ネタバレ

テセウスの船東京卍リベンジャーズ僕だけがいない街など、時を遡って(ときには何回も)未来をやり直すタイプのタイムスリップものって、いいですよね。そしてある日突然異世界で美少女に転生したり、現実で見知らぬ女の子と体が入れ替わってるやつも、みんな好きですよね。

この「おっさんが小学生」は、その両方を合わせた作品となっており読み応え抜群…!!

主人公は外資系企業で営業課長を務める真純(42)。ある日、目が覚めると10歳の女の子・ますみになっているのですが、なにせバリバリ仕事に生きてる男性ですから「これは明晰夢だな」と合理的に結論づけます。が、いつまで経っても夢から覚めない。すると真純はこの状況を冷静に分析し、自分が「解離性同一性障害」ではないかと一度は疑うのですが、カレンダーの日付を見て自分が10年前の2009年にいることに気づきます。

「わからないものを、わからないままにしない」がモットーだという真純は、現状を把握するための4つのタスクを設定して暮らすことに。

真純は基本的にロジカルで面白みのないおっさんなんですが、時折面白いボケをかましてくるのでカタブツになりすぎてないのが上手い!あと絵がちょっとさだやす先生ぽくて、描かれているのは草臥れたおっさんだけどなんとなく色気があるのがいい。

作中に様々フィクション作品や現実の怪奇現象を引用していて、それが主人公の論理的な人柄を示すだけにとどまらず、物語に説得力を与えていてすごくいい。

タイムスリップものらしさを演出している好きなシーンが、真純がシャツの裾をショートパンツに入れて学校へ行ったら友達にダメ出しされるところ。2009年は今とは違って「タックインはダサい」という認識だったと記憶しているので、その反応は本物っぽいなと感心しました。

・なぜ2019年の真純(42)は2009年のますみ(10)になってしまったのか
・1話で怪我をしているますみは今どうなっているのか
・過去を変えた結果、未来で何が起きるのか

今後の展開を楽しみに待っています!!

https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000130010000_68/

・連載版

・Twitter版

読みたい

完結巻の2巻発売。
なんか急に目標(土砂災害を救う)が出てきてそのために動き、とかな困難もなくサラッと終わってしまい物足りない。

過去で膨大な金を稼ぐとか、最後に身体を共有してた2人が出会うとかは「そういうの見たかった〜!」って展開だけど、それ以外にももっとドラマを見せて欲しかったな。

エチカの時間

ハチャメチャにカオスな倫理ゲーム!!

エチカの時間
ななし
ななし

スペリオールで読んで圧倒された新連載。画風も笑いのセンスも扱っている題材も尖りすぎてて、いや〜最高に面白い…!! 「人工知能の進化が停滞している状況を打破するため、AIに倫理観を植え付けようと、AIを倫理のエキスパート(エチカノーツ)の人間たちと共に育てる「エチカ・アカデミー」という学校が設立。未来予測を行い『エチカ案件』と呼ばれる**倫理的決断を求められる事件に立ち会い、エチカノーツたちがエチカ(倫理)を戦わせ『究極の選択』を行う**」というあらすじ。 https://twitter.com/SNOWBRND/status/1164753304439549953?s=20 「倫理ゲーム」とタイトルにしたけれど、この物語の中では**「本物の事件が発生」し、主人公は人々の命を秤にかけなくてはならない。**相当シリアスな内容のはずなんだけど、強烈に癖が強いAI・七太郎とヘラヘラした主人公・日野のおかげで、まるで**デスゲーム漫画を読んでいるかのような軽さ**がある。なのであえてこのマンガを形容するなら**倫理ゲーム**かなと思う(本誌のアオリもこの呼称を使ってるし)。 個人的に、環境経済学を学んでいたときに倫理について考える機会があったので、こういうテーマはメチャクチャ好きです。 あらゆる残酷な空想に耐えて、どんな決断を下すのか。 次回を楽しみにしています…!!! 【スペリオール2019年9月13日号より連載開始】 https://bigcomicbros.net/magazines/24756/ https://bigcomicbros.net/comic/tempus_ethicae/

群青のバトロ

ワンピース感とオリジナリティ

群青のバトロ
ななし
ななし

まずカラー絵がすごく良い。なんとなく五十嵐大介っぽさを感じる。 そして本編の絵の線の感じや白黒ハッキリした塗りは尾田栄一郎や吾峠呼世晴っぽい。 けど描き文字やキャラデザはオリジナリティがある。 物語は、「残虐なヴァイキングに統治された「兵士か奴隷」しかいない町・ギブロン。主人公・バトロは「ギブロンで1番偉い奴に会いに来た」と、少年漫画の主人公らしいセリフで兵士をぶっ倒すが、ゾゲボ(1番偉い奴)が町に戻ってくるまで奴隷として過ごすことに決める」というあらすじ。 この主人公・バトロには「ゾゲボが戻るまでビビらず仲良くしてくれよな」と言ったりするところがあり、こういう強い力を持ちながら「お前が言うな」というボケをカマすところはルフィーに似ているなと思った。 もしここで周囲の人間が極度にデフォルメされた変顔になってツッコミを入れたら、それはもうワンピースでしかないが、群青のバトロはそういうことはしない。 ルフィーはシリアスに振る舞うこともあるけれど、基本的に無邪気に喜怒哀楽をハッキリ示し、熱く怒ったりする。一方、バトロはもう少しクールな男で、笑ったりスッとぼけはするけれど、激しい怒りや熱は内側に隠し、淡々と振る舞っているような印象を受けた。 最初から最後までスラスラ読めたし、最後のオチには笑った。 ファンタジー少年漫画として大きな瑕疵のない、完成された作品だと思う。 個人的には、「バトロが伝説の男と似ている」という設定がうまく活かせていないように感じた。本来だったらもっとワクワクできる設定なんだけど、あとづけ感・蛇足感が強くて「バトロかっけー」とはならなかった。 ワンピースのようなヒット作の要素を、うまく自分のものにすることが出来るのは本当にすごい才能だと思う。ポテンシャルをビンビン感じるので、このままさらにオリジナリティを磨いていって超面白い作品を描いてほしい。 『週刊少年ジャンプ 2019年38号』 http://jumpbookstore.com/item/SHSA_JP01WJ2019034D01_57.html

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