田村由美の極上ホラー短編
ホラー7編を集めた読み切り集。田村由美の「死人の記」が断トツで面白かった。亡くなった後の人が生前の行動をなぞって動き続ける世界の話。簡単に言えば人を噛まないゾンビがいる世界という感じ。物語の緩急の付け方、オチへの引き込み方がすごい。
ホラーをテーマにした読み切りが収録されています。ものすごく怖い話はなかったですが、面白い短編が読みたい人にはとてもオススメです。以下は作品ごとの個人的な感想になります。
田村由美「死人の記 -紫陽花にゆれる-」
怖さでいえばダントツで怖い。死んだ人がすぐには成仏せずにゾンビとして存在する町が舞台になっている。恋愛関係のもつれが発端になってる話は他にもありましたが、恨みのレベルが半端なくてまさに怨念って感じでした。
鯖ななこ「メッセージ」
結婚も決まり幸せな日々を過ごしていたが、家の中で四つ葉のクローバーを拾ってから怪奇現象が起こるようになった…。ちなみにクローバーの裏花言葉は「復讐」。タイトルの「メッセージ」はそういう意味だったんだ…!と分かるような終わり方も含めて、ストーリーがとても上手いと思いました。絵柄がとても可愛いです。
桜和アスカ「幻 -GEN-」
妻が原因不明の火事で亡くなったので過去に戻って放火犯を捕まえたいという客が、時を戻せる妖怪が営む喫茶店にやってくる。ザ・因果応報。悪いことはしてはいけませんね。設定がちょっと似てるだけですが「廻り暦」を思い出しました。
柳秋紀「たからばこ」
ピクニックをしているカップル。今日は彼女が子供の頃に両親が連れてきてくれた場所にやってきた。実は彼氏は浮気をしていて…。このストーリーに「たからばこ」というタイトルをつけるセンスがすごくいいと思います。怖いです。
花木アツコ「やもめの湯」
妻を亡くした男が同じくヤモメの老人が営む銭湯で働くことになった。いつもは廃油で風呂を沸かすが、お盆の日は特別なお客さんが来るからどうしても薪じゃなきゃいけないらしい。このあらすじで大体分かったと思いますが怖くはないです。むしろ感動しました。個人的には一番好きな話です。
白壁たくみ「昔の男」
画家だった祖父が亡くなった。葬式の夜に白いスーツを着た若くて美しい男が式場を訪ねてきた。遠い昔に祖父の絵のモデルをしたことがある男だった。祖父と男の秘密の関係に孫娘だけが気づくという美しい話だった。絵とストーリーも合っていて雰囲気ごと好きです。
ノラ38「ばいばい」
義母にいじめられて途方に暮れていた女の子に男が「一緒に街を出よう」と優しく声をかける。この作品は描き下ろしらしい。もしかしたら紙版にしかないかも。
大人のための極上ホラーアンソロジー!! 怖いけど、おもしろい。怖いけど、やめられない。月刊フラワーズ発のアンソロジーシリーズ第3弾が登場! 田村由美先生の単行本未収録作をはじめ、増刊フラワーズで人気だったホラー作品を収録した、極上のアンソロジー。同時発売のflowersアンソロジー第4弾「恋ものがたり ~愛の先にあるもの~」では西炯子先生のコミックス未収録作をはじめ、恋愛にフォーカスした作品が満載です。<収録作品> 田村由美「死人の記 -紫陽花にゆれる-」 鯖ななこ「メッセージ」 桜和アスカ「幻 -GEN-」 柳秋紀「たからばこ」 花木アツコ「やもめの湯」 白壁たくみ「昔の男」
大人のための極上ホラーアンソロジー!! 怖いけど、おもしろい。怖いけど、やめられない。月刊フラワーズ発のアンソロジーシリーズ第3弾が登場! 田村由美先生の単行本未収録作をはじめ、増刊フラワーズで人気だったホラー作品を収録した、極上のアンソロジー。同時発売のflowersアンソロジー第4弾「恋ものがたり ~愛の先にあるもの~」では西炯子先生のコミックス未収録作をはじめ、恋愛にフォーカスした作品が満載です。<収録作品> 田村由美「死人の記 -紫陽花にゆれる-」 鯖ななこ「メッセージ」 桜和アスカ「幻 -GEN-」 柳秋紀「たからばこ」 花木アツコ「やもめの湯」 白壁たくみ「昔の男」