習字と漢字と
書道?習字?何が面白いんだろう? とおもって読んだら、おもしろかったです。 ひょんなことから、人びとの勢いに流されに流され、帰国子女の男子学生が書道部に入部することになり、書道部のワルイセンパイに騙されて柔道部のエース一年生が書道部にヘルプへ行くことになり… そこから繰り広げられる書道の世界の片鱗がおもしろいのです。 帰国子女ユカリが知らないことを知らないと尋ねてくれ、それに対してみんな丁寧に応えてくれるので、書道の世界が重たかった習字セット以上の知識へひろがっていきます。 筆で上手に書くコツ、ナントカ体の話、筆の選び方、漢字の成り立ち、へえーっとなり続けました。 大きな書は体全体で書くということも知りませんでした。 字がうまくなりたい、柔道をする望月さんが大きな書が得意という話もよかったです。 読んでいて、登場人物について一番すごいなと思ったのは、初心者みんな、ひたすら基礎の基礎を実直にやり続けることです。 それができていたら、自分も字が上手する未来があったのかもしれません。
少年時代をカナダで暮らしてきた大江縁(ユカリ・男子)
は8年ぶりに日本へ帰国して高校に入学。
帰国子女でありながらどちらかというと
おとなしくてパッとしない縁だったが
強引に書道部に勧誘されて入部することに。
習字すら知らず筆など握った事もなかったのに。
さらに女子柔道界期待の星の望月結希(ユキ・女子)の
背負い投げに巻き込まれたことで、
結果、望月も書道部に巻き込むことに。
個性的な先輩たちや仲間や教師に導かれ
自分の気持ちや資質に目覚めていった縁は
書道の道にどんどん分け入っていくことになって・・
「帯をギュッとね!」でニューウェーブ柔道漫画を
描いた河合克敏先生が柔道、競艇の次に
漫画で手掛けたのが「書道」の世界。
「帯ギュ」でそれまでにない明るく厳しい柔道漫画を
描いた河合先生でも「書道」が舞台の漫画ってのは
流石に盛り上げにくいのではないかとも
思いながら読み進めたけれど、杞憂でした。
地味で難しく暗い?イメージのある?書道すら
河合先生は明るく楽しく面白く描いてくれていました。
シリアスな話の合間にも適度にユーモアも入ってきて、
それでいて物語が脱線したり判りにくくなることもなく
スムーズに話が展開していくのが本当に上手いです。
それでもやはり書道に関する説明や蘊蓄も膨大なので
読むのが大変な部分もありますが・・
それでも読み進めてしまう面白さがありました。
実際の書道作品を漫画の中に取り入れたり、
しかもそれが単なる説明や引用としてだけでなく
ストーリの中に組み込んであったり、
しかもそれが読者参加のコラボだったり、
漫画の手法としても凄い部分があるなあとも思いました。