「死」にこめられた思い
よろこびのうた ウチヤマユージ
火葬場で見つかった老夫婦の焼死体。
その夫婦は子供もなく、最近妻が認知症になり、夫がその介護をしていたという状況。
そこから介護疲れによる自殺とみなされたが、しかしその真相は・・・という話。
週刊誌の記者である伊能が現地を訪れ、事の真相を地域住民から聞き出していく展開は、ミステリーっぽさもあるけど、それ以上に人間ドラマ的な要素が強く、最後は感動した。
二人が死に至った思いというのが、懺悔でもあるし、故郷に対する思いもある。
何より、愛情もあるだろう。
相手を残して先に死にたくないという強い思いが、後半にかけて強くにじみでてくる様に、特に自分は感動しました。
子供のいないたった二人の家族だから到達した感情だと思います。
実際にあった事件ー老夫婦が焼死体で発見されたーをモチーフに、内容はフィクションではあるようだが、実際の事件にも、本作のような二人の何か思いがあったのか?と感じずにはいられません。
最期の瞬間、死に方にその人の人生観がでるとすれば、これほど美しいものはないのではないでしょうか?
よろこびのうた
悲しいのに幸せになる話が好きなんですが今そんな気分。
葬送行進曲読んでて淡々とした話と絵だなと思っていたけど、この本読んで盛り上がるところはちゃんと盛り上がって感動させられる話を描かれるんだなと思いました。
見て聞いた話が100パーセント真実で全てじゃないんでしょうね…。
「焼身自殺しました」っていう字面からは想像できないいろんなことが詰め込まれてて素敵な話でした。