仙石秀久を主人公にした名作『センゴク』シリーズ。
その著者宮下英樹が描く関ケ原となれば、否が応でも期待せずにはいられない。
また、歴史的にも最も興味のある関ケ原が舞台となれば、より高まるというもの。
まだ1巻だが、もう面白くなりそうな予兆がある。
特に、家康の描き方。
秀吉も死に、かつての戦国大名がことごとく居なくなったこの時代になると、いよいよ次の天下人へと二心ありな老獪として描かれることが多い家康だが、本作はおっちょこちょいで色々ザルな感じが人間味を感じる。

先手先手へとやっていることが、時局からみると尚早だったりして逆に謀反や野心と捉えられて、家康のうろたえる様が、どっしりしている印象だっただけに面白い。

逆に一層、三成の有能さも光る。
まだ随所にしか出てきませんが、関ケ原において三成贔屓な人間としては、この点も魅力的。

また冒頭にある著者のスタンス
『「天下簒奪の陰謀」「豊臣氏への忠孝」当事者にそんな余裕があったとは思えない その舞台裏を描く』
とある点も興味深いです。

歴史全般的に言えることですが、正直、最終的に天下を統べる人間がどこまで結果を予測できたかってわからないですよね。
というか、自分はそんなわけないと思ってまして。
もちろん向かいたい方向性はあったとは思いますが、すべてが計算による政治的駆け引きの結果とは到底思えなくて、その場その場でうまく時流にのせてしのいだというのが正しい気がしております。
もしそんな絵図が描けるのであれば、家康は、もっと早く天下獲って良いはずだし。

だから、本作がそのある種のどうしようもない時代のドタバタした流れが描かれるのか?と思うと期待しかないです。

願わくば、完結までいってほしいので、ゲキ応援します。

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大乱 関ヶ原
センゴクシリーズの外伝的作品
大乱 関ヶ原 宮下英樹
ひさぴよ
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https://manba.co.jp/boards/61748/books/27 同作者のセンゴクシリーズにて、朝鮮出兵後から関ケ原の戦いまでの歴史については、センゴク権兵衛の終盤でも描かれていたが、だいぶ駆け足であった。そこに最新の研究や考察を盛り込み新たに始まった作品。 掲載誌がヤングマガジンからコミック乱に移り、タイトルも変わっているため別作品と思われる方もいるかもしれないが、各人物のキャラデザはセンゴクシリーズを引き継いでおり、外伝的な位置付けの作品と言っても良いだろう。(ちなみにセンゴクはいまのところ登場してない) センゴクシリーズを未読でも当然楽しめるが、家康が主人公となったことで、センゴクの家康とはまた違った一面が感じられる。「馬鹿者!」と怒ったり、裏工作がバレて周りの信頼を失ったり、老獪さのイメージとは裏腹に、何かと思った通りに事が運ばなくて慌てる家康の姿が印象的だった。 最終的にどれくらいの長さの巻数になるかわからないが、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」も始まったこともあり、「センゴク外伝 桶狭間戦記」と同じくらいの長さになるのではと予想。従来の家康像とはまた違った姿を見せてくれる事と思う。完結まで要注目の作品である。
iメンター すべては遺伝子に支配された
遺伝子とAIに支配された世界
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六文銭
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自分の遺伝子に応じて、適職や配偶者までも 「iメンター」 と呼ばれるAIツールのようなものが判断してくれる世界。 しかも精度が高いからほぼ合っているという感じで、人類は無駄な努力というものがなく(例えば、野球選手になれる特性がなければ野球をしないとか)、効率的に人生を送れるというもの。 近未来では、わりとこうなりそうな感じで読んでてワクワクした。 しかも、1話完結のオムニバス形式ですが、徐々につながっていく感じはゾクゾクしました。 余談ですが、昔何かの本で、 パンドラの箱の中身にあった、すべての災いの正体は「自分の未来」 という解釈をした本があって、それを思い出しました。 つまり、将来自分がどうなって、いつ何で死ぬかを知ること以上の絶望はないという解釈だったのですが、確かに、どうなるかわからないから可能性にかけて頑張れるというのありますよね。 だから本作のように、生まれながらにして将来が決まってしまう世界は、絶望しないのかな?とか考えてしまった。 登場人物、意外と穏便に過ごしているので。 いずれにせよ、SFジャンルとして考えさせられる作品で、3巻完結なのも読みやすくて良い作品でした。
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一国か自分の命かを選ぶ設定が秀逸
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武士沢レシーブ
謎に読み返したくなる
武士沢レシーブ
六文銭
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思春期に「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」をリアルタイムで読んでいた人はわかってくれると思うのだが、ギャグ漫画としてのマサルさんの衝撃はとにかく凄まじかった。 意味不明なのに爆笑できるという体験をさせてもらった作品で、シュールのような斜に構えたものでもなく、浦安鉄筋家族のようなわかりやすいギャグでもない。 でも面白い!という今でも強烈に覚えているほど私には衝撃的だった。 そのうえで、次回作がコレ。 そして、『ピューと吹く!ジャガー』に続く。 つまり、マサルさんとジャガーの間が本作。 わかりやすく言うと打ち切りなのだが、これはこれで私にとっては衝撃的だった。 マサルさんの衝撃後、同著者の新連載ということで本作を読んだら、文字通り ??? となった。リアルタイムで読んでいた人は(以下略 雰囲気はマサルさんチックなのだが、ヒーローに憧れるとかバトル要素が強く、どことなくギャグのキレも弱い。 でも、大人になるとなぜか無償に読みたくなる。 マサルさんの著者なのになぜ?と友人とよく話していた思い出補正もある。 加えて、マサルさんからジャガーへ昇華される段階なのか?という捉え方ができたり、純粋に天才だと思った作家の人間味を感じる。 ギャグ漫画の鬼才だと思っていた人間も、迷走するんだなと。 (マサルさんの後半も結構失速感はあった) 大好きな作家の、そんな一部が垣間見えるということで、謎に読み返したくなる作品です。 作家ファンの人にとっては貴重な体験になるのではないでしょうか。 最後に、ギャグのキレが弱いと言いましたが。「イヌーピー」(要はアレ)というキャラだけは、腹かかえて笑いました。
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