僕の小規模な生活

僕の小規模な失敗も!

僕の小規模な生活 福満しげゆき
影絵が趣味
影絵が趣味

最近、"妻"がツイッターにハマっているらしく、福満しげゆきのアカウントから過去作の切り抜きがたびたびアップされているのを目にする。一世を風靡している100日のワニほどではないにしても数百から数千、ときには万単位のいいねがついている。アックスは青林工藝舎時代からの読者としては真に感慨深いものがある。 (ちなみにマンバさん、福満しげゆきの青林工藝舎から出ているタイトルがすべて載っていないので、何卒載せてあげて下さい) とくに『僕の小規模な生活』のもとになった、というより、小規模な生活がそれの続編にあたる『僕の小規模な失敗』(青林工藝舎)はいったい何度読み返したことだろう。そればかりではなく、家に何冊も備蓄しておいて、遊びにきた友人知人に「これめっちゃオモシロイから読んでくれ!」と半ば強制的に持ち帰らせていた。反応はまずまずだったと思う。 小規模な失敗はとにかく気合いが凄かった。最近の漫画はコマを縦に三段で割るくらいが一般的だが、手塚時代でもせいぜい四段で割るくらいだったが、福満しげゆきは五段とか六段とかまでいっちゃう。コマが豆粒みたいになって読みにくいんだけど、たぶん本人にもその自覚があって、始めのほうは大きくコマを取っているんだけど、だんだん描きたいことと残りのページとの釣り合いがとれなくなってコマが小さくなっていく。それでも加速度的に熱が籠もっているからなのか、小さなコマを追っていってしまう。 気合いの入った熱い漫画家であるいっぽう、大変なひねくれ者でもあるようなので、自身の漫画を自分のツイッターで宣伝するなんてできなさそうなところを妻がナイスアシストでツイートしている。いやあ、なんだか羨ましいですなあ。

ガイコツ書店員 本田さん

本屋さんとガイコツを応援したくなる

ガイコツ書店員 本田さん 本田
名無し

本屋の店員さんによる本屋さんの本音や裏話、 お客様や店員仲間、出版社や取次ぎの方々とのエピソード。 それらをなぜかガイコツ姿の主人公(作者)が 主に翻ろうされる側として描いています。 なぜか主人公はガイコツ姿。 他のキャラも殆どがヘルメットや剣道の面など 被り物を装着しているのでそうなのですが、 細かい表情は見えません。 それでも普通に素の表情で叫ばれたり汗をかいている絵よりも むしろ感情の機微が伝わってくる感じがします。 そして愚痴やつぶやきや自虐的なセリフが多いのですが、 ガイコツ姿なのにというかガイコツ姿のせいでというか(笑) 深刻な暗さを感じずにすみます。 リアリティを損なわず過度に感じることもなく、 愛嬌が加わって感じられるという感じ。 本屋さんの色々な仕事の流れも解説してくれますが、 コネタをちょいちょい入れて面白く紹介してくれます。 仕事の大変さがよく伝わってきます。 同時に、作者も他の店員さんたちも、 「仕事は大変だけれども、本と本好きが集まる本屋が  好きだからやっているんだろうなあ」 ということも伝わってきます。 頑張れ本屋さん、 これからは自分が本屋に行った時は変な問い合わせを しないように心がけます(笑)。

藤子スタジオ アシスタント日記 まいっちんぐマンガ道

これも『まんが道』です

藤子スタジオ アシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 えびはら武司
名無し

まいっちんぐマチコ先生の作者えびはら武司さんは高校卒業後に2年間藤子プロでアシスタントをしていた!その時の思い出を描いたエッセイマンガです。 ちなみに今のところシリーズ全3巻となっており、①「藤子スタジオ アシスタント日記 まいっちんぐマンガ道」→②「藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 名作秘話編」→③「藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 ドラえもん達との思い出編」が刊行順のようです。でもどこから読んでも楽しめる内容でもあります。 えびはらさんは特にF先生作品のファンだったようで、アシスタントになってからはF先生が人見知りするタイプだったこともあり、ほぼマンツーマンで作業していたようですね。ドラえもん開始時は読者からの人気もなく不遇な時代だったそうですが、絶対に連載をやめないで!と言い続けたのはえびはらさんだったとか。ふたりの間柄が師弟というより親子みたいなのも読んでいてほのぼのします。 近くにいたから知っているF先生とA先生の創作秘話も描いてあるので、藤子ファンのみならず漫画を描いてる方が読んでも楽しいと思いますよ。

ありがとうって言えたなら

美しく強かった母のすい臓がん闘病記

ありがとうって言えたなら 瀧波ユカリ
nyae
nyae

がん闘病コミックエッセイは数あれど、これほどわかりやすく、かつ面白く描かれているのはないかもしれません。 癌になるのは著者である瀧波先生のお母さんで、年齢的にも子供側の立場で読んでしまうのですが、漫画が上手いので読むのが辛いという事はありませんでした。 病人がいちばん大変なのは前提として、読んでていちばん印象強かったのは、主にお母さんのお世話をしていた瀧波先生のお姉さんです。だいぶマイルドに描かれていると思うのですが、正直「よくそれで生きているな」と思えるくらい壮絶。ストレスをイオンのメダルゲームで発散してるのが笑えるんですが、思う存分やってくれ、じゃないとお母さんより先に死んでしまう…!と心配になる。 読んだことでいちばん学びになったのは、よくドラマなどで死にそうなのに穏やかに会話をする描写がありますが、実際患者にはそんな余裕なんてないこと。笑 考えてみれば当たり前ですね。 あと、普段は全く関心がなくても、こういうときこそお金を払って何かしらのセラピーを受けるのも自分を守るために必要だということ。覚えておこうと思いました。

いいなりゴハン

いやホルモン多すぎ〜!

いいなりゴハン 森繁拓真
nyae
nyae

最強の姉・東村アキコを持つ漫画家・森繁拓真は、姉と編集の言われるがままにグルメレポ漫画を描くように指示される。 はじめは姉が店を決め、姉と編集と三人で食べに行き、レポートをするというスタイルだったが、ご存知の通り東村アキコは超多忙。そのうちに店だけ指示されてひとりで行かされたり、時には「たまにはお前が店決めろ」と無茶振りされたり…本書の趣旨の通り、いいなりゴハンだ。 他のグルメレポ漫画と違うのは、料理ジャンルに偏りがあること。バランス良く色んなジャンルのお店を紹介!という気持ちは微塵もない事が読むとわかるはず。 しかしそれで成立しちゃうのは東村アキコの力だと思う。たとえ連続でホルモン屋を紹介されても、全部美味しそうだから行きたくなる。 あとは、広くて濃い人脈を使ってゲスト作家も多数呼ばれている。弟の方も清野とおるや押切蓮介など癖の強い方面の作家と仲がよく、それによりマンネリせずに2冊いっきに読み切れる。 一部を除きお店情報もちゃんと載ってるので、単純に美味しいお店を知りたいという人にもおすすめできます。 個人的には、弾丸で韓国旅行に行くエピソードが好きで、本気で韓国まで焼き肉とフライドチキンを食べに行きたくなりました。近々実現させる!

おひ釣りさま

「趣味は独りで」というライフスタイル

おひ釣りさま とうじたつや
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『おひ釣りさま』の主人公、OLの上条星羅が一つだけ譲らないこと、それは「釣りは独りですること」である。 彼女は決してコミュ障ではない。表情に乏しく無口だが、同僚とビュッフェを共にし、古い友人もいて、仕事もできる常識的な社会人。 しかし、誰かが釣行に誘うと、それだけはきっぱりと断るのである。 「釣りは1人で行きたいので」と。 どんな釣り場にも独りで現れては、男性ばかりでも気にすることなく釣りをする姿は最初は奇異だが、夢中で釣りに打ち込むうち、すぐにその場に馴染む。そして名人じみた釣果を挙げ、おじさん達を感服させる。 彼女の周囲には、釣り好きや初心者が集まる。彼女は決して邪険にはせず、丁寧に教えたり、釣果を喜び合い共に食したりする。それでも、釣行はあくまでも独り。 初心者に教えるのが大変だとか、同行者に合わせるのが煩わしいとか、そういう後ろ向きな理由は語られない。とにかく魚とフィールドとの決闘に真剣で、相手を制した時の恍惚を独りで味わう、その贅沢。 集中したい時間はとことん自由にのめり込み、それ以外とバランスを取る彼女のスタイル、趣味人の生き方として、最高かもしれない。 沖磯から遊園地まで毎回バラエティ溢れる釣行と、皆を幸せにしつつ自分が一番幸せな趣味人ライフスタイルを、星羅に学ばせてもらおう!