押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
お父さんが家族に冷たくされる切ない話なのかな…とドキドキしながら読んでいたのですが、ほっこりする素敵な読切でした!
家族の会話が少ないことに悩むお父さんは、話題を降るも子どもたちはすげなく席を立ってしまう。
しかしトウモロコシが出た夜は、子どもたちも食卓をすぐに離れず食べながら他愛もないことを話してくれたことから、トウモロコシを頻繁に買って帰るように。
そのうち旬が過ぎてしまい頭を抱えるけれど、栗やカニ、みかんといった別の食材にシフトして家族の団らんは守られたのでした。
旬が終わってしまい、あちこち探し回った挙げ句に真空パックのトウモロコシを手にしたお父さんの「過ぎゆく季節にしがみついてどうする」というセリフが好きです。
「彼氏いたのか。今度連れてこいよ」っていうセリフからも、このお父さんの人柄が伝わってきますね。絶対いい人だ…!