ただの漫画家漫画、ではない
なんだこれめっちゃアツい!1話目から面白すぎる!率直な感想がこれです。新しい漫画家漫画…いや。漫画家バトル作品!多知川さんがネームを読んで衝撃を受けるシーンの画力(えぢから)の強さ、えっっぐい。石山諒先生の絵が上手すぎるし、センスが半端ない。表現が天才、かっこよすぎる。 ストーリーも入れ替わり→底辺→頂点へ!だけでなく、+技術を持った入れ替わりの相手(外見はかつての自分)という高すぎるハードル付き。もうワクワクがとまらん。久しぶりに漫画でアツい気持ちになれました。これはおすすめしたくなる!
4月の激推し作品の1つです。
「超絶怒涛 バッチバチの漫画道!!」
という1話最後のナレーションがこの作品の本質で、その言葉通りに毎回滾らせてくれる熱い漫画家ストーリーです。
主人公は世界1億5000万部の超人気作家・花神臥龍。現実で言えば『ワンピース』の尾田栄一郎さんでしょう。そんな臥竜が、誰の画風も完コピしてしまう「カメレオン」の異名を持つアシスタント深山忍と体が入れ替わってしまい、自身の地位や功績を乗っ取られてしまうところから物語は始まります。
カメレオンは「変色竜」とも書きます。紛い物の竜であっても、やがて本物の竜となり竜vs龍の対決が描かれていきます。
『聖闘士星矢』の老師曰く、「亢竜悔いあり」。昇り詰めてしまった龍はそれ以上高みへ至ることはできず、後は落ちるのみ。臥竜は高みへ達してはいても、ある意味では執筆している大ヒット作やその責任に縛られており、その先はある種そこまでの成功の延長線上、既定路線とも言える状況でした。
ところが、「よわくてニューゲーム」のような状態でまたLV1からのリスタートを求められる状況となり、逆に「自分の最高のヒット作を超える」、「そのために今まで以上に成長する」という新たな目標が生まれたことにより臥竜は燃え盛ります。その熱さがたっぷりと伝わってきて、シンプルに「面白い!」と思える作品です。
ライバルキャラクターである深山の底知れない不気味さも魅力的で、キャラが物語を駆動させている疾走感があります。
個人的に1巻で特に好きなのは、第3話「作者のあんたが」でアシスタントに出向するシーン。
既に打ち切りが決まってしまって、「こんな漫画に」と自作を卑下する作家に対して、どんな漫画ではあってもアンケートで他の作品より面白いと言ってくれている読者がいるはずだ、それなのに「作者のあんたが」そんなことを言っちゃいけねえと臥竜が熱く諭すところはグッときます。その後の担当編集者の言動も併せて、熱さで泣ける良いお話です。
『ONE PIECE episode A』にも携わった石山さんだからこそ、よりリアルに描ける部分もあるかもしれません。強く応援していきたい作品であり、作者です(この内容をアシスタント無しで描かれているということで、お体は大事にして頂ければと思います)。