんも良い味出してたなぁ。
たばよう先生は、主としてチャンピオン系列の媒体に作品を発表している漫画家です。 デビュー作は、「TOILETPAPER MAN」。新人漫画賞で圧倒的な高評価を得た傑作です。 https://pyuupa.flop.jp/img/sm79_01.jpg たばよう先生は、その後の短期連載「くろすぶりーど」でもその鬼才ぶりを如何なく発揮し、2ちゃんねるのチャンピオンスレでは特殊な性癖に目覚める者が続出しました。 (なおこれらのデータは週チャンマニアクスから引用しました) https://pyuupa.flop.jp/index.html ところが残念なことに、これらの作品は単行本化されていません。 単行本化された唯一の作品は、宇宙怪人みずきちゃん(全2巻)。この作品も面白かったのですが、残念ながら(おそらく)打ち切りにて終了しています。 たばよう先生は、その後、コミックめづなどでマニアックな作品を発表したりしていたのですが http://www.comic-medu.com/wk/nunonechan 昨年(2021年)、久しぶりにチャンピオン系列の媒体で連載したのが、本作「おなかがへったらきみをたべよう」でした。 マンガクロスで連載された本作は、「今からぴったり10万年前!」を舞台にした、原始人の男の子と、こどもマンモスのお話。 一族が全滅し、一人ぼっちになった男の子と、親に捨てられたこどもマンモスの、一人と一匹の友情が描かれます。 しかし、10万年前の過酷な環境は、男の子に対して、生きるための残酷な選択を迫ります。 一人と一匹は、どのような結末に辿り着くのか…?というお話。 絵柄も素敵です。 もともと、たばよう先生は、ある意味で癖のある絵柄でしたが、今回は、全体的に絵本風に仕上がっており、一枚絵としても非常に美しいコマが多いです(添付)。 ただ、連載時はフルカラーだったものが、単行本化にあたってモノクロになったのは残念でした。電子版だけでもフルカラーにしてほしかった…。 本作は、生きることの過酷さと、我々現代人の傲慢さについて、深く考えさせられる残酷絵本です。全1巻で綺麗に完結しておりますので、興味を持った方は、ぜひ読んでみてください! なお、1~3話はマンガクロスで読めます。 https://mangacross.jp/comics/kimitabe/
死んだアイドルに扮して動画を拡散させる、いちファンの女子高生の物語。そこに強い想いがあるのは確かなのだが、その想いの全容は隠されているので、1巻はどこか曖昧なミステリアスさに覆われる。 主人公のやっている事は、教祖を喪った高弟の様だ。その存在感が消えてしまわないようにビジュアルに留め、鮮やかに蘇らせる。 自らの存在を引き換えにしても、アイドルを蘇生させたい主人公。盲目的な想いを乗せた眼差しに、現実は拒否され交わらない恐ろしさ。彼女をとても〈尊さ〉なんて言葉では言い表したくない。 狂信者、という言葉がしっくりくる。 そんな彼女に、心に闇を飼う男子が巻き込まれる。彼の闇は私にも共感できる程度の物だが、それが簡単に利用され、絡め取られ、いやがおうにも巻き込まれる時、主人公の想いの強さ・ヤバさが強調される。 アイドルの喪失から生まれた信仰の形……盲信、同一化、全てを捧げる姿勢など、ゾクッとするシーンが続く。誰にも歓迎されない主人公は、どこまで想いを貫けるのだろうか?想いの最果てで、虚な瞳は何を映すのだろうか。
ヴィーガンの人向けの漫画ではないし、ヴィーガンを広めようという意志が全面に出てるわけでもないので、ヴィーガンじゃない私が読んでも面白いグルメ漫画だな!という感想です。クセの強い女性店主が切り盛りする定食屋さんに様々な境遇の人がやってきて、そこでの出会いとか、ヴィーガン料理の魅力を始めとした「食べる喜び」に気づき、後ろ向きだった気持ちが前向きになっていくという人情グルメ漫画です。巻末にレシピが載ってるんですが、率直に食べてみたい!と思えたので地味に助かるおまけでした。2巻も楽しみ。
万を超える構成員を抱える伝説の暴走族「暗永遠熱斗(アントワネット)」の頭である岩馬竜二は、開始3コマ目でいきなりバイク事故により死んでしまいます。 そして気が付くと、かつて妹に読み聞かせしていた絵本に登場する悪役令嬢・エリザに転生してしまっていました。 竜二が転生した場面はちょうどエリザがお姫様であるマリアをスパイ容疑で陥れようとしている瞬間。 しかし竜二は喧嘩っ早いところはありますが元々は曲がったことが嫌いで他人想いな性格。 そんなわけでこの作品は、悪役令嬢・エリザに転生してしまった竜二が、エリザがやろうとしていた悪事を 自分の信念に基づきブッ潰していく様子を描いていく作品です。 作品のベースは竜二もといエリザがその男気のまま突っ走っていくコメディなんですが、悪事を正していく姿には一本芯の通ったものがあり、 また、竜二の妹にまつわる切ないエピソードも描かれていたりとただ笑えるだけではない、いろんな魅力のある作品になっています! 1巻まで読了
この作品は『図書館戦争』『阪急電車』『フリーター、家を買う。』などで知られる有川ひろさんのデビュー作である小説『塩の街』のコミカライズ作品です。 舞台は突如発生した「塩害」により関東の人口が3分の1にまでなってしまった日本。 一般的には塩害とは塩分の影響により農作物などに被害が生じることを言いますが、この作品における「塩害」はそれとは全く異なります。 それは、作中で描かれている街中にまるで雪のように塩が積もっていることからも分かると思います。 そんな「塩」に囲まれた東京で生きる女子高生の小笠原真奈と、彼女と共に暮らす秋庭高範の2人を描いていくのがこの作品です。 『自衛隊三部作』と呼ばれるシリーズの1作目に数えられるこの作品は、ミリタリー要素や「塩害」の正体にまつわるSF的な要素も織り交ぜつつ、真奈と秋庭の2人に訪れる数々の出会いと別れを通して変化する2人の関係性を描いていく、崩壊寸前の世界で育まれる純粋な愛の物語です。 原作を読んだことのない人はもちろんですが、"塩"の描写がビジュアライズされるだけで世界観の理解度がグッと高まるため、原作既読の人にもおススメしたい作品です! ※ ちなみにこの作品のWikipediaには「塩害」や物語全体のネタバレが書かれているので、作品を楽しみたい方はWikipediaを見る前に作品を読むようにしてください(笑) 1巻まで読了
この建物見たことある気がする……三姉妹の住む古書店兼住宅を見て思う。 しかし少しネットで探ってみても、同じ建物はヒットしない。……そう「看板建築」って言うんだったな。店舗部分だけ洋風にした家屋。ネットには良い感じの古建築の写真がいくつかあるが、同じ物は見つけられなかった。幻だったのだろうか……。 三省堂の店舗が建て替えになると聞いた。また少し変わる風景。思い出の中でうろ覚えになる街の姿。そんな場所で、慣れない古書店業に右往左往する次女、彼女を支える長女と三女の三姉妹。リアリティを感じられる範疇での三人の冒険譚は時にのんびり、時にスリリングで楽しい。古書店業の業務も興味深い。 隣の同業者の従業員と何か縁のある次女、昔の恋を忘れられない長女。そしてDV男と離れられない同級生が好きな三女の想いは、殊の外強烈だ。恋と古書店サバイバル、さらにお隣の秘めた思惑が不穏さを醸し、気持ちがざわつく第1巻。 そして古書の町である神保町は、出版社・カレー、そして古い建築のある場所。この作品には街並みがそのまま描かれて、雰囲気も良いし、行ったことのある人は盛り上がれる事請け合い。 私が知っている"ような気がする"建物で、三姉妹が生活している事を空想する。本の中に"変わらない"神保町とイキイキと動く「空想の」彼女達を封じ込めた、と考えると、虚実入り混じった記憶のバグを泳ぐ様な不思議な感覚があった。
ブラック企業に勤める南寺ユウはある日、会社で起きた殺人事件の容疑者となってしまいます。 そこに現れたのは自らを「名探偵」と名乗る少女・エルリア。 彼女の活躍により真犯人を見つけ出すことができたユウは、エルリアに誘われる形で彼女の家の執事として働くことになります。 …というのが一話前半の大まかなあらすじなんですが、実はこの内容は作品紹介ページにある「公式のあらすじ」の内容とは全く異なります。 その理由は一話の最後十数ページを読めば分かるのですが、そこまで読むと物語の見え方がガラッと変わってしまいます。 そのため、可能であれば公式のあらすじを読む前に1話の試し読みを読むことをお勧めします! もちろん作品全体としても一話の出オチというわけではなく、二話以降でユウは最善の未来を引き寄せるために、探偵であるはずのエルリアが"殺人事件に遭遇しないように"奮闘することになります。 果たしてそれはどういう意味なのか、それはぜひ作品を読んで確かめてみてください!
主人公の18歳の女性・門司ヨウコは、幼い頃に親に捨てられた上に養護施設でも学校でも見た目がブサイクだからといじめを受け、おまけに仕事もお金もなく、人生二限界を感じ自殺しようとしていました。 そんな彼女を助けたのが通りがかりの謎のお金持ちのイケメン男性・霧原鑑。 彼はヨウコに「死ぬくらいなら僕と結婚しよう」とまさかの提案をしてきます。 生まれて初めて人に優しくされたヨウコは鑑の"プロポーズ"を受けることになるのですが、鑑から1つだけ結婚の"条件"を提示されます それが、「鑑の理想の顔になるために美容整形を受けること」。 ヨウコは怪しい話だと思いながらも、もともと死のうとしてた所に舞い込んだ話のため、鑑の条件を受け入れ、美容整形を受けた上で彼と結婚することになります。 しかし、彼女が整形した「鑑の理想の顔」にはある秘密がありました。 それをヨウコはテレビ番組を見ているときに偶然知ることになります。 テレビに映し出されたのは、ヨウコが整形した「鑑の理想の顔」と全く同じ顔、そしてそれは10年前に顔を切り取られた変死体で発見された被害者の顔だったのです。 この導入の時点で物語に引き込まれるのですが、マンガとしての見せ方も上手く、2話以降も読みたくなるような力があります。 そして2話以降も、2人の結婚生活の日常的な部分も描きつつミステリー要素の深堀りもあるという絶妙なバランスで展開していくので、「契約結婚のウソ」の部分はもちろん、物語全体を見ても楽しめる内容になっています。 1巻まで読了
グループ名:ポラリスに所属していたセンターの"但馬ソラ"が亡くなり崇拝していた彼女が人々の記憶から忘れさられていく事に疑問を覚えていた主人公の【橘ミズウミ】はそのアイドルになりますし人々に己の歪んだ愛や夢を世間に動画としてアピールする所から物語は始まりますが、今まで読んできたアイドル系作品のストーリーとは全く違い予想外のストーリー展開や異質なまでの主人公の行動の数々にただひたすら圧倒された作品だと強く実感しましたね そんな主人公や物語ですがそこに加え、物事や他人の感情には無関心で自身の人生に退屈し、とある変わった悪癖を持った同級生の【郡山レンジュ】の存在が作品の面白さに拍車をかけているのも大きな要因でしたね そのミズウミのなりますし動画や悪癖が原因で起こったアクシデントによりレンジュ自身もこの騒動に巻き込まれて行きますが彼の言動や心境等も中々に歪んでおりそんな似た者同士の二人が魅せて行くストーリーや読者や世間に対する問いかけや疑問に考えさせられた作品でもあり続きが気になり過ぎて仕方なかった作品で皆さんも是非一読してみてはいかがでしょうか?
新女子大生が、入学初日に出会った5人の女性と次々に恋に落ちてしまう物語。そしていずれも両想い!という事で、第一話から大変さと甘さに脳をかき乱されたのですが……。 個性的な5人の女性が、主人公に惹かれるポイントは様々。声、手触り、匂いetc.フェチポイント多彩ですが、それぞれの性的惹かれが強く描かれて、恋というのが理屈じゃないんだなぁ、というのが分かります。 そう理由は無くても、恋は恋。 主人公・空池(そら行け!)メイは、5人の女性に同時に恋し、何なら付き合いたいと思ってしまう「人倫にもとる」状態なのですが、でも、恋が理屈じゃない、と知っている私にはそれも仕方ないことだと分かる。 色々制御できないメイは、どの人とも出会って二ページで恋に落ちる(少し誇張あり)。でも性的・恋愛的惹かれってそういうもんだよね?色々こねくり回した「恋に落ちる」表現より、この作品の"光速恋落ち"描写の方が私には腑に落ちるのです。 後半、学内でメイに群がる女性達。1巻にして大混戦!全員を好きすぎて絶対一人なんか選べないメイ、どうするんだよー!とソワソワして、いてもたってもいられなくなる感じ。 本当に 結末が わからない
本作の主人公は、美味しいご飯をガッツリ食べたい女子大生。そして食べたいものは自分で作ってしまう、料理上手でもあります。 そんな彼女が学内で人気の先輩と出会い、偽装恋愛しながら先輩に料理を教え、共に食するうちに距離が縮まり……という甘やかで楽しいお話はしかし、その中に若干の緊張感を孕みます。 主人公はコンプレックスが多い。ガツガツ食べるのが好きのも、恋愛に興味が無いのも人に隠している。一方の料理下手な先輩もミステリアス。物知りで恋愛経験も豊富?で、主人公を翻弄しその気にさせてゆくのに、何かを隠している。 距離を縮めるトキメキを追いながら、時に不安になり、その不安を解消したくて先を読むうちに、一冊をあっという間に読み終えて驚いてしまいました。コンプレックスを抱く主人公&何かしらの病みを飼う先輩に、優しい解決が訪れる事を願って、次巻を待ちます!
「大丈夫」って、他人に言われても時と場合によっては逆効果だったりして決して魔法の言葉ではないと思ってるんですが、この漫画では人に大丈夫と言い聞かせるのではなく「あらゆる方法で大丈夫になるようにする」というスタンスなので、前向きの押し付けをしてくることもなく万が一その辺の心配がある人は、安心してください。ある意味、「大丈夫」をここまで深掘りする漫画って今までなかったかもしれません。新鮮でした。 個人的には主人公に感情移入するというより、あくまでも大丈夫じゃない→大丈夫になってく様子を観察する感じです。物語全体を通して徐々に大丈夫になってくのではなく、とにかくずっとそれを繰り返してます。感情移入はしないと書きましたが、なんとなく今まで生きてきて、意外と自分もその繰り返ししてきたことに気づきました。 その他、少しSFファンタジーな要素もあるのがまた惹きつけられます。レベルファイブって子供向けゲームのイメージが強いですが、この漫画は普段青年マンガしか読まない人でも楽しめます。
アラサーちゃんでおなじみ、峰なゆか氏の妊娠〜出産のエッセイ漫画。 2巻以降、育児編もあるのかわかりませんが、1巻だけでも読み応えがすごいです。 こういうテーマのエッセイ漫画って、妊娠を望んでる夫婦とか、妊娠中の人とか、もしくはそのパートナーとか、または妊娠出産経験者とか、そのへんの人がメインターゲットになるかと思うのですが、自分はそのどれにも当てはまらない読者で、そんなわたしでも面白い!と思えました。(笑える!という意味の面白い!とは違いますけど、作風を知ってる方にはわかると思いますが笑える面白さもあります。) クチコミタイトルにも書いたように、人間の体において、妊娠と出産はバグである。なぜこんなにも母子ともに死と隣り合わせなんだろう。なのに世間は妊婦に優しくない。シンプルに、怖いです。まあ、あらすじにあるように、リアルを知るという意味ではバイブルになるんだろうと思います。 妊娠出産育児エッセイ漫画が数ある中、この峰なゆか氏のエッセイにしかないものでいうと、なゆか氏のパートナー"チャラヒゲ"さんの存在です。この方、まさにファンタジーといっても過言ではないほどの理想的な存在です。妊娠中の描写はリアルだが、チャラヒゲ氏はファンタジー。どうやって生きてきたらそんな考え方・立ちふるまいができるんだろうか。巻末にチャラヒゲは架空と書いてますがなゆか氏のInstagram等を見る限り、チャラヒゲ氏は確かに"居ます"。
月1度の贅沢お寿司、最高ですね。 雫が行ったお店に、会社の宇田川主任がいるのには、びっくり。 好きなもの、好きなことってのは、日々の活力になるだろうなと、羨ましい限り。 いやぁ、お寿司食べたくなります、しかも回らないお寿司屋なんて〜美味しそう。 共通の趣味で距離が近づく2人も、何だかほっこり、いいですね。
自殺を試みるも最後の最後で躊躇いが生まれ、失敗を繰り返す日々を過ごしていました そんなある日、仕事帰りにふと亡き妻にプロポーズした"人魚伝説"のある海を訪れた省吾は、岩場から足を滑らせてそのまま海に落ちてしまいます。 沈みゆく中で一瞬b死を覚悟した省吾でしたが、そんな彼を謎の少女が助け出します。 渚と名乗ったその少女は自身のことを"人魚"だと言い、人間の世界を見てみたいからデートをしてほしいと省吾に申し出ます。 そこから、省吾と渚の不思議な逢瀬が始まります。 渚と過ごす時間に心を癒やされながらも亡き妻への思いが心に残り続ける省吾と、省吾との時間を純粋に楽しみつつも時折影のある表情を見せる渚。 2人が何度も同じ時を過ごすうちに渚の本当の姿が明らかになり2人の物語は佳境を迎えます。 1巻完結で2人の関係性が丁寧に描かれ、最後には美しい結末へと辿り着く物語です。
人といる時の同調圧力とか気遣いとかを、たいていは嫌だと思う。それというのも「自分が大切にされていない」と感じるからですよね。まずは自分ひとりを、きちんと満たしてこそ、他人に気遣いしたくなる。 本作の主人公は小さなキャンピングカーで、週末ソロキャンプを楽しむ女性。各地の名物から自炊まで様々な食を楽しみ、自然を満喫する。 思いつきで予定を変えたり、未知の冒険に突っ込んでみたり、予定通りに行かなくても次の楽しみを見つけたり。ひとりならではの自由さで、自分の「本心」を満たす。そんな彼女が本当に羨ましい。 その上で、どうも人付き合いは苦手そうな彼女が、一期一会の喜びを知ったり、意外な人との交流で相手の良さをきちんと受け取る。派遣先の会社のエースと言われる女性との、お互いを知り合う関係は2巻以降の展開を楽しみにさせてくれます。 たくさんの知識と共に、主人公の「満たされる」感覚を共有すると、世界を受け入れる心の余裕が私にも生まれました。