民俗学とかに出てくる「経立(ふったち)」と呼ばれる、長年生きたことで妖怪や魔物といった怪異になってしまった生き物に、人間が襲われるという話。
本作では、主に猿がそれに該当します。

田舎の限界集落。
突如、崩壊する平和。
容赦なく襲ってくる人外たち。

この設定・展開と「食糧人類」の原作者ということもあれば、否が応でも期待値が上がるものですが、残念ながら3巻で終了。

納得半分、惜しいなと思う気持ちが半分なところ。

納得なところは、登場人物に感情移入できなかった点。
おそらく、女子高生・鶴田がヒロインなのかもですが、正直、彼女の立ち位置がよくわからなかった。
というのも、彼女は、祖父とともに猟師をしていた女子高生で、銃も使える設定。
そうであれば、彼女を軸に経立と戦うのか?と考えてしまうのですが、実際はそうではない。
特に山の中での経験から、冷静な立ち居振る舞いをするのですが、育ててくれた祖父が死んだとわかっても、経立に対し激情に駆られたり復讐心に燃えることもない。
村の人間が次々に殺されても、淡々と逃げることを考えるあたりが、どうにも腑に落ちず、応援したくなるような感情移入もできなった感じ。
(リアリティがあると言えばそうかもしれないですが)

それ以外にもよくわからない狂キャラ(頭おかしくなったキャラ)が多く出てきて、そんなキャラに対して真っ当な正義感(この場合だと、経立と戦ったり、弱い人を守る意志のある正義)をもっているワケでもない主人公とヒロインがまざって、全体的にまとまりがない印象をうけました。
皆思い思いの行動している感じ。

ただ一方で、経立の残虐描写がエグいので、限界集落のなかで奴らに大勢で囲まれたり、突如目があったりすると、その緊張感が半端なく、次へ次へと読みたくなる仕掛けは凄かったです。

最後、どう終わるのか気になったのですが、全体的に消化不良で終わります。
もう少し続けて、謎だった部分を掘り下げて欲しかったなぁと思えるので、やはり色々惜しかった作品なんだと思いました。

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