来陽と青梅
友達だと思っていた子からのアウティング描写が辛く、読んでいてもメンタルをやられてしまうので気分が安定している時に読むべき。デビュー作で「自分から言葉にして伝えること」を描いていたのに対して、今作では他人からのアウティングを正面から描いている。 同性愛者当人である淳と同性愛者に人生を壊されてしまった心とのダブル主人公でやりたかったのかな…?と思うが、描き切れていない感じも。 現役大学生作家としてデビューした深山はな先生、まだ別の作品も読んでみたかったが、これを最後に筆を折ってしまったようで残念。
2021年12月、半年ほど前に知り合いからおすすめされたものの積んでいた『来陽と青梅』をついに読みました。ヤバすぎますねこれは……!なんでこんなに知名度ないのか不思議。ある意味『チ。』ばりにエグくてぶっ刺さる話だからもっと話題になっていいはずなのに。
狭い世界。
未熟な男女交際。
男に媚びて友達を陥れる一人称が名前のクソ女。
シンプルに頭が悪い同級生。
陰口。
同調圧力。
とにかく中学生の最悪なところが全部ブチ込まれています。
私は中学時代「ねぇ〜たかは好きな人いる〜?⤴️」と恋愛体質の女子に絡まれて死ぬほどつまらない恋バナに巻き込まれるのがだ〜〜いっ嫌いだったので、「あはは…今は好きな人いないかな〜」と愛想笑いで流しながら
「なぜ常に好きな人がいる前提で聞いてくるのか」
「仮にいたとして、おめーに話したら確実に次の日には学年の無数の女子にバレるのにそんなリスク犯すわけねえじゃん」
「そもそも対して仲良くもねえお前にそんな大事な情報話すわけねーべ馬鹿か?」
と内心罵詈雑言を浴びせかけつつ、全力で恋バナを回避する努力していました。
本当に仲のいい友達には話しても良かったかも知れませんが、その当時読んだ小説で読んだ「誰が1人に秘密を言うことは世界中に向かって言うのと同じだ」という言葉を噛み締め、『身の安全』には充分気をつけて学生生活を送っていました。
だからこそこの漫画はゲボ吐きそうなくらいしんどい。
自分もほんのすこし何かが違ったら、主人公と同じこの地獄にいたかも知れない……。
「存在しない中学時代の記憶」を眺めているかのようなおぞましさがこの作品の魅力だと思います。
中学時代に味わわされた嫌〜な気持ちがブワーーッと全部まとめて甦ってくる最悪すぎて最高なジュブナイルストーリーです。メンタル元気な時にぜひ……!