しょうゆさしの食いしん本

等身大の食エッセイ

しょうゆさしの食いしん本 スケラッコ
nyae
nyae

美味しいものは美味しい!そうでもないものにはそうでもない反応をする(なら美味しくなるにはどうするかを考える)、とても等身大で親近感がわくエッセイでした。今まで読んだ食エッセイ漫画の中でいちばん好きかもしれません。 大げさに表情だけで美味しさを表現する漫画よりも、リアルな生活感が伝わってきて好印象です。 スケラッコさんは「自分で作る」ことにこだわりがあるようで、食べたいと思った時に食べたいのもを作る!という率直な行動は憧れるのですが、ブリトーやピザを生地から自作したり、小豆を炊いてあんこを作ったりとなかなか真似するにはハードル高いぞというものもあります。 ただコンビニのブリトーにハマってた時期は自分にもあったので、一話目から共感指数がすごい高かった。笑 料理という行為が、必要に迫られてするものではなく自分の欲を満たす手段というか、好きな時に好きなものを…という気持ちの良い素直さの先にあるんだなと読んでて思いました。自分は特に、料理は年に数回しかしないもののストレス発散になるのですが、この漫画を読んでいると自分は料理してないのになんだかストレスが軽くなるような気がします。 あくまでも姿をしょうゆさしで描いているだけなので、手巻き寿司の回で醤油を忘れてしまい、買いに行っている姿は矛盾してるんだかしてないんだかわからず、シュールでした。

水族館で働くことになりました

活き活きとホノボノを感じる「ちょうどいい」お仕事漫画

水族館で働くことになりました 日高トモキチ
名無し

第一話に「この本は事実に基づいたフィクションです」 と書いてある。 このフレーズを掲げる作品は危険だと思っている。 「ようするにフィクションだよね」 という話になりがちだから。 「手打ち風うどん」「本場風中華」 みたいなやつになりがち、とどまりがち。 それで面白い作品(例としてあげれば梶原一騎先生の作品) になっているならよいけれども、 たいして面白くもない、という作品も多い。 「水族館で働くことになりました」は 事実に基づいたフィクションという描き方を 最適に活用した面白い良作品だと思う。 別の言い方をすれば、 わざわざこのフレーズを書かなくても済ませられた かもしれないが、正直にあえて書いて、 そしてそれが正しかった漫画だと思う。 ノンフィクションには「真実という価値」があるが 真実には過激だったり不快だったりする面が 含まれていることもある。 そこを除外したり脚色すれば、 ノンフィクションという価値は 下がるか無くなってしまう。 水族館の仕事も、真実を忠実に描こうとすれば もっと肉体的にも精神的にもキツイ面を 描かざるを得なくなると思う。 早出・遅番・宿直のつらさ、衛生面や匂い、 怪我や病気や、潜水仕事などでの命の危険。 そして何より命を預かっているという重圧。 だがそれをノンフィクションで忠実に描くことは 水族館側が望むことでは無いと思う。 お客様には、生き物を飼育することが大変だと 知ってもらいたい面もあるだろうと思うが、 知ってしまったら、単純に楽しむことが 出来なくなるかも知れず、それは水族館としては 避けたいことだろう。 そこに配慮して「水族館で・・」は 事実に基づいたフィクションということで 上手く、そして面白くて、良い意味で 水族館側が望んでいる漫画にしていると思う。 その点で、日高トモキチ先生は凄く上手い。 主人公が活き活きと明るく仕事をしている。 大変なんだろうな、と適度には思わせながら。 読んでいるほうとしてはホノボノする感じを受ける。 愛嬌のあるキャラの仕草やセリフで。 そういったいかにも漫画的な手法で。 読んだら水族館は楽しいところだなと感じ、 飼育員さん大変だけれど頑張ってね、と思うようになる、 事実に基づいたフィクションだからこその とても面白いと感じる、お仕事エッセイ漫画だった。

プリンセスお母さん

「母の話」Twitter掲載分&小ネタまとめ

プリンセスお母さん 並庭マチコ
名無しの姫

プリンセスお母さん2019/11/29(金)に紙&電子書籍で発売です🎊 【Twitter漫画まとめ】 (↑旧 新↓) 1 私の母が奇声を出すけどまさかの思いやりだったという話 2 母の妄想についていけない話 3 母のムチャ振りに困っている話 4 母の一人芝居についていけない話 5 母の仕事先が貴族のサロンみたいになっている話 6 アラサーの私に母が年相応でないものを買ってくる話 7 母が私にごはんを沢山食べさせようとしてくる話 8 母が上司の犬になってる話 9 夏なので、姉から聞いた怖い話 10 家族が私の料理に対して圧が強い話 11 母が推しのライブに行ってヤバみが極まってた話 12 朝おきると母が踊っている話 13 母の聞き間違えがおかしい話 14 父にいつまでも子ども扱いされてる話 15 母によくペットと呼び間違えられてた話 16 母の元気の出しかたがホーリーだった話 17 姉ちゃん実録 修正版 18 母の妄想が膨らみすぎてる話 19 両親の性格が似てなさすぎる話   ▼私の母が奇声を出すけどまさかの思いやりだったという話 https://twitter.com/manga_m/status/1118833445994553344?s=20 ▼母の妄想についていけない話 https://twitter.com/manga_m/status/1134432940857815041?s=20 ▼母のムチャ振りに困っている話 https://twitter.com/manga_m/status/1136972014017638401?s=20 ▼母の一人芝居についていけない話 https://twitter.com/manga_m/status/1139503821942509568?s=20 ▼母の仕事先が貴族のサロンみたいになっている話 https://twitter.com/manga_m/status/1147457343744909313?s=20 ▼アラサーの私に母が年相応でないものを買ってくる話 https://twitter.com/manga_m/status/1149968140454862848?s=20 ▼母が私にごはんを沢山食べさせようとしてくる話 https://twitter.com/manga_m/status/1152179988377944064?s=20 ▼母が上司の犬になってる話 https://twitter.com/manga_m/status/1152179988377944064?s=20 ▼夏なので、姉から聞いた怖い話 https://twitter.com/manga_m/status/1157860725592743936?s=20 ▼家族が私の料理に対して圧が強い話 https://twitter.com/manga_m/status/1161131038929588225?s=20 ▼母が推しのライブに行ってヤバみが極まってた話 https://twitter.com/manga_m/status/1162689052539101184?s=20 ▼朝おきると母が踊っている話 https://twitter.com/manga_m/status/1164876016184991744?s=20 ▼母の聞き間違えがおかしい話 https://twitter.com/manga_m/status/1170170576721235969?s=20 ▼父にいつまでも子ども扱いされてる話 https://twitter.com/manga_m/status/1172470662146879488?s=20 ▼母によくペットと呼び間違えられてた話 https://twitter.com/manga_m/status/1175335985271296001?s=20 ▼母の元気の出しかたがホーリーだった話 https://twitter.com/manga_m/status/1177551067040452608?s=20 ▼姉ちゃん実録 修正版 https://twitter.com/manga_m/status/1185176694342074368?s=20 ▼母の妄想が膨らみすぎてる話 https://twitter.com/manga_m/status/1195900550161690624?s=20 ▼両親の性格が似てなさすぎる話です https://twitter.com/manga_m/status/1197777312445370369?s=20   **家族の小ネタ** https://twitter.com/manga_m/status/1102181231339307010?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1180067783297531904?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1171376209453707264?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1171358299905609728?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1171004171467624448?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1167702714639212544?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1167354851166081024?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1167362404268703744?s=20

プリンセスお母さん

例の母、ついに書籍化…!!

プリンセスお母さん 並庭マチコ
たか
たか

諸行無常。バズっては消えていくTwitterインディーズマンガの中で、今年一番記憶に残った爆笑エッセイマンガが、この並庭マチコ先生の『プリンセスお母さん』という人も多いはず。 というか、私の中で2019年のNo.1のコミックエッセイです…!! https://twitter.com/manga_m/status/1167354851166081024?s=20 8月に書籍化のツイートを見たときの嬉しさと言ったらやばかったです。まあ11月末が遠すぎて正直スッカリ発売日のことを忘れてたんですけど(ありがとう、マンバのTwitter…!) 「お母さん」とは ・パート先で姫と呼ばれている ・エアドレスで挨拶(カーテシー) ・家=領地 ・Beatlesのポールが憧れの人。おかげで英語が堪能 ・娘・並庭先生の部屋がある2階に上がるときは変な歌でお知らせ …などなど、パッと出てくるだけでもこんだけ強烈。 「こんな楽しい人になりて〜〜なあ…!!」と、私淑しております。 お母様の自分の好きなものを大切にし、日常のなんでもないようなことを楽しんでいる姿、最高です…! ところで、表題となっているお母様もそうとう個性強いですが、そのほかの皆さんも個性強い。 ・優しくてとても普通な常識人な父 ・姉に対して謎に当たりの強い弟(マンガにチューブ入りわさびを付けて返す) この強烈な個性が不思議と噛み合い、織りなすハーモニーが癖になる。家族仲メッチャいいな〜!! 早く家に帰ってじっくり読みたい!!楽しみ!!! 【追記】 読みました!開いてすぐの「ナミニワ国マップ」で吹きました。離宮(プレハブ)www お母様の大変な生い立ちを知ると、自分がしたいように、自由に楽しく振る舞うことの大切さと深い説得力を感じました。 お母様が書いていたように、「不条理だらけの中で生きている」ということをよく自覚して、その中で楽しく暮らせるようにしたいなと、あらためて思いました(どんな自己啓発より信頼できるし真似したい) 娘の夢が叶ったことを嬉しがってくれるお母様素敵すぎてキュンとしました。 そして締めの並庭家ヨーロッパ旅行編、家族全員大活躍(マチコ先生以外)でホント最高でした…! 買って間違いなしの1冊です! 【余談】 弟のギャグ日の曽良くん感狂おしいほど好きです…マチコアンチのあたりの強さ…大学の先輩好きすぎるところもいい…

シンガポールのオタク漫画家、日本をめざす

海外のオタクが日本に暮らしたら!

シンガポールのオタク漫画家、日本をめざす フー・スウィ・チン
ぺそ
ぺそ

すこし前に海外エッセイ漫画と海外ウェブトゥーンにハマっていて、フランスはとにっきやモンプチ(フランスに偏ってますが)などを読み漁っていました。そのころにたまたま「海外のマンガ家さんが日本での生活を描いたエッセイ漫画」という興味ドンピシャのマンガがあると知って「絶対面白い…!」と思いながら読んだのがこれでした。 https://www.comic-essay.com/episode/68/ 絵がすごくかわいい!コミックエッセイらしさとお洒落さが絶妙なバランスの絵が素敵✨ クチコミを書くにあたりさっき冒頭を読み返してみたら ・アニメやマンガで買い物袋から突き出しているものが「ネギ」だと知って真似したくてスーパーで買う ・日本で人の家に招かれた際、「(※客間に)上がって上がって」の意味がわからなくて、3階まで上がって待っていた ・スーパーで売ってる下着が地味なのが不思議 …という面白エピソードがたくさん出てきて笑ってしまいました。 ちなみに私が好きなのは「あられの日に窓の外を見たら男の子がマンガみたいに屋根の上で空を見上げていた」という話。もし自分が海外出身のオタクでそんな光景を見たらエモすぎて一生忘れられないと思う…!! (↓このエピソードです。「第10話 あられで出会った少年2」) https://www.comic-essay.com/episode/read/747 20話以上がコミックエッセイ劇場で公開されているのでぜひ読んでみて下さい! (追記) 当時は知らなかったのですが、フー・スウィ・チン(FSc)さんは、日本でも著者を発表してる有名な作家さんなんですね。最近知ってすごく驚きました。 (画像は序文の挨拶のところ。優しい塗りと洗練された柔らかいデフォルメが素敵です。)

I【アイ】

-(マイナス)×-(マイナス)=+(プラス)

I【アイ】 いがらしみきお
影絵が趣味
影絵が趣味

よく「動物を擬人化させたマンガを描くひとは捻くれ者だ」と言われることがありますけど、なかなか本質を突いた言葉だなぁと思います。動物ではないですけど、実はアンパンマンなんかはかなりグロテスクですよね。それを戦中餓死しかけたこともあるというやなせたかしさんが描いたとなればこと尚更。まあ、おそらく、そういうひとたちは人間の目線では物事をみていない。というのは人間に絶望しているのか、人間が嫌いなのか、それはわかりませんけども、とにかく人間の外側からの目線を獲得したいという強烈な意志を感じます。 いがらしみきおも擬人化動物マンガを描いたひとりですけども、『ぼのぼの』は凄まじいです。第一話目からいきなり、ぼのぼのがただ川を流されてゆくコマが四つ続くという過激さ。起承転結という四コマ漫画の定石をまるで無視して四コマとも何も起こらない。ただ、ぼのぼのが川を流されているという事実だけが浮き彫りになる。この何も起こらなさを過激と捉えてしまうのは人間の目線でものをみているからなんでしょうけど、ぼのぼの以前のいがらしみきおは全人類を燃やし尽くすかのような過激でブラックなギャグをやっていたひとですから、やっぱり衝撃なわけです。 しばらくの休載期間を経てはじまった『ぼのぼの』ですが、休載期間に何か転機があったのか、おそらく、否定に否定をどこまでも重ね尽くしたひとにしか到達できないある種の肯定に辿り着いたのだと思います。まあ、菩提樹の下で悟りを開いたブッタのようなものです。 そして『ぼのぼの』で悟りを開いて、しばらく山籠りしていた仙人が俗世に下りてきたのが『Sink』や『I』になるかと思います。だから『ぼのぼの』の過激さがもっと分かりやすく描かれている。動物ではなく人間ですからね。といっても『I』ではほとんど動物めいた人間がおぞましく描かれている。そういう意味ではジョージ秋山の『アシュラ』に近い作品なのかもしれません。『アシュラ』も『I』も醜さや穢らわしさが一周まわって何か神聖めいた肯定的なものにみえてくる。この「一周まわって」というのがとても重要なことのような気がします。

水曜日

高校デビュー失敗組は必読

水曜日 冬川智子
nyae
nyae

読んでいて、ちびまる子ちゃんが今女子高生だったらこんな感じかもなと思った。 どうせあたしなんか…と自分を卑下しながらも、心のどこかでは自分のポテンシャルを信じたい。いつか自分もあちら側に…という期待を捨てることができない女子高生の自意識がパンパンに詰まった、笑える青春?マンガです。 中学までの地味だった自分を捨て、高校デビューを目論むも根っからのオシャレ人間たちとの圧倒的な差を見せつけられ、絶望する主人公の鳩。かといって地味女子グループに入ることはプライドが許さない。 比較的自分とレベルが近いと思っていた友達も、オシャレになって恋をして彼氏ができる。比べて自分は“男子に話しかけられるか”を日々の目標にする始末。 流行りのおくれ毛を作っていったらボサボサだし疲れてる?と言われてしまうくだりは涙なしでは読めません(笑い涙です)。 鳩はそんなオシャレグループにかすりもしない自分に対して思い悩みながらも、全体的にノリが軽いのが読んでいて楽です。 鳩に自分を重ねて、自分の高校生活を振り返って、しょうもなかったけどそんな自分も今思えば未熟で愛おしいな、と思えるかもしれません。