ラーメンは素晴らしい
生きることを諦めようとしたり、絶望していた三人それぞれが、一杯の塩ラーメンの為に集結する内容です。 これをみながらラーメン食べたいなあという気持ちとラーメンってすごかったんだ...という驚きの気持ちでいました。 メインキャラたちの山あり谷ありの生き様も差し込んでいてとても見ごたえがありました! 読み切りで、どれも最高なお話でした。
妻を亡くし、店を畳む決意をしたラーメン店店主・紅。ウイグルでのテレビ取材中、事故に遭い、一人荒野を彷徨う羽目になった料理研究家・赤星。心ない同級生の噂が元で、自殺を考える女子高生・茉莉絵。一杯のラーメンへの思いが彼らを変えていく。
ラーメンを題材にした漫画には、構造的な問題があります。
「枯れている料理であるが故、そのためには表層的ではない旨さを描く、そのための手法/技術を、絵で説得しなければいけない」
…と言うものです。
え?めちゃくちゃ難しいですよ、これ!
生きることに絶望した三人、婆さんを亡くしたラーメン屋の爺さん、友人に裏切られてしまった女子高生、砂漠の中で遭難してしまったグルメ評論家、それぞれが一杯の塩ラーメンのために最後に集結する。
勿論、食べることと生きることは直結しているのですが、更に踏み込んで、もつれた人間関係も、自分の生きたい道を伝えることも、自然と紐解かれていく。そういうお話です。
そのためには、舞台を新櫃ウイグルの山脈と、群馬県の小都市を交互に行き来させることで、説得力を持たせているんですね。
今のグルメ漫画は、大概、作者や原作者が、実物をデジタルカメラで撮って、それを取り込んで加工、またはトレスするのが普通なのですが、この漫画はそれをやってないですね。そのシンプルでも、きちんと美味しそうに見えるのは、実物のシンプルだけど力強い一杯、これがないと成立しなかったでしょう。
麺を綿棒で打つ、出汁を取る、味見をする、湯切りする、と言う極々地味な作業の一つ一つが愛おしいのです。
…後、最後のオチとしては、最後までラーメン屋になることを反対していた、コジマの母親が、フツーにフロアのバイトとして入ってるコマでしょうか(?)