村のしきたりはいつから始まったのだろう
50歳を超えると人は死ぬと伝えられてきた村人たち。 「あの世」だからと山を越えてはならぬの掟。 元気なのに死ななければならないって、しきたりでも逃げ出す人はいなかったのだろうか。 今の日本でも、村社会ってどうしてこうも陰鬱としてんだろうってところが似ています。 不思議な世界観といくつも謎がはりめぐらされていて、何が起こるかわからない展開にドキドキしました。 キャラクターも生き生きしてて◎ 最終的にどうなるのか全く分からないところ、期待しちゃいます。
~その村では人は必ず50歳で死を迎える~。村人を縛るしきたり、「あの世」と呼ばれる山の向こう。双子の姉を生け贄に捧げられた少女・杏。獣の皮をかぶった役人達が取り仕切る「この世」と呼ばれる村で神に見守られて暮らす人々。そして、不思議な山の民。杏が見つめる先には希望も絶望もある。この物語で描くのは、山下和美が抱く、日本という国への不安。
今より進んだ世界と、今より逆行した作られた世界が交差して、今いるこの世界がぐらついた。
時代、環境、価値観、ルールに、自分がどれだけがんじがらめになっているか。
私が生きてる今というこの世界の善悪や正解不正解は一体何なのだろうとふと立ち止まってしまう感覚になった。
そんな不思議な感覚に包まれて、かつワクワクしながら読み進められた。
文字によって伝えらていることをもっと知りたいとも思った。
知って、それらに左右されずに、自分で選択する自由があると杏は伝えてくれた気がした。
まだまだ理解の及ばない部分があるので何度か読みたい。