4.5
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或る時、何物かに魅入られる。
彼らは逸脱した所に誘い込む。気味の悪い触感を伴って。
土や砂、羽毛、目玉、祟り、経血や性交……生々しい触感が纏わり付きながら、自分で進んでいるようで結局大きな物に逆らえない、そういう神話や不思議語りが幾つか、語られる。
物語の終局も、常に大きな物、よく分からない意思や現象に支配されている為、結局人間の言葉では、「よく分かりませんでした」と言うしかない終わり方を、しばしば迎える。
そして残された人間の喜怒哀楽とは全く関係無く、異形が彷徨い、画面は途絶える。
手触りばかりがリアルで恐ろしい「よく分からない」神話や説話。それは、心地良いばかりではない豊かな感情を、一言では言えない複雑な感慨を与えてくれる。
そういう感情を受け入れるか否かは、その人の生きる態度そのもののような気がする。