実際の事件から着想を得た重厚なストーリー。示唆に富む真相にあなたは何を思うか――『よろこびのうた』
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『よろこびのうた』(ウチヤマユージ/講談社) 実際の事件をモチーフに描いた濃密なフィクション つまるところ、真実は当事者にしか分からない。 どんな事件でも報道される内容が全てではないし、さまざまなピースを繋いで真相に迫ろうとしても、当事者が
北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。