家を出た母親。気落ちする父親。それでも日常は静かに、またにぎやかに回っていく。思考する小学3年生・花さんが見た家族や親族、クラスメイトたちとの日々。業田良家・石塚真一・浅野いにおの各氏も絶賛する光用(みつもち)千春、待望のデビュー単行本。連載分に新たなエピソードを描き下ろして収録。
なんでこのタイトルなんだろうって途中まで分からなかったのですが、最後の話で離婚して別々に住んでるお母さんと花ちゃんが一緒に買い物に行って、花ちゃんが選んだコスモスの飾りがついたヘアピンをお母さんに買ってもらうんですよね。それでタイトルがコスモスなんですけど、コスモスって漢字で書くと「秋桜」だから、お父さんの「秋彦」って名前と、お母さんの「桜」って名前を、花ちゃんは意識して選んだんだなってことに気づいた時にぶわ〜っと涙が出てきました。クールに見える花ちゃんもまだまだ子供で、無条件にお父さんとお母さんが大好きなんですよね。
私は花ちゃんと転校生のタチバナ君がブランコに乗って会話するシーン「あっちコーヒー、こっちココア、こいつすげえな」が一番好きなんですけど、頭脳明晰で理論武装なタチバナ君としゃべっている時の花ちゃんはいつもと違う雰囲気を感じます。でもこの時の感情に素直な花ちゃんはお母さんに似ているなと思いました。お父さんとお母さんがいて自分がいるから、どっちにも似てて当たり前なんだけど、離れて暮らしていたりすると気づきにくかったりしますよね。
私はもう大人になってしまいましたが、子供から大人に変わる明確なタイミングってなかったなと思ってます。いつの間にかそうなったという感じで、実は子供の頃から何も変わっていないのかもしれません。花ちゃんのお父さんとお母さんを見ていてそんなことを思いました。大人だって元子供なんです。誰だって未熟で当たり前だし、お互い完璧じゃないままで繋がっている、そういうものだ。コスモスを読んで感じたのはそういう肯定でした。とても面白かったです。
家を出た母親。気落ちする父親。それでも日常は静かに、またにぎやかに回っていく。思考する小学3年生・花さんが見た家族や親族、クラスメイトたちとの日々。業田良家・石塚真一・浅野いにおの各氏も絶賛する光用(みつもち)千春、待望のデビュー単行本。連載分に新たなエピソードを描き下ろして収録。