最初に自分語り申しわけないですが、小生、高校まで運動部でした。
なので、スポーツ漫画大好きなんですけど、そこに恋愛要素がゴリゴリ入ってくると、当時灰色の部活ライフだったもんで、もう羨ましくて悔しくて怨嗟で憤死しかねないんですね。
そんな自分にとって、本作はとても良い塩梅でした。
さてその内容ですが、体育館でいつも見る憧れの女子バスケ部の先輩。
ひょんなことで同居することになるのですが、ラッキースケベもなく、ごく淡々と生活は続く。
その生活の中で、先輩の人となりがわかり、より真面目に恋を意識する流れ。
憧れの人との恋心を原動力に部活を頑張る。
約束を守るためたゆまぬ努力をする。
そして結果を出し始める。
なんか、すごく青春ですよね。
下心からの努力なんて不純だと思うかもしれませんが、主人公のまっすぐな思いと、部活(バトミントン)の姿勢は、読んでいてとても清々しいです。
この手のジャンルは、ラブ要素が多かったり、スポーツ要素が多かったり偏りが気になるのですが、本作はちょうど良い塩梅でした。
憧れの先輩だけでなく、幼馴染みの娘もいい感じに入ってきて、ますます面白くなってきたので今後も楽しみです。
(部活も来年インターハイでれるのか、その点も気になる。)
アフタヌーンで「金のひつじ」を連載中の尾崎かおり先生による過去の傑作。大人には相談できない秘密を抱えて、誰にも内緒の初恋をした11歳の夏。強烈なノスタルジーに加え、逃避行のドキドキと背徳感、爽やかさと切なさが心地よい1冊です。
こんな象徴的な台詞がありました。
「どんな理由があっても…悪いことだとわかってても それしかできないときって」
「他にどうしたら──どうしたらよかったんだよ!?」
周りより大人びて見えていても少女はどうしようもなくまだ子供で、その「重荷」は小さな肩に背負うにはあまりにも大きくて、そんな彼女の力になりたいと願う少年もまた何もできない子供でしかなくて…
幼い彼らは大人の力を借りなければ生きていけないけれど、彼らの中にはたしかに守りたい世界があって、でもそれって紛れもない「愛」そのものなんですよね。愛という確かな意思によって突き動かされた物語であるからこそ、彼らの努力も涙も旅の結末も、儚くも美しく感動的なのではないでしょうか。それがたとえ子供故に浅はかで、拙い足取りだったとしても。
小学校高学年のこの時期ってなかなか自分の素直な気持ちが自覚できなかったり、思ってても言えなかったりしたものでした。けれど勇気をもって一歩踏み越えて行動した先にはまったく違う世界が広がっていて、そこから得られる高揚と不安それこそがまさしく冒険のワクワクに他ならないわけです。異世界ファンタジーでも得られないほどのドキドキで感情を揺さぶられる、少年少女たちが精いっぱいの冒険をする話がたまらなく大好きなのです。
「四月は君の嘘」とか好きな人にも薦めたいですね。