ユリイカの中田健太郎さんの文章がすごくよかった。
『A子さんの恋人』完結記念! 近藤聡乃はニューヨークと東京の時差のようにどちらが過去とも未来ともつかないいまここにある現在にそっと送り返す。エッセイマンガ『ニューヨークで考え中』はそれゆえに卓越した同時代の記録を届ける。そしてまた、新たな代表作『A子さんの恋人』が描いた他者という感情の平行、...
登場人物の誰もが何かすっきりしないものを抱えていて、それと付き合いながら生きていく様が良かった。作者自身も美大出身のアーティストゆえに、登場人物の学生時代の様子と社会での生き延び方にリアリティがある。
昔のもの、現代のもの、土地、建物、生活用品などあらゆるものが象徴に満ち溢れていて、詩的な世界と衒いなく接続されている。読んでいるとしみじみ東京っていい街だなと思う。
終盤はちょっと抽象的な会話のやり取りになって、意味が完全に理解できたとはいえないのだけど、最終回はこれ以上ない盛り上がりで、想像する余白もあって、ちょっと寂しくて、完璧だった。A太郎は振られてしまったけど、こんなに皆に愛されてる人はいないし、不幸でも引き立て役でもない。恋愛の必然と偶然が、ものすごく微妙なバランスで揺れ動いていることを改めて思い知らされた気がする。
ユリイカの中田健太郎さんの文章がすごくよかった。
『A子さんの恋人』完結記念! 近藤聡乃はニューヨークと東京の時差のようにどちらが過去とも未来ともつかないいまここにある現在にそっと送り返す。エッセイマンガ『ニューヨークで考え中』はそれゆえに卓越した同時代の記録を届ける。そしてまた、新たな代表作『A子さんの恋人』が描いた他者という感情の平行、...