タイトルも俳句になってるんだ!
同居してるおばあちゃんとの仲が上手くいかなくて離婚して遠くに住んでいる母親に新幹線で会いにいく小学生の女の子の話なんですが、道中で学校の先生に出された俳句の宿題をやっているのが淡々としたストーリーにリズムが生まれるみたいで楽しいですね。なんとなく黒谷知也に似ているテイストを感じました。 両親は離婚したけどオンラインゲームの中で時々会ってるとか、あとはラストでの女の子のポジティブな心境の変化が読後感を明るくしてくれます。そういう重要なシーンを大げさに描いたりしてないところも好きです。でも心に残るから上手いな〜と思いました。
文学や芸術が腹を満たすことはない。理不尽をぶん殴ってもくれない。でも日常を彩るし、心を強くしてくれる。
おばあちゃんは寂しいだけだよみたいな文脈で片付けようとして娘を強く引き止めようとしない母ももちろん祖母も父も最悪だけど、このハードな宿題を出した先生は素敵な大人だなあと思った。
そうなんですよね…孫娘に躾の度を越えた(児童)虐待を受けさせる祖母も、娘を置いて行って離縁した(半ば祖母にマインドコントロールされている状態の)母も、祖母の言いなりになっている父も、まさに毒親ですよね…
毒母、毒父、毒祖母を家族に持ってしまった(毒家族の娘に当たる)主人公の女の子が、一人前の大人になると同時に幸せになる事を願いたくなります。
野愛さんよく言ってくれました。
特に(毒家族の一員である)毒祖母が主人公の女の子を平手打ちするシーンが胸糞です…
母親と祖母がキャラクターとして魅力的なのが上手くて汚い描き方だなあ…と思ったんですよね。
たぶん主人公は「それも愛だよね」みたいな眼差しを受けてきた(受けていく)んだろうなあと。
そんな理不尽に負けないでわがままに強く生きてほしいなあと思わせてくれる作品でした!
暴力をふるう祖母も話を聞かない父親もわかったようなことを言って娘に我慢させようとする母親も全員胸糞悪いですよね…
こういう日常をおくる子どもたちが、俳句でもなんでも強くなれるもの夢中になれるものを見つけてほしいなと思います