とにかく全員に一度はいらいらするにコメントする
爪痕―それでも結婚、続けますか?―
息を吸うように不倫する人たち
爪痕―それでも結婚、続けますか?― 石川オレオ ななしなあめ子
六文銭
六文銭
男目線で、まず読んで思ったのが、息を吸うように不倫するなぁってこと。 普通、もっと罪悪感とか、後ろめたさとかあるもんじゃないのか?と思っていましたが・・・逆にこれがリアルなのか?と一周まわって納得してしまいました。 原作者が「不倫サレ日記」など実録エッセイを描かれた方なので、説得力マシマシなのも理由かもです。 内容としては、幼馴染2人の既婚女性を中心とした物語。 高校時代は、流行り物が大好きで同級生のなかでも中心人物だったが、今は専業主婦で家庭を大事にする「なつき」 二人目は、その友人でキャリア志向でバリバリと働く「さやか」 一見、家庭に仕事にと順風満帆な二人だが、すべからく夫が不倫しているという状況。 なつきに至っては、高校時代の同級生が、その相手という地獄絵図。 なんという泥沼。 不倫している二人の夫も、それぞれ理由が異なる。 専業主婦なつきの夫は、妻や子供、家庭のために、自分を犠牲にしてきたことに疲れ、ありのままの自分を認めてくれる相手に走る感じ。 バリキャリさやかの夫は、いわばリア充モテ男のゲーム感覚で不倫している感じ。 理由は、それぞれですが、嘘をつき相手を裏切る行為が平然とできる神経は、純粋に胸糞悪いですね。 表面上は、奥さん側に何か落ち度があるわけでもない(もしくは何も知らない状態)のが、より悲哀を加速させてくれます。 何も知らない子供が一番可愛そうです。 こういう人間は、結局、誰であろうと同じことするんじゃないかとか思ってしまう。 今は不倫相手に優しくても、一緒になれば、また別の相手に逃げるんだろうと。繰り返しますよ、根っこが同じなんで。 最新刊では、何事もなかったかのようにそれぞれの家庭へ戻ろうとしますが、自分のなかで、こんだけヘイトが溜まっているので、なんとなく、不倫相手からの報復展開を期待しちゃってます。
いじめ撲滅プログラム
いじめのないディストピアの可否 #1巻応援
いじめ撲滅プログラム
兎来栄寿
兎来栄寿
最近GACKTさんにも絶賛されて話題の『ひとでなしのエチカ』や『ゴクシンカ』のピエール手塚さんが作画、『枕営業の眠さん』の藤見登吏央さんが原作を担当する作品です。 電子では1週間前に発売済みですが、本日紙の書籍が発売となりました。 内容はタイトル通りのもので、人間が人間である限りなくならないいじめに対してAIによりいじめを検知して対処する「いじめリアクター」が開発され、システマティックな統制を行なっていこうとする社会を描いた物語です。 いじめっ子に対しては、物理的な対処を行った上で脳に機械を埋め込み「優しい人間」になってもらうという処置までセットになっています。 『時計仕掛けのオレンジ』や『PSYCHO-PASS』などを髣髴とさせる設定で、ディストピア感もあります。いじめに苦しめられた経験のある人や現在進行形でいじめに苦しんでいる人の中にはこのシステムの実在を望む人も多いのではないでしょうか。 人類史を紐解いていくと、狩猟採集の時代から人間は誰かへの陰口を叩くことによって仲間と結束してきた歴史があるそうです。その時代は弱い者を排斥しないと、直接的に自らの命が脅かされる危険性があったことも影響しているのでしょう。 強い者も弱い者も皆で支え合って生きていく社会というシステムが高度化しても、いまだに弱い者や異なる者を排斥したり、それによって結託したりしようとするのは人類がアップデートすべきバグです。 現実的には人権の問題があるので、個人の脳に機械を生み込んで思考を統制するようなことは禁忌ですが、どうしても起こってしまういじめひとつひとつに対して対症療法を行うよりは根本的な原因を取り除きたいという心理は理解できます。 個人としては堪え難い辛苦を受けた先で、それを再び生み出さないためにどうすれば良いのかという問への回答を自分なりに出した牧人。それ自体は法的にさまざまな問題があるとしても、その大元の気持ちは否定できません。 現実にこれからも存在し続けるであろういじめという社会問題。倫理道徳の境界線上で、考えさせられる物語です。
女神の標的
戦後の金塊争奪サスペンス #1巻応援
女神の標的
兎来栄寿
兎来栄寿
『がんばれ元気』、『お〜い!竜馬』、『あずみ』などでお馴染みの、小山ゆうさん最新作。『颯汰の国』を挟んで、『雄飛』と同じ昭和の物語が新たに紡がれています。 本作は1953年の戦後間もない時代が舞台。大衆演劇の花形役を務める主人公の春子が、日本軍の大佐であった父が隠した日本再建のための金塊を巡る争奪戦に巻き込まれていくサスペンスです。 男剣士を凛々しく演じる美しく強い春子は、恩義のある座長のもとで何も知らず暮らしていましたが、ある日を境にその日常が崩れていってしまいます。ただ、戦後という時代もあり、ただやられるばかりではなく暴力に対し時に立ち向かって反撃していく姿もあり痛快です。 鴻鵠の志で金塊を隠した春子の父に対して、本当に存在するのかどうかも解らない「女神」(作中で金塊の隠語と語られる)を巡って、多くの人々が醜悪な争いを起こしていくさまは何とも言えません。 そしてまた、もし金塊が時の総理の下に首尾よく回っていったとしてもそれが正しく使われるかどうかは別の問題として存在するのもまた無常感を覚えさせられます。仮に総理が高潔な志で差配を行おうとしても、さまざまな思惑や柵が絡んだ政界でどこまで理想通りに事を運べるのか。栓なきことと解りながらも、考えてしまいます。 ともあれ、さまざまな勢力が互いに画策し合い息もつかせぬ展開で、誰を信用できて誰が信用できないのかも解らない春子の緊迫感がそのまま伝わってくるようです。 小山ゆうさんももう76歳ですが、筆に翳りは見えません。池上遼一さんも今月で80歳を迎えますが、皆さんお元気でい続けて欲しいです。
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