『変身のニュース』以前の、殺伐とした宮崎夏次系にコメントする

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名無し
1年以上前
モーニング・ツー2010年40号〜2011年45号連載。 『変身のニュース』以前に描かれた夏次系先生の初連載作。 受験を控えた中学生の主人公柊(しゅう)は、両親がカルトにハマっており「自家製野菜で魂をリフレッシュするのよ!」という理由のもと自分の部屋を含めた家の半分をブルドーザーでにこやかに破壊されてしまいます。 先生の勧めで長く連絡を絶っていた姉のアパートを訪れたところ、なんか段ボールの塊みたいなものに姉は引きこもっていました。 姉、両親、そして柊の未来は如何に。 犬にぺろぺろ顔を舐められてうわあああとなるところや植木鉢で姉(偽)をぶん殴るところや、車で轢かれたおっさんの先生を助け起こしたら密かに女装してて顔が青ざめるシーンなど、あげるとキリがないのですが、漫画の文法が良い意味でこなれてないというか、色々演出面で今では絶対にしなさそうな描き方をしてるのが興味深かったです。他の夏次系作品は完全に現実と隔絶した異世界にあるような印象があるんですが、この作品に限ってはその筆致が生々しい現実の地続きにあるというか.......笑えない現実がリリカルなセンスを 上回りそうなほんとにギリギリのところまで迫ってきているように思えて。 姉そっくりの人物を複数アパートに飼って監視している管理人(名前不明)の 不気味さも印象に残りました。この漫画に出てくる人がみんなどこか歪んでいますが、分けても彼がトップクラスにいかれております。なんですが、なんか妙なわるい魅力があってな〜、実はこの漫画で一番好きなキャラかも。彼がお風呂のシーンで姉(偽?)の頭に噛みつくところのエロさはすごーくそそりますよ。 2018年にようやく単行本化された際、4ページの描き下ろし番外編が追加されました。 本編がどこか突き放したような終わり方をするのに対し、この番外編では皆のその後が描かれています。「僕は問題ありません」と言い切れるかどうかは わからない境遇ですが、柊の人生はまだ先がありそうでほっとしました。 私たちの知る夏次系先生の以降の作品と比べると全体的にドライで、殺伐とした 雰囲気がたちこめています。人と人が向き合う難しさもささくれだって痛みを 伴うもので、ややわかりずらさは正直否めません。 しかし、その中に垣間見える優しさに、僕はたまらなく惹かれたのでした。 シュールで荒々しい、夏次系先生の原風景。
Sランクパーティから解雇された【呪具師】~『呪いのアイテム』しか作れませんが、その性能はアーティファクト級なり……!~

サクッと作ったものすら宝物並みの性能

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ゆゆゆ
ゆゆゆ
原作者さんは「ダメスキル【自動機能】が覚醒しました~あれ、ギルドのスカウトの皆さん、俺を「いらない」って言ってませんでした?~」の方と同じです。 こちらも奇想天外な展開と、読みやすいコミカライズでおもしろいです。 呪具師は、不人気な職業といっても、突き詰めたら無双できる職業だったという、まあ、よくある展開です。 無自覚な無双に加え、デザインセンス以外他者評価に対する意識が海峡の底よりも低いというアンバランスさがあります。 そして、主人公は職を突き詰めた結果、解呪しないと外れない以外、おおきなデメリットが薄い道具(デザインセンスは独特)ばかり開発しています。 変わった設定と思って読んでいたら、どうやらそれ以外でもなさそうな感じが、かつて所属していたSランクパーティから漂っています。 どうなるのかなというストーリーのおもしろさと、愛嬌のある主人公やヒロインたちが魅力的です。 よくある設定から、続きを読みたくなる作品を生み出せるのはすごいですね。
終末ロッキンガール

祖父と孫とギターと終末 #1巻応援

終末ロッキンガール
兎来栄寿
兎来栄寿
『隕石少女』や『餓天使』の石山り〜ちさんが手がける新作です。 音楽で売れてやると家を飛び出した息子は、10年後に再会したときには遺体に。遺されていたのは生まれつき全盲の孫娘・光(ひかり)。光はに「自分の音楽で世界を一つにする」という父親の目標を継いで、目が見えないながらギターの道を邁進しようとします。 自分も音楽をやっていながら、親に売られて軍属になったことで道半ばで夢が潰えたことで息子にも厳しく当たっていたことを悔いる主人公・雷蔵と、幼いながらにギターの天賦の才の片鱗を見せる光の祖父と孫娘。 このふたりの関係性だけでも一本物語として成立していてそのまま読みたいくらいですが、そこは石山り〜ちさん。 本作はそこからタイトル通り「終末」が襲ってきます。突如襲来した謎の宇宙人によって人類は大規模な攻撃を受け、地上は大変なことに。 ハートフル家族ドラマ×音楽×ポストアポカリプス。 贅沢な三色丼のような作品です。 ポイントは、雷蔵が孫の光の夢を壊してしまわぬよう地上の惨状には気付かせないようにして、何事もなかったかのように振る舞い続けるところです。元気で奔放ですがギターにひたむきな光は守ってあげたい魅力があり、雷蔵の気持ちにも共感します。不器用な性格でありながら、孫愛溢れる雷蔵の姿にも心が和みます。 一方で、襲来する宇宙人たちのえげつない攻撃能力の高さからサスペンス性の強さもあり、しかし彼らにもどうやら弱点はあるようで、そこを突きながら上手く切り抜けていこうとするシーンも見ものです。 徐々に尽きていくであろう水や食料やその他ライフラインをどのように確保し、どのようにわたり合っていくのか。 他の生存者との関わりや、彼らに待ち受ける最終的な運命など目が離せない作品です。願わくば、終わった世界であっても、最後の瞬間には最高の音色を光が奏でて欲しいなと。
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