何も知らないけど、キミが好き。
推しと恋愛の違い
何も知らないけど、キミが好き。 きし晴護
ゆゆゆ
ゆゆゆ
2.5次元はよくわからないと思っていたのですが、なるほど。 「錯覚」。 私は好きな作品の実写ドラマ化は、現世へ連れてこないでと悲しむタイプです。 作者さんがどんなに絶賛していようと、それはそれ、これはこれ。 二次元の絵を、動いて喋る生身の人間に当てはめることが、受け入れられないのです。 現実世界では存在し得ない髪型が、再現されていても、されていなくても、許せなくなるほどです。 いや、もうほんと――失礼しました。熱くなり過ぎました。 なので、第一話の主人公には同意しかなく!!と思っていたのですが、まさかそうなるとは。 読んでいて、最近流行りの2.5次元を楽しむ人達、というか、2.5次元の沼にはまり込んだ人たちはこういう感じなのかと、大変勉強になりました。 『【推しの子】』でも2.5次元は取り上げられていましたが、沼ったファンサイドからというのはまた新しい視点です。 どこまでリアルなのか分からないあたり、『明日、私は誰かのカノジョ』のような怖さもある漫画ですね。 私もいつか、ひょんなことから実写について、手のひらクルンするかもしれません。「深淵をのぞくとき」と言いますので。
何も知らないけど、キミが好き。
「絶対ハマらない」と思っていた沼こそ危険 #1巻応援
何も知らないけど、キミが好き。 きし晴護
兎来栄寿
兎来栄寿
人生の最推しが2.5次元や3次元になる時の恐怖といったらありません。3次元の人間が、どうやったらあの仙姿玉質・鮮美透涼・晶榮玲瓏・文質彬彬な姿を演じられるというのでしょうか。 かつて、その機会が訪れてしまった時、私は筆舌に尽くし難い慨嘆と憔悴に至りました。愛があまりにも深すぎるが故に要求値は比類無き高さとなってしまっていることは自覚しており、満たされるわけもないと解っていてはいる……それでも自らの目で見て確かめずにはいられず、その結果絶望の淵に立たされる。 その作品がどれだけ他の実写化作品に比べて恵まれていたかは解りました。何なら、監督の原作愛の深さで言えば上位1%に入るであろうレベルでした。私自身その作品への愛ゆえに作品に出演し、その監督やキャスト陣の仕事ぶりを生で見てきたからこそ感じられた部分です。とても雰囲気の良い現場でした。 しかしながら決定的な部分、最愛の人物のキャスティングの解釈違いと、そこだけは無理してでも頑張って欲しかったという部分が妥協されていたことで、原作ファンには概ね高評価のその作品も、私の中では大いなる黒歴史となってしまいました。not for meの極みです。それでも、作品ファンが増えてくれるなら、あるいは原作者が喜んでいるのなら、それはそれで大変喜ばしいことではありました。なので、最早私は無の境地を経た上で原作を愛する以外ありませんでした。 というわけで、第1話で "「実写化」なんて全部ゴミです!!  「劣化」です!!!!" と雄叫びを上げる本作の主人公・愛理の気持ちは痛いほどに解ります。ただ、愛理と私で違ったのは、こちらの次元にやってきた推しの完成度が非常に高かったこと。推しが2.5次元や3次元になるなんて有り得ないと思っていた愛理ですが、それまでは同じ作品を好きな仲間とも共有できなかった推しに対する深い解釈が、推しを演じる2.5次元俳優とだけは合致してしまったのです。そんなん沼りますよ。常に供給のあるナマモノジャンルは恐ろしいと太古から言い伝えられていますからね。 ある種、遠いところにいた人ほど沼の深みにハマっていくパターンはあります。近いところにいた人が普通に持っている物差しがなく、何もかもが新鮮であるが故にの楽しさもあるからです。絶対にハマらないと思っていたからこそ、自分の予想だにしなかったところまで突き進んでいく。共感するわけではないのですが、極めてそれに似た理解の感情が湧き起こります。 また、さまざまなタイプの女オタクの面倒くさい部分やSNSで本当に呟いていそうな書き込みの解像度の高さも秀逸です。既視感を覚えるほどのあるあるがあります。それと共に、2.5次元俳優側の描写もしっかりと行われ、そちらもかなりリアルな印象です。「自分の消費期限」や「需要と供給」に自覚的な彼らの立ち居振る舞いも、目を引きます。 物語全体は、破滅的な濁流に飲み込まれるようなドライヴ感が生じていきます。危うさを覚えながらもこの先どこへと辿り着くのか、引き込まれます。 2.5次元に興味のある方、推しへのガチ恋の沼底や女オタクの闇の部分を覗き込みたい方にお薦めです。
生きのびるための事務
人生を変える《事務》の捉え方・やり方 #1巻応援
生きのびるための事務
兎来栄寿
兎来栄寿
建築家で作家でアーティストの坂口恭平さん。マンガ好きにとっては『月刊スピリッツ』での連載のイメージも強いでしょうか。 そんな坂口恭平さんが、noteで執筆していた「生きのびるための事務」を『みちくさ日記』の道草晴子さんがコミカライズしたものがこちらです。 私は元のnote版を少し読んだ程度だったのですが、改めてこのコミカライズ版で通読すると本当に素晴らしい内容だなと感じると共に大きな勇気をもらえました。 皆さんは「事務」というとどういうイメージがあるでしょうか? 「メインの仕事とは別に存在する、やらねばならない多量の雑務」 「面倒くさいもの」 「堅苦しくて地味な仕事」 そんな風に捉えている人も少なくないと思います。かくいう私も、書類作成や確定申告などやりたくもない事務に時間と労力を割かねばならないのが辛く感じる人間です。しかし、この本を読むと「事務」というものの概念ががらりと変わります。 この書は、筆者が普通の就職はできず将来何をして良いのかも定まっていなかった大学4年生のときの筆者が、イマジナリーフレンドのジムを通してどうやって生きのびていけば良いのかを体得していった実体験を描いたものです。 家賃28000円の家に住み、日雇い仕事をして月給12万円ほどだった坂口さんが一体どのようにマインドと行動を変えて1000万円以上を稼ぎながら自由にやりたいことをして生活できるようになっていったのか。 ピカソやデュシャンなど、名だたるアーティストたちも事務をやりながら生きのびていっていたことに触れながら、 「≪事務≫こそが創造的な仕事を支える原点」 「≪事務≫は継続することでどんどん伸びていく」 「冒険があるところに≪事務≫がある」 「死ぬまで好きなことをやる続ける人生において、≪事務≫は好きとは何かを考える装置」 「会社設立は≪事務≫の中でも最高のブツ」 「やりたいことを最優先に即決で実行するために≪事務≫はある」 といったことを語っていきます。普通にイメージする事務とは、大分異なるのではないでしょうか。おおまかに言えば「スケジュール」と「お金」の管理こそが事務なのですが、それを具体的にどのように行なっていけば素晴らしい未来を切り拓いていけるのかが語られ、読んでいるだけでもワクワクします。 ジムは「イメージできることはすべて現実になる」と語りますが、私も他でもよく語られるその言葉は人生の指針のひとつでした。そして、そのイメージをどう具体化して実際の行動に移していくのか。そうしたところも実体験を通して非常に解りやすく記されています。 ・自己を肯定も否定もする必要はなくて、否定すべきは己が選んだ≪事務≫のやり方だけ ・才能というのは毎日やり続けられること ・≪将来の夢≫の前に≪将来の現実≫の具体的なヴィジョンを思い描き書き出し、≪将来の現実≫に楽しくないことは1秒も入れない といった部分も、とても共鳴します。 坂口さんは自身の電話番号を公開して(作中にも登場します)、自殺者を減らすための相談窓口「いのっちの電話」という活動も行っています。この本には、少々クセの強いところもありはしますが、それでもタイトルにある「生きのびるための」という部分が大きな意味を持つところもあります。文字通り、この本を読んだことで生きのびることができる人もきっといるはずです。 自分の好きなことだけをして生きていきたい人、将来何をして生きていけば良いのかわからない人にこの本が届いて欲しいです。すべては、≪事務≫のやり方で変えていけます。
回胴創世記 パチスロを創った男達
バジ絆はいかにして作られたか #1巻応援
回胴創世記 パチスロを創った男達
兎来栄寿
兎来栄寿
『ロックンリール』や『《魔力無限》のマナポーター ~パーティの魔力を全て供給していたのに、勇者に追放されました。魔力不足で聖剣が使えないと焦っても、メンバー全員が勇者を見限ったのでもう遅い~(コミック)』の伊藤ひずみさんによる、パチスロ版『プロジェクトX』や『ガイアの夜明け』的なドキュメンタリーです。 私はパチンコ・パチスロは付き合いで5号機以降を多少嗜んだくらいですが、元々『バジリスク』の原作もアニメも山田風太郎さんも好きだったので、『バジリスク』シリーズは多少触りました。 当時は陰陽座が大好きで、カラオケでの十八番も「蛟龍の巫女」だったので、『バジリスク2』でシングル曲でもないアルバム収録曲が激アツの際に流れる曲として採用されたのは望外でした。 1/16000の白バジが揃ってエンディングまで到達し、弦之助と朧の悲痛な最期を見て泣きながら打ったのは良い思い出です。 そんな『バジリスク』シリーズの中でも人気の高い『バジリスク~甲賀忍法帖~絆』がいかに誕生したのかというエピソードからこの本は始まります。 『バジリスク2』から間も無く絵やアニメーションの素材はそこまで増やせない中で、どうやって新鮮味を生み初心者から玄人までを楽しませる台を作るのか? その苦心惨憺ぶりが描かれていきます。そこには他の分野と何ら遜色のない、モノ創りへの熱情があります。 パチスロなんて低俗なギャンブルでしょ? という人もいるかもしれませんが、絆高確はこのようにして生まれたんだなぁ、原作への愛があればこそなせた仕事だなぁとその魂の込め方に感心しました。良いものを作れば絶対に売れるというわけではないこの世界ですが、結果的に妥協せず良いものを作って広くユーザーに愛されていくようになったことは素晴らしいなと。 他にも『アナザーゴッドハーデス』、『ディスクアップ』、『ハナビ』など長年ホールで愛された名機たちの誕生秘話が記されています。このあたりの台に思い出や愛着がある方であれば尚更楽しめることでしょう。 伊藤ひずみさんの絵はスタイリッシュで読みやすいですし、パチスロを打たない方でも「こういう世界があるんだなぁ」とビジネスマンガとして楽しめる作品であると思います。
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