「ヒトの線引きからあぶれた生き物を好きにしていいのなら、私も私を好きに扱っていいだろう――?」遺伝子操作が産業として発達し、人間であることの線引きを自由に操作することすら可能となった世界。水没した街の残骸で暮らす人々の中には、人間以外の動物の遺伝子を持つ「劣った」者が存在する。遺伝操作を生業とする生体操作師・音喜多(おときた)。自身も何種もの異種遺伝子を抱え、自分を実験体にし続け生きる彼の元に、様々な事情を抱えた者たちが訪れる――。「人間と他の生物を分かつものは何か」月刊アフタヌーンで不定期連載された読切連作、作者再編集によるデジタル新装版として配信(内容は2015年10月に配信された講談社版とほぼ同一です)
食費をうっかりお酒代にかえては、一緒に暮らすハルに叱られる生態操作師のおじさん・オト。
料理はすごく不味いらしい、射撃の腕はピカイチな若者・ハル。
人以外の遺伝子をもつ異形成キャリアと呼ばれる人たちがいる世界。
水没した街には何故か特に多く住んでいる。
この世界の法律では人以外の組織の割合が一定を超えた異形成キャリアは基準外キャリアと呼ばれ、人とはみなされない。
とはいえ、見捨てられた水没した街の人々は、他の生き物のパーツが体に発現するまで、自分が異形成キャリアであることすらわからない。
街に近い洋上で暮らすオトとハルは、国の定めた基準を超えてしまった異形成キャリアの人たちを、生体操作をして助けていく。
人以外の組織が1%でも超えたら人ではなくなるのは、おかしくないか。
服などで見えない部分が超えていたらわからないのに、人ではなくなるのか。
人間らしい思考を持っているのに?
じゃあ、人間らしい思考を持っていたら、あきらかに別の生物でも人なのか?
「人間と他の生物を分かつものは何か」
あらすじにあるこの問いを、「螺旋じかけの海」は様々な物語から問うている。
そして、めずらしい(より人のかたちに近い)異種形成キャリアは高値で取引されることが、問題を複雑にする。
作者の本職は医者とのこと。
色々悩みながら描かれているのかもしれない。
小難しい漫画に思えるが、食えない性格のオトとおだやかそうなハルの掛け合いがおもしろいので、さくさくと読める。
続刊があるのかないのかわからないけど、続くなら読みたいなと思う。
追記
11話の5巻でいったん終わりだと、単話11話前編として公開された電子書籍内に書かれていました。
追記の追記
5巻が発売されました
「ヒトの線引きからあぶれた生き物を好きにしていいのなら、私も私を好きに扱っていいだろう――?」遺伝子操作が産業として発達し、人間であることの線引きを自由に操作することすら可能となった世界。水没した街の残骸で暮らす人々の中には、人間以外の動物の遺伝子を持つ「劣った」者が存在する。遺伝操作を生業とする生体操作師・音喜多(おときた)。自身も何種もの異種遺伝子を抱え、自分を実験体にし続け生きる彼の元に、様々な事情を抱えた者たちが訪れる――。「人間と他の生物を分かつものは何か」月刊アフタヌーンで不定期連載された読切連作、作者再編集によるデジタル新装版として配信(内容は2015年10月に配信された講談社版とほぼ同一です)