自分は2006年のドイツワールドカップ辺りからなんとなくサッカー観戦を続けていて、「日本代表が出場していないワールドカップ」を経験したことがない世代だ。なので、この作品で描かれるようなJリーグ開幕当時(1993年ごろ)の「ワールドカップなんて夢のまた夢」というような空気感が正直ピンとこないというか、本当にそんな感じだったのかな?と思うことがままある。
あったわけだが、1巻のあとがきに「前作ではワールドカップを目指すなんてキャラクターに言わせることは出来なかった」という1巻の作者あとがきを読んで当時の雰囲気をズシンと感じた。
まだ読み始めたばかりで偉そうなことを言うのもあれだが、「今となっては」というのは未来からの視点であって、30年後にどうなるかなんて誰にもわからない状況(当たり前だが)で描かれたのが本作というところに重みがある。
自分が当時の空気感にピンときていなかったのは、裏を返せばこの30年間で日本のサッカーが「ワールドカップなんて夢」から「ワールドカップは出れて当然(そこで勝てるかどうか)」に急激に成長したことの証明でもあり、それはまさにドリームなんじゃないかなと、読み終わる前からすでに感動し始めている…というようなことをメモっておきたくて書きました。
「おめーの席ねぇから!」で知られる(?)すえのぶけいこ先生の「ライフ」。漫喫でライフ2 ギバーテイカーの背表紙を見かけ「あ〜、そういえばスゲーハードな少女漫画あったな〜!!」くらいの認識のままこの作品を読んでエライ目に遭いました。
んもう、とにかく主人公・樹に降りかかる悪意が尋常じゃない!(エグさでタメ張れるのは秘密のチャイハロくらいなものだと思います)
妹を殺され、未成年の犯人は釈放され、自分の手で警察内部では女だと見下され、親友に「妄執」していると一方的に軽蔑され、世間には誤認逮捕のクソ刑事と叩かれ、職場では仕事を干され…。
もう人生の闇と苦痛全部乗せ!
こんな状況でも挫けずらひたすら喰らいついて戦う主人公のタフさが最高です。
読んでる間は主人公の唯一の味方・今井さん(紺田照に似てる)が癒やしでした。
この作品は表紙・裏表紙ともに奇数巻が樹、偶数巻がルオトとなっているため、紙の本を並べるとまるで「裏表紙のルオトが表紙の樹を見つめている」よう…。
…読んでる途中でこれに気がついてゾッとしました。
少女漫画らしい人々の悪意と、青年誌らしい暴力・殺人が見事に合わさった作品。全6巻なので映画1本見る感覚でぜひ読んでみてください!!