あやかし話の王道
おどろおどろしい感じでは描かれること時は少なく、全体的に絵はきれいなので読みやすい。 日本の妖怪や怪奇の類のじとーっとした怖さ全体を包んでます。かといって暗いわけでなく、一つのお話は長くないので読み切った感じがして満足感があると思います。 話自体が伏線としてつながっていたりするので、またそこで楽しめます。 怖いだけじゃなく、ほっこりしたり、ほろりと涙したり素敵な作品です。
普通の人には見えない不可思議なものが見えてしまう飯嶋律。彼がさまざまな妖魔と出会うことで展開していく、恐怖とユーモアを絶妙にブレンドした物語!!第1巻には、「闇からの呼び声」「あめふらし」「桜雀」の3編を収録。
これを超える妖怪・怪奇漫画はなかなか無いと思う。まずとにかく第1話「精進おとしの客」が最高すぎる。
「小説を書くために妖魔と取引していた」と言われた主人公の祖父は、自分の死後にすべき事を言い残して死ぬ。精進落としの日、幼い主人公は魔除けの赤い着物を着せられ、客間には7つの膳が用意された。すると家に8人の妖怪が現れて…というあらすじ。
静岡県出身。PCゲームの原画としてキャリアをスタートさせ、のちに漫画家となる。主な作品は『忘却の旋律』『ペン太のこと』『ムギのころ』など。
強い力を持っていた祖父。
身を守るための迷信。
妖怪との約束…。
妖怪話に求めるロマンがここぞとばかりに詰まっただけでなく、衝撃の事実が明らかになったり、主人公がうまく立ち回ったりカタルシスも大きい。
「この物語はこういう話ですよ」と簡潔に自己紹介するかのような見事な導入で、ガンガン読み進めて気づいたら全巻買っていた。
作中には様々な霊や妖怪が登場するけれど、そのどれもが「本当に郷土史に残ってそう」と思わせる説得力があるのがたまらない。
間違いなく少女漫画の名作なので、まだの人は死ぬ前に読んでみてください…!
▽『百鬼夜行抄』今市子 第1話(このページだけでもう好き)