
漫画で話せ
何を隠そう私も自分の描いた漫画を第11回青年漫画賞に応募していたのです。とはいえ私は記念受験のようなものなので箸にも棒にもかからないのですが…それでも言わせて下さい、私のライバルって中原とほるだったのかよ!!と。いや〜でもこれは完敗です。だって全編を通して「漫画を描くのが楽しい」って感じだったじゃないですか。働きながら漫画を描くのは大変です。やりたいことがあるのは幸せだけど、休みの日なんかに一人で引きこもってコツコツ描いてると「誰にも求められてないものをこんなに一生懸命やって何になる?」と虚しくなります。それよりも情けないのは描きたいから描くのではなく「漫画家になりたいから描いている」という気持ちのブレが起きてしまうことです。それでは本末転倒なのです。だからこそ作中で叔父さんが言っていた『表現を続けなさい』というセリフに胸を打たれて勇気づけられました。それは連載デビューを経験された後も医師として働きながら投稿を続けられたご自身に対しての言葉なのかもしれませんが、私もこんな風に漫画と向き合いたいと思わされる姿でした。いつか私の漫画を中原さんに読んでもらいたい。漫画で話したいです!
タイトルで、なんでも野球にたとえたがる人の話かと思って読み始めたら、全然違いました笑
主人公は言葉が苦手ということでしたが、そうじゃなかったとしても、 なにか伝えたいことがあるときに言葉以外の方法を取ることってあるなぁと思い起こされました。表情や身振りというのもさることながら、無言になることで何かを伝えようとしたり、子供のわがままや癇癪、ときに暴力でさえ伝えようとしている姿なんだろうと。
「何かがはじけた」瞬間は、伝えられることへの気付き。
こころ温まる、素晴らしい作品でした。ぜひ読んでみてください。