一家に一冊の名作です(上下巻二冊なのに?)
ミスミソウ 完全版 押切蓮介
※ネタバレを含むクチコミです。
3巻まで読みながらも、何度か読むのを止めようと思った。
でも第0話で描かれた関係性が少し不思議で、続きを読んでみたくなった。
もしかしたら、廃校寸前の中学校を舞台にした女の子ふたりの青春物語が生まれる世界線もあったのかもしれない。
どこにも逃げ場がないかんじがする中学時代。
なにかしらトラブルを持つ、生徒と先生。
何にもない田舎だから生まれた流れと言わせしめるような、全ての悪を「田舎」のせいにする子どもたち。
そして、周りは囃し立て、その流れからもう誰も逃れられず、普通の人たちが、もっとひどいことをしてしまう、させてしまう。
現実の殺人事件でもこの状況があったような。
我が子がいじめられっ子でなく、いじめっ子でよかったと思う保護者もなんだかリアル。
そして、ドロドロの空気感と展開をホラーな方向へ変えていく、壊れた人たち。
爽やかな青春と卒業式とは、正反対。血まみれの日々。
血で血を洗うような憎しみは、行くところまで行かないと終わらない。
雪はその血をも消していく。
読みながら、こいつは同情してやるかとまで思った先生。彼女の夢は潰えたというのが悲しく、気がついたら同情していた。