保護司という仕事があるのを知らなかったなぁ
良い意味でよく題材にしたなと思える作品
過去に犯罪を犯した人間と、彼らが社会更生するためのお手伝いをする保護司との関係を描いた作品。 私、この作品を読むまで、保護司という職があること存じてませんでした。 しかも無給のボランティアという待遇(一定経費でるようですが)にもかかわらず、日本では約4.8万人が従事されていることにも驚きでした。 給料がでなくてもやることもそうですが、何より犯罪を犯した人間と関わる勇気というか、怖くないのかな?と思ってしまった。 本作を読むと、そして主人公の阿川佳代の考えや行動を目の当たりにすると、自分が上記の考えになっていたことが何とも恥ずかしい気持ちになりました。 親のネグレクトのせいで満足に食事を与えらなかった受刑者に対して 「(親から愛されなかった)寂しい思いは記憶としてずっと残る」 とか 「覚醒剤やめますか、それとも人間やめますか?」のよくあるドラッグのメッセージに対して 「覚醒剤やっても、人間はやめられない」 とか、犯罪にばかり目がいくのではなく、人間讃歌とも言える、犯罪に手を染めなくてはならなくなった人間に対する優しい思いが溢れていて、読んでいて本当に考えさせられます。 もちろん現実は、もっとどうしょうもない人もいるのでしょうが、そればっかりではないことを突きつけてきます。 テレビやネットのニュースでも、犯罪者の逮捕と犯罪の内容のみで、その後どうなったかまでは伝えることがない中で、よく題材にしてくれたなと感動しました。