イラストレーターとAIロボットの絵と生活にコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。
えをかくふたり

祈りに似た絵という言語 #1巻応援

えをかくふたり 中村一般
兎来栄寿
兎来栄寿

こういう作品が、とてもとても大切だと思います。 『ゆうれい犬と街散歩』の中村一般さんの新作です。 ″ふたりにとって、「絵」は言語だった″ という印象的で秀逸なモノローグから幕を開けるこの物語は、25歳のイラストレーター花海修(はなみおさむ)が主人公。AI人型ロボットがデータ収集目的でひとり暮らしのモニターを募集していたところに修が応募して見事当選したことで「DLHC2030」、通称ハルと共に暮らしていく日々の様子を描いていきます。 元々イラストレーターとして活躍されていた筆者自身の経験がふんだんに込められているようで、現代におけるイラストレーターの仕事描写の解像度が高いです。本の装画の仕事では、帯やバーコードの位置を意識して絵を考えるなど言われてみればなるほどと思うような仕事のディティールの妙があります。装画仕事の進め方やリモート会議の様子など非常にリアルです そうした仕事マンガとしての興味深さもありながら、この作品の何よりの美点は創作者として生活している修の感性の豊さです。 2話の「夕陽はメッチャ動物的」の件なども良いですが、とりわけ1巻の最後に収録された5話が最高です。 ″俺の経験上、「絵を描くという行為」そのものは、  祈りに近いような気がしていて″ のパートは、読んでいてしみじみとする素晴らしい言語化がされているなと思います。絵のみならず、他の創作や多くのことに通ずる真理でしょう。 かつて神保町の高岡書店の店長が閉店時に「マンガがあれば、僕らはまたどこかで繋がれます」と語ってくださいましたが、マンガという言語で世界や人と繋がっている私にはとても沁みました。 ″いつから絵を描くことは  資本主義の競争に勝つための  武器になっちまったんじゃ〜!″ ″そういうことを忘れない人間でいたい  彼らにきちんと祈れる人間でありたい″ という修の語る言葉は、今の時代において極めて重要なテーゼです。一番大事なことを常に忘れずに、見失わずに生きていたいと思わせてくれます。 そして、イラストレーターということもあって決めのシーンの一枚絵から生み出される情緒がまた堪らず、湧き起こる感情を繊細かつ雄弁に補強します。 何気ない風景の1コマにも魅力が宿っており、読んだ後は心に風を通したように軽やかにしてくれる作品です。

本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
※本棚・フォローなどの各アクションメニューはこちらへ移動しました(またはフローティングメニューをご利用ください)