あらすじ高校2年生に進級した安達としまむら。めでたく同じクラスになったけれど、早速新しいコミュニティに馴染むしまむらの様子が、安達はどうも気に入らないみたい。知り合いと友達、友達と親友。親友と、それ以上の関係っていったいなにが違うんだろう――おうちにお泊まりして、同じ布団で寝ることだったりするのかな?TVアニメ化&既刊続々重版の『安達としまむら』(著:入間人間・電撃文庫刊)を柚原もけが繊細な筆致と豊かな感情表現で描写するコミカライズ、第4巻リリース!!
まず、妙に硬いモノローグが、何か面白いなぁと思ったのである。 それは、まるで外国映画の字幕の様にぎこちない文体で、女の子達が共にいて・少し会話し・表情を変えるコマを繋ぐ様に流れ、作品の心地良いリズムになっている。そしてそれは、不器用な女の子達の物語と、妙にマッチしている。 人間関係が酷く苦手な安達と、そこまでではないけれどそれなりに人付き合いが面倒なしまむら。体育館の二階のスペースで授業を共にサボる二人は、緩く一緒にいられる関係だった。 けれども安達は、しまむらに恋をする。 不器用すぎる安達の片恋。よく分からない安達の言動を、戸惑いつつやんわりと受け止めるしまむら。息苦しさと優しさの同居。多少の奇妙な話はありながら、それよりも細かく生真面目に語られる心情に、しっかり心を掴まれてしまう。 私が読みたいのは、変わった話や恋の駆け引きではない。私は難しい人の心、それがどうしようもなく動く瞬間が読みたいのだ……だから言葉を尽くした心情描写の後に、安達がふと漏らす「しまむら……」の一言、これだけで頭でっかちなモノローグが吹き飛ぶ程の衝撃に、思わずあぁ……と声が漏れてしまうのだった。