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まず、妙に硬いモノローグが、何か面白いなぁと思ったのである。
それは、まるで外国映画の字幕の様にぎこちない文体で、女の子達が共にいて・少し会話し・表情を変えるコマを繋ぐ様に流れ、作品の心地良いリズムになっている。そしてそれは、不器用な女の子達の物語と、妙にマッチしている。
人間関係が酷く苦手な安達と、そこまでではないけれどそれなりに人付き合いが面倒なしまむら。体育館の二階のスペースで授業を共にサボる二人は、緩く一緒にいられる関係だった。
けれども安達は、しまむらに恋をする。
不器用すぎる安達の片恋。よく分からない安達の言動を、戸惑いつつやんわりと受け止めるしまむら。息苦しさと優しさの同居。多少の奇妙な話はありながら、それよりも細かく生真面目に語られる心情に、しっかり心を掴まれてしまう。
私が読みたいのは、変わった話や恋の駆け引きではない。私は難しい人の心、それがどうしようもなく動く瞬間が読みたいのだ……だから言葉を尽くした心情描写の後に、安達がふと漏らす「しまむら……」の一言、これだけで頭でっかちなモノローグが吹き飛ぶ程の衝撃に、思わずあぁ……と声が漏れてしまうのだった。
入間人間が書く電撃文庫の大人気作品『安達としまむら』。TVアニメ化決定の本作を新鋭・柚原もけがコミカライズ!女子校生2人のゆる~い日常をご堪能ください。