感慨深いというか
なんかこう、色んな感情でぐちゃぐちゃになって最終的に泣きそうになりました。 主人公清水は、芸人の道を諦めアイドルに金を注ぎ込んでいる男。清水のどうしようもなくて焦ってるとことか、周りとの差にイラついてたりしてるのが読んでてすごく伝わってきてしんどかった。そんでもって家田がいい奴すぎる~~。最後までいい奴だし、ジョージもいい奴だし、すみれちゃんも最後までアイドルだった。 芸人でもそうでなくても実際に清水のような人間はたくさんいるだろうし、今作はそんなひとりのあるかもしれない物語。良くするのも悪くするのも自分次第なんだなぁと、改めて思い知らされたし考えさせられた。自分の足だけで立っていられるようになるのって、すごく大変。読めて良かった読切でした。
僕はお笑い芸人だ。
7年目でもまだ若手で、まだ売れてもいない。
今年で30になるが、意識するとふと他の生活を考えてしまうことがある。
そんなとき、いつも思い出すのは僕がお世話になった先輩と、この読切漫画だ。
この漫画は、売れていくイケメン芸人と、真剣にお笑いに向き合っていたが苦悩の末にアイドルにハマって辞めていった主人公を描いている。
イケメン芸人は主人公・清水の才能を羨み、清水はイケメン芸人を妬んだ。
僕の先輩は、心底面白くて、芸人の誰からも愛されていて、でも地味で人気がなかった。
僕なんかのことを可愛がってくれた「大久保たもつ」さんという大好きな先輩だ。
深夜のバラエティに少しずつ出始め、ドラマ化した芥川賞受賞作の「火花」で売れていく若手芸人役を演じて、去年の冬に、突然芸人を辞めた。
「ODD FUTURE」の主人公・清水は、実はこの大久保さんがモデルだと聞いた。
当時、まだ芸人を辞める前に、この漫画を読んだ大久保さんがTwitterで感想をつぶやいたところ、作者から返信があったと喜んでいた。
この漫画がいいのは、もがいた闇の向こう側に一筋の救いを見せてくれているところだ。
僕たち若手芸人はその一筋の光にすがって売れるか辞めるまで、もがき続ける。
おそらく都内にいるであろう1万人ほどの売れていない芸人が抱えている苦しみ、葛藤、光と闇を生々しく描いてくれている。
主な収入はアルバイトで、睡眠時間削ってたくさんライブに出ていっぱいオーディションを受けても売れなければお笑いでの給料は雀の涙だ。
それでも頑張れるのはひとえにお笑いが好きだから。
しかし好きでも結果が出ないと疑念が首をもたげ、自身の才能を疑い、貧しい老後、孤独死を考えない人はいないだろう。
僕が大好きな先輩も芸歴10年目にして辞めてしまった。
夜道で泣きながら必死に自転車をこいで気持ちを紛らわせた記憶がまだ生々しく残っている。
しかし、実はいまその大久保さんは就職して幸せそうに暮らしている。
人生何が起こるか分からない。
この漫画はあくまで可能性だ。
再び立ち上がることもあるかもしれない、そうじゃないかもしれない、もっと向いていることがあるかもしれない。
この漫画を読むと、それでも自分が思う幸せに向かって頑張ろうじゃないか、少しでも報われることもあるかもしれないよね、と語り掛けてくる、気がするのだ。
そう思うとまだ頑張れる。
今年で30。
結構じゃないか。
80で死ぬとしてもまだあと50年。
余裕余裕。
折り返し地点にすら来ていない。
まだまだやれる。
やってやる。
読切がずっと読めるモアイさんはありがたい。
http://www.moae.jp/comic/chibasho_oddfuture