重さと軽さが同居する、命の話
大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。
日本はスパイ天国などとよく言われてるそうですが、実は世界各国からの工作活動をギリギリのところで防ぎ、陰で日本を守り続けてきた一族がいたのです。(という設定)
その名も「阿賀一族」。800年にわたり日本の諜報活動を担ってきた一族の末裔である、父とその娘が主人公。一族の誇りを持ちながら娘には手を焼いてる父親ですが、いざ政府から仕事の依頼を受ければ、各国のスパイたちを相手取り、情報戦や派手な戦いを繰り広げます。次第に娘の方もスパイの才能が開花して…。
原作は真刈信二氏ということで、設定やストーリー構成は言うまでもなく本格派。しかし落ち着いた展開ばかりでなく、映画のようなエンタメ要素(アクションやお色気シーン)もバランス良く盛り込まれています。作画も非常に洗練されていて、重厚感のあるストーリーにふさわしいカッコ良さがあるのです。
何かきっかけさえあれば、もっと人気が出たはずの作品だと思うのですが、6巻という微妙な巻数で終わってしまいました。せめて10巻くらいまで続いても良かったのに…。最新の情勢を取り入れて、いつか続編とか始まったら面白いと思うのですが。