あらすじ

好きな人がいます。その人の顔も本名も、何も知らないけれど――。自身の容姿にコンプレックスを抱くオタク、詩子は推しのゲーム実況者・レイトの配信を生きがいに過ごしていた。しかし、レイトの既婚者バレを受け、嘆き悲しむ。その時に出会った紗也加によって、詩子の人生は大きく変わることに――…安全圏外のラブストーリー幻想と現実をめぐる第2章、スタート。
何も知らないけど、キミが好き。 1巻

好きな人がいます。遠いところに。遠いところだったのに――。2次元至上主義のオタク、愛理。彼女が虚構と現実の狭間【2.5次元】で出会ったのは、実在する主人公だった。オタクが推しにガチ恋をしないでいられるのは、その“距離”のおかげでしょ。安全圏外のラブストーリー、開幕。

何も知らないけど、キミが好き。 2巻

もういっそ戻れないようになりたい。正気に。正気なんかに――。2次元至上主義だったオタク、愛理は【2.5次元】舞台で推しを演じた俳優・沖上に惹かれていく。2.5次元俳優と繋がる友人・翠の影響もあり“距離”を測り損ねた愛理の想いは、次第に境界を越え――…安全圏外のラブストーリー怒涛と深淵の第1章、クライマックス。

何も知らないけど、キミが好き。 3巻

好きな人がいます。その人の顔も本名も、何も知らないけれど――。自身の容姿にコンプレックスを抱くオタク、詩子は推しのゲーム実況者・レイトの配信を生きがいに過ごしていた。しかし、レイトの既婚者バレを受け、嘆き悲しむ。その時に出会った紗也加によって、詩子の人生は大きく変わることに――…安全圏外のラブストーリー幻想と現実をめぐる第2章、スタート。

何も知らないけど、キミが好き。

推しと恋愛の違い

何も知らないけど、キミが好き。 きし晴護
ゆゆゆ
ゆゆゆ

2.5次元はよくわからないと思っていたのですが、なるほど。 「錯覚」。 私は好きな作品の実写ドラマ化は、現世へ連れてこないでと悲しむタイプです。 作者さんがどんなに絶賛していようと、それはそれ、これはこれ。 二次元の絵を、動いて喋る生身の人間に当てはめることが、受け入れられないのです。 現実世界では存在し得ない髪型が、再現されていても、されていなくても、許せなくなるほどです。 いや、もうほんと――失礼しました。熱くなり過ぎました。 なので、第一話の主人公には同意しかなく!!と思っていたのですが、まさかそうなるとは。 読んでいて、最近流行りの2.5次元を楽しむ人達、というか、2.5次元の沼にはまり込んだ人たちはこういう感じなのかと、大変勉強になりました。 『【推しの子】』でも2.5次元は取り上げられていましたが、沼ったファンサイドからというのはまた新しい視点です。 どこまでリアルなのか分からないあたり、『明日、私は誰かのカノジョ』のような怖さもある漫画ですね。 私もいつか、ひょんなことから実写について、手のひらクルンするかもしれません。「深淵をのぞくとき」と言いますので。

何も知らないけど、キミが好き。

「絶対ハマらない」と思っていた沼こそ危険 #1巻応援

何も知らないけど、キミが好き。 きし晴護
兎来栄寿
兎来栄寿

人生の最推しが2.5次元や3次元になる時の恐怖といったらありません。3次元の人間が、どうやったらあの仙姿玉質・鮮美透涼・晶榮玲瓏・文質彬彬な姿を演じられるというのでしょうか。 かつて、その機会が訪れてしまった時、私は筆舌に尽くし難い慨嘆と憔悴に至りました。愛があまりにも深すぎるが故に要求値は比類無き高さとなってしまっていることは自覚しており、満たされるわけもないと解っていてはいる……それでも自らの目で見て確かめずにはいられず、その結果絶望の淵に立たされる。 その作品がどれだけ他の実写化作品に比べて恵まれていたかは解りました。何なら、監督の原作愛の深さで言えば上位1%に入るであろうレベルでした。私自身その作品への愛ゆえに作品に出演し、その監督やキャスト陣の仕事ぶりを生で見てきたからこそ感じられた部分です。とても雰囲気の良い現場でした。 しかしながら決定的な部分、最愛の人物のキャスティングの解釈違いと、そこだけは無理してでも頑張って欲しかったという部分が妥協されていたことで、原作ファンには概ね高評価のその作品も、私の中では大いなる黒歴史となってしまいました。not for meの極みです。それでも、作品ファンが増えてくれるなら、あるいは原作者が喜んでいるのなら、それはそれで大変喜ばしいことではありました。なので、最早私は無の境地を経た上で原作を愛する以外ありませんでした。 というわけで、第1話で "「実写化」なんて全部ゴミです!!  「劣化」です!!!!" と雄叫びを上げる本作の主人公・愛理の気持ちは痛いほどに解ります。ただ、愛理と私で違ったのは、こちらの次元にやってきた推しの完成度が非常に高かったこと。推しが2.5次元や3次元になるなんて有り得ないと思っていた愛理ですが、それまでは同じ作品を好きな仲間とも共有できなかった推しに対する深い解釈が、推しを演じる2.5次元俳優とだけは合致してしまったのです。そんなん沼りますよ。常に供給のあるナマモノジャンルは恐ろしいと太古から言い伝えられていますからね。 ある種、遠いところにいた人ほど沼の深みにハマっていくパターンはあります。近いところにいた人が普通に持っている物差しがなく、何もかもが新鮮であるが故にの楽しさもあるからです。絶対にハマらないと思っていたからこそ、自分の予想だにしなかったところまで突き進んでいく。共感するわけではないのですが、極めてそれに似た理解の感情が湧き起こります。 また、さまざまなタイプの女オタクの面倒くさい部分やSNSで本当に呟いていそうな書き込みの解像度の高さも秀逸です。既視感を覚えるほどのあるあるがあります。それと共に、2.5次元俳優側の描写もしっかりと行われ、そちらもかなりリアルな印象です。「自分の消費期限」や「需要と供給」に自覚的な彼らの立ち居振る舞いも、目を引きます。 物語全体は、破滅的な濁流に飲み込まれるようなドライヴ感が生じていきます。危うさを覚えながらもこの先どこへと辿り着くのか、引き込まれます。 2.5次元に興味のある方、推しへのガチ恋の沼底や女オタクの闇の部分を覗き込みたい方にお薦めです。