よげんしゃぴっぴ
あらすじ
「つまりぼくら、人類の未来をすべて計算しつくしちゃったんだ」究極の頭脳が紡ぎ出す預言は福音か、それとも……?鬼才が描く長編ストーリーが、満を持して登場!ピッピは地震を予知し、災害から人類を救う為に開発されたロボット。親友・タミオとともに成長していくピッピは、衝撃的な事件をきっかけに自ら活動を停止してしまう。そして再び目覚めたピッピが語る畏るべき預言とは……傑作SFコミック!
一体、これは何なのか。
ページを捲り、フキダシの中の台詞を追う度に、脳髄を殴られるような衝撃。
初めて『預言者ピッピ』を読んだ時、あまりにも面白過ぎて目眩がしました。
私はマンガソムリエ活動の一環として、日々漫画のレビューを行っています。
その中で100点満点で80点を超える作品は稀で、90点台ともなると年に1冊出るか出ないかという位です。
しかし、この『預言者ピッピ』には1巻90点、2巻95点という最高の評価をしています。
今世紀刊行された漫画の中でも個人的ベスト1候補の、最高に物凄い作品です。
『預言者ピッピ』が掲載されていたCOMIC CUEという雑誌を知っている方は、かなりの漫画好きでしょう。
マイナーではありますが、大友克洋先生、松本大洋先生から安野モヨコ先生、羽海野チカ先生まで実に幅広く錚々たる大家が寄稿していた、特濃の漫画雑誌です。
1999年に出たその6号目。
『火の鳥』のロビタを表紙に据えた、「手塚治虫リミックス」という特集号から『預言者ピッピ』はスタートしました。
実際、初めて単行本で読んだ時に「手塚治虫作品クラスの圧倒的な領域に達している」と感じたので、この表紙を見た時は感慨深いものがありました。
そう、今作は『火の鳥』で描かれているような、人間や生命、社会や世界に対する深い洞察に満ち満ちているのです。
それまでギャグ漫画をメインに描いてきた地下沢中也先生が、こんなにもシリアスで重厚なSFを描くのか! と非常に驚愕しました。
手塚治虫先生の諸作品も、何かが取り憑いて描かせたのではないかと思うような超越性を半ば感じますが、それに似た印象をこの『預言者ピッピ』からも受けるのです。
同じ99年開始の『愛人[AI-REN]』以上の曰くつき作品でもあります。
CUEに五話目が掲載されたのが、2001年。
そして、そこまでを収録した単行本第一巻が出たのは、2007年。
何と、実に六年の歳月を要しました。
その段階で未掲載分が二話分ありながらも、連載が止まってから四年も経っていては続刊は絶望的かと思われていました……
が、2011年10月に奇跡の2巻が刊行!
しかも、84ページの描き下ろしを伴って!
これには私を含むファンが熱狂的な喜びを以って迎え入れました。
そして、4年ぶりの新刊、実に8年ぶりとなる続きが、また想像を超えてくる出来でした。
息もつかせぬ、とは正に『預言者ピッピ』の為にあるような言葉。
途方も無い領域まで話は突き進んで行き、ただただ圧倒されます。
アイザック・アシモフが50年前に想像した2014年の様子が現在に照らしてみると驚くほど的中しているように、この作品で呈示されているものも本当に実現するのではないか、と思わされます。
今、世界で一番続きが読みたくて狂おしい漫画です。
それにしても、岩手県出身である地下沢中也先生が、2011年にこの物語の続きを刊行したことは、大変に意義深いことです。
3.11から今日で丸三年。
あの災禍、そして断続する余震や原発事故。
私も、親しい人を喪いました。
世界の関節が外れ、当たり前が当たり前でなくなり、それまでとは理が一変してしまったように感じました。
ともかくもう二度と、こんな悲劇が起こらないで欲しい……
そんな願いがある種実現されているのが、現代を舞台にした『預言者ピッピ』で描かれる世界です。
ピッピは地震予知の為に開発された予言ロボット。
彼のお陰で3ヶ月前に大地震が起こると予知された地域の住民は避難し、死傷者ゼロという快挙を成し遂げます。
しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるように、予知できるようになった災害はやがて世界的な見せ物へと変貌して行きます。
人口350万人都市ロサンゼルスが一瞬にして滅び行く中継映像を狂騒的に見つめる者達と、故郷が瓦礫の山へと変わって行く姿を涙を流して悲しむ者達の対比は、非常にそら恐ろしいものです。
「忘却も能力」と作中の科学者が言いますが、辛い記憶と共に大切なことすらも忘れてしまう愚かさ。
どんなに科学技術が進歩しても、変わらず自分の信じたいものだけを信じる愚かさ。
自らのポジションに利することにしか興味のない政治家やマスコミの愚かさ。
作中では、様々な人間の愚かさが抉り出されて行きます。
そして、地震予知のみに制限されていた能力を、そんな人の愚かさ故に解除されたピッピは、やがて人間や世界の全ての未来を演算してしまいます。
そこに使える技術があるのに使わない、救える命があるのに救わない、人間にはそんな選択はできません。
その結果として全ての運命が予め判明してしまった世界で、人はどう生きるのか、生きるべきなのか……
先の見えない未来こそが、逆説的に人の希望その物なのだということも、本を置いた時に実感として噛み締められます。
一つ一つの会話も哲学的で味わい深く、読むことで自らの深淵と向き合うことをも可能にする稀有な書です。
かといって難解になり過ぎることもなく、可愛い絵柄とのバランスが絶妙と言えます。
こういう作品がある限り、私はこれからも漫画を読み続けるでしょう。
「第3巻は、そこまでお待たせしない予定です」
という担当編集者の言葉に期待を高まらせつつ、今年で3年目を迎えますが……
是非とも読んで、そして「早く3巻を」という声を一緒に発して欲しいです
そして、地下沢中也先生になるべく早く続きを描いて頂きましょう。
この作品は間違いなく現代漫画界の掛け替えの無い財産です。
3月11日ということで、『預言者ピッピ』とは関係無いですが、以下の作品も推薦します。
売上の一部が義援金に回されるので、募金と思って購入するのも良いのではないでしょうか。
こすもす
あらすじ
家を出た母親。気落ちする父親。それでも日常は静かに、またにぎやかに回っていく。思考する小学3年生・花さんが見た家族や親族、クラスメイトたちとの日々。業田良家・石塚真一・浅野いにおの各氏も絶賛する光用(みつもち)千春、待望のデビュー単行本。連載分に新たなエピソードを描き下ろして収録。
だいおう
あらすじ
「黒田硫黄氏は、キャラクターやエロに隷属された漫画界にあって、真にセンス・オブ・ワンダーを持った作家である」とあの大友克洋先生も大絶賛!今まで見たこともないマンガがここにある!
べらんだはなんこうふらくのらふらんす
あらすじ
「衿沢さんの描かれる関係性は健やかで粋でエロくないとこが逆にセクシーでうわーってなります! 好きです!!」──コナリミサト(マンガ家 『凪のお暇』ほか) 音楽と子ども、10代と冒険、秘められた魔法…… 近作からレア作まで、衿沢世衣子のエッセンスが詰まった短編集。各作品にセルフライナーノーツも書き下ろしました。
くろふね
あらすじ
驚天動地!天衣無縫!荒唐無稽!硫黄来襲!!太平の眠りを覚ます、ご存じ黒田硫黄の第2短篇集!!「大王」以降に、COMICCUE・アフタヌーン・キューティコミック他で発表した、短編および読み切り作品を収録します。
あらすじ
ちょっと元気が出る短篇集。この町に暮らすぼくたち私たちの、友達や学校や家族のこと。笑ったり、悩んだり、いろんな事件が巻き起こったり――。 新鋭・衿沢世衣子の初短篇集。「誰かのことを大人だと思っていた子供が、自分で歩き出せる、そんな物語が好きみたいです」(衿沢世衣子)
とらべる
あらすじ
ざわめく車内、めくるめく車窓の風景、激しく刻むレールのリズム――「列車に乗ってから目的地に着くまで」という超ミニマムなシチュエーションが、ダイナミックかつ繊細なヴィジュアルとなって、あなたの脳を躍らせる。ワールドワイドに活躍する鬼才・横山裕一が、満を持してリリースする新境地。
そらとぶくじらすずきすずひろさくひんしゅう
あらすじ
まっすぐで不器用な、少年と、少女と、大人たちへ。新しさとノスタルジア。仙台発の若き気鋭、初の作品集。Web Mediaマトグロッソにて掲載され反響を呼んだ5作品に加筆し、さらに完全描きおろしの表題作「空飛ぶくじら」を収録。【各界絶賛!】松本隆(作詞家)“ごく稀に絵の具と筆で詩を書ける人がいる。スズキスズヒロもその一人だ。” 石山さやか(漫画家)“次はどんな主人公で、どんなお話なんだろう。フリーハンドで描かれる、人生のひとかけら。” 【収録作品】『木村先生』いつから人は大人になるの? 大人になるってどういうこと? 進路を決めかねている高校3年生のカホが、夜の公園で木村先生に教わったことは…。 『銃声を削り出す』とある工業高校のはみ出しグループ、その筆頭・住田は正義感が強く仲間思い。しかし退学後ヤクザに身を落とし消息不明に。そして18年たち、住田は帰ってきた…。 『TRAINSPOTTING』鉄道ファンで「撮り鉄」のさえない高校生いちろうは、チャットで知り合った女性・ハナに会うべくにひとり上京しオフ会に参加するが…。シネマオマージュシリーズ第1弾。 『TAXI DRIVER』カーレースに魅せられた少年、卓也と進一。親友だった2人を、やがて運命が引き離し翻弄する。シネマオマージュシリーズ第2弾。 『KIDS RETURN』マイペースな小学生・エツコちゃんが、行方不明と思われ捜索されているとも知らず、森林公園で動物たちと触れ合っていたら…。シネマオマージュシリーズ第3弾。 『空飛ぶくじら』誕生日プレゼントとして、5歳の愛娘こはるから「そらとぶくじら」が見たいとねだられた教授は…。『銃声を削り出す』のキャラクターも登場する描き下ろし。
にわ
あらすじ
「どのような庭園なのですか?」「たいへん良い庭です」広大なアシッド・ダンジョン。ギミック溢れる奇想の「庭」へ!誰が何のために作ったのか?大規模な仕掛けや謎のオブジェが、次々と現れる異界の庭園。そこに潜入した男たちが見たものは――。
しんばつ
あらすじ
手塚●虫、藤子不●雄、永井●、本宮●ろし……。マンガ界の偉人たちが、田中圭一に憑依した!!(ような気が)。命懸けで描きためた、パロディワークの集大成!!(下ネタ含む)リスペクトとかオマージュとか、そういう都合のいい言葉をフルに活用した現代の奇書が、いまここに電子化!!気になる「愛のイき先」が徐々に明らかになっていけば、不思議OLたちの「乙女のバズーカ」も炸裂!!
がーでん
あらすじ
古屋兎丸全身全霊!幻想、快楽、目覚め、葛藤、科学、後悔、破滅、……。7つの庭が配置された、天才作家・衝動の初短編集!かつて未完のまま連載を終えた超問題作「エミちゃん」、鬼気迫る114枚の描き下ろし全ページ完全収録。「Wsamarus2001」では味わえない、古屋兎丸のアナザーサイドかつエッセンシャル・クオリティ。
うさまるずにせんいち
あらすじ
兎丸博士のマッドな新発明!イラスト・ショート・パロディ・ストーリー・2コマ・4コマ・怪談・女子高生・エロ…。バラエティに富んだファイルの数々を、あなたの脳に直接インストール!世界の見え方が変わる、ハード不要の新ソフト・Wsamarus2001が遂に完成!!(MacOS/Windows/Linux非対応…ていうか本作品はPCソフトじゃありません)。
ちゃちゃちゃーこ
あらすじ
「私、この世界が大好き…!」(チャー子)「この世界はチャー子さんを中心に、様々な現象が毎日発生している!」(プリン博士) 『ネコノヒー』他でおなじみキューライス先生の、コアファンに愛されるチャー子シリーズ、姉・チャチャが加わってますますにぎやかに新展開! 【作者コメント】私がネット上で毎週土曜日に公開している「チャー子」と、オモコロで特集として載せている「チャチャ・チャー子」のふたつをひとつにした漫画です。自由奔放で気ままなチャー子と、その姉である真面目で優しいチャチャのお話です。たくさんの方に読んでいただけたら幸いです。――キューライス
ちゃーこ
あらすじ
「一番好きな作品です」(作者) 【謎の12コマ漫画】チャー子は世界一残念な「おちゃっぴー」。そんな彼女と、多彩なキャラクターたちの謎世界。『ネコノヒー』他で知られる著者の原点にして、自身がもっとも大切にしてる作品がこちらです。難しいことは考えず、心のままにお楽しみください!1巻2巻、オールカラーで同時発売!
めかどうふのふくしゅう
あらすじ
ギャグとエッセイとトリビュート、そしてSF…『ロボ道楽の逆襲』以降の「企画モノ」短編の集大成! シン・ゴジラパロディの表題作、週刊少年チャンピオン創刊40週記念企画『クルクルくりんfeaturingるんるんカンパニー』、筒井康隆原作『わが良き狼(ウルフ)』、震災後の問題作『ダブル・ストーリー』『MightyTOPIO』ほか約50 作を収録。 雑貨屋さんを楽しむような感じで読んでいただければ幸いです。(とり・みき)
ろぼどうらくのぎゃくしゅう
あらすじ
蟹工船ブームを予見した表題作から、筒井康隆、小松左京、みなもと太郎作品のパロディ・カバーバージョンまで、カラー34ページを含む盛りだくさんの内容です。■すっとぼけたメカが好きです。(伊藤理佐)■ねっとりした背景が好きです。(吉田戦車)■あれこれ工夫してまとめてみました。バラエティ感をお楽しみいただければ幸いです。(とり・みき)
しゃりばり
あらすじ
ジークフリート伝説・アーサー王伝説など、中世騎士物語からその元型を抽出。ユング的解釈と、まったく関係のない引用ギャグの大洪水。嵐のような「しゃりばり(=バカ騒ぎ)」が大きなうねりとともに、誰も予想しえない以外な結末へと収斂 していく!スペシャルゲスト解説におおひなたごう参加!
もうあんしん
あらすじ
迷宮的、モンティパイソン的、入籠的、マルコム・レオ的、クラブDJ的…。20の短編を41のエレメントに解体、描き下ろしを加え1本の長編作品に!最初から読んでも好きなところから読んでも面白い、画期的NON-STOP MIXマンガ!! 「自分では割と気に入ってるのですが、いかがでしょうか」と筆者も自薦!
しりあがりことぶきのおくらだし
あらすじ
初期の爆発的エネルギーに満ちた『流星課長』や、これまで漫研OBの同人誌でしか読めなかった超レアなアレなど幻の発掘原稿多数!「自由時間」連載の4コマ『風まかせフレックス野郎!!』も新収録。しりあがり寿の原点といえるギャグ短編集!
がんそろっきんらぢを
あらすじ
通販化粧品売上げNo.1!! ビートルズが! ストーンズが! ピストルズが! 向井秀徳が! YMOが! 清原和博が! 有名どころからマニア向けまで、古今東西のロックスターが、和田ラヂヲによって好き放題にネタにされた!ベストセラー「ロッキン・ラヂヲ」に、未収録の新作、および『雨を見たかい?』(WHAT’S IN? ES連載)を加え、ムダなページを削除した、著者も読者も納得の完全版!!
べびーぶーむ
あらすじ
「可愛いものは面白い。今もっとも描きたかった作品」子供の自由さを自由に描いた、マンガ表現のネクストステージ全頁オールカラー、巻末インタビュー+解説を収録。謎の「鳥」と「ひよこ」の親子(?)が繰り広げる何気ない、そして少しシュールな日常と非日常。「子供や動物の無垢で無自覚なかわいさ」を、これまでにないラフな描線、カラー水彩マーカーで表現。
にゅーどぼく
あらすじ
「ビート書物&レイジング資材&グレート作業&ブラッディ手段。紙のメディアで体験できないはずのウルトラ&ミラクル読感」(榎本俊二)「作る洪水!工業度200%これこそ本当のクラフト・ワークだ!読まずに『聴こう』このマンガ」(上條淳士)「17歳、同じ美術予備校に奴はいた。奴はその頃から非凡だった。開花のしるしがここにある」(古屋兎丸)と評される21世紀の異能者、横山裕一。彼の作品はマンガの概念を覆す破壊と構築の位相であって、その集大成たる単行本「ニュー土木」が、いよいよ刊行となりました。マッドな内容で大評判です。
よーでるおうじ
あらすじ
インチキギャグの最前線!ギャグの軽業師、おおひなたごうが贈るインチキ要素満載の問題作品!雑誌連載時のものに大幅加筆・再構成を施し、もはや無視できないバカバカしさあふれる逸品に。中学時代の恩師がなぜだか詩を寄稿。
おれにちまなこ
あらすじ
「TVBros.」誌で超人気を博した連載の単行本、ついに電子化! おおひなたごうの名をこの世界に知らしめた傑作ギャグの数々が復活! 吉田栄作の重大告白や、巨匠水島●司氏の似顔絵も掲載! 表紙のイラストは大日向幸子氏(著者のお母様)。おおひなたギャグワールドはここからはじまった! ※本商品は過去に配信した分冊本全巻を収録した合本形式での配信となります。