小学館マンガの感想・レビュー4596件<<155156157158159>>極めつけの短篇集妖女伝説 星野之宣(とりあえず)名無し星野之宣の短篇連作といえば、『2001夜物語』がまず思い浮かびます。ハードSFマインドをリーダブルで感動的な物語に詰め込んでいて、本当に素晴らしい大名作です。(SFっぽいセンスで描かれた漫画は多いのですが、星野之宣は折り目正しい「ハードSF」なんですよね、それがすごい) でも、個人的に思い入れが強いのは、ヤングジャンプに連載されていた『妖女伝説』! SFはもちろん史劇や伝奇など手を変え品を変えた多様なテーマを、実に平明で丁寧なドラマに織り込んで、しかもそれを、あの無類に「端正」な絵柄で見せてくれる。 良質、ハイ・クオリティー、佳品…そういう表現が本当にぴったり。 短篇漫画を読む悦びを、これだけビンビンに感じさせてくれる作品集はないです。 自分は十代の中頃に、この作品を何度も読み返すことで、「物語感覚」のようなものを学ばせていただきました。 その「感覚」は一生の宝物だと思っています。つぎはぎだらけの幸せでも夢かもしんない 星里もちるナベテツ幸せか?と訊かれて、ためらいなく頷くことが出来る大人は、どれくらいいるのでしょう。少年の日に思い描いていた大人と今の自分との間に、どれくらいの距離があるのか。殆んどの人間はそんなことを忘れてしまうんでしょうけれど、この作品は、くたびれた大人になった主人公を「ハッピーにしてあげる」という謎の美少女が出会い、始まります。 ピュアであるということは、必ずしも良いことではないと分かるくらいには老成してしまった人間は、彼女の問いかけに対して恐らく言葉をなくしてしまうのではないかと思います。それでもこの物語を読んでしまうのは、恐らくある種の郷愁があるからではないかと思います。もう戻ることの出来ない時代があると理解して、ただ喪ってしまったことを嘆くのではなく、手にしたものをいとおしむことが出来る大人になったと自覚すること。星里もちる先生は、物語の中に数滴の「毒」を混ぜる人なんですが、この作品はそのバランスが絶妙だと思いますし、その毒を包む糖衣は比較的受け入れられやすいと思います。 常識に抗う。格闘太陽伝ガチ 青山広美ナベテツ今は主に漫画原作者として活躍している青山広美さんが描いた、総合格闘技の漫画です。連載時に読んでいたのですが、数年前にふと思い出して読みたくなり、古本で全巻揃えて読み返し、青山さんの創作の根底には「常識に抗う」という要素があるんだなあと思いました。 総合格闘技にショーアップされたプロレスで挑んだり、スープレックスを決め技にしたり、大相撲の現役の大関とレスラーがガチンコで戦ったり…。麻雀漫画の不朽の名作である「バード」もそうですが、世間の常識に対して抗う、その闘争こそがこの作者の真骨頂だと思います。 作品に漂うダークさや残酷描写も含め、唯一無二の作品であり、恐らく埋もれてしまっているのですが、一人の少年の成長物語としても良い作品だと思います。あれ?面白いじゃん…!名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム) 新井隆広 青山剛昌名無しなんとなく抵抗があってスピンオフ作品は読まない自分だったのですが、読んでみたら面白い…! 読者がみたいであろう部分が漫画になってて補完的に面白買ったです! 安室さんが原作ではバリバリかっこいい感じなのに、こちらでは犬を助けたりして穏やか、隙がある感じ。 探偵的な蘊蓄も会話の中で出てくるのでへぇ〜と思って読みました。 人気な理由がわかりました。 大好き!終わるのが残念すぎる!!黄金のラフ2~草太の恋~ なかいま強コルク サディ黄金のラフ、面白すぎる。12巻を読んでたら、次巻が最終巻とのこと。チームきりたんぽ復活してほしい。復活して、続編が始まってほしい。作品に潜む「魔」を体感してください!海の闇、月の影 篠原千絵名無し主人公のルミとルカは一卵性の双子で、"2人で1人"の人間のように描かれています。けれども、なぜ一方だけがあの結末になってしまったのか…。 その結末にたどり着く要因は、是非作品を読んで見つけてみてください。 文庫版9巻くらい?にあった後書き(解説)がとても印象的だったのを覚えています。 この作品にはあらゆる「魔」が潜んでいる。 主人公のルミとルカは、自分の感情に潜む「魔」に取り憑かれた、 ジーンも故郷をルミとルカに見せたいという希望から生まれた、歪んだ愛の「魔」に取り憑かれた、 そして私たち読者も、時に恐ろしく残酷なこの物語の"続きが読みたい"という「魔」に取り憑かれていく…。 まさにこういう作品でした。是非、その「魔」を体験してみてください!マヤちゃんジャンプ力すごいセミとマヤちゃん 平稔名無しある暑い日、ベランダで洗濯物を干していたマヤちゃんの身に起きた2つの悲劇…!! (道を歩いていたサラリーマンに見られたのを含めれば3つ) 虫に対して、恐怖から怒りに変わる感じ、超わかる!と思いました。 絵柄が好き嫌い分かれるかもしれないけど、画力は高いし自分は好きです。 ブスを描くのが上手い人は、何描いても上手い(持論)。 美術界の表でも裏でも、己の器量とルールで疾走する男・フジタ。ギャラリーフェイク 細野不二彦名無し※ネタバレを含むクチコミです。懐かしさが一周回って今風漫画スローモーションをもう一度 加納梨衣名無しアプリで読んでたんですが再読したので。 こんなナウでヤングな漫画ほかにありますか? 一周回って今風オシャレですよこれは。 懐かしい〜って思える人は思えるし、新鮮と思う人は思う。 そして甘酸っぱい〜!! 令和前に昭和まで遡って恋愛する気持ちを思い起こせます!登場人物全部可愛い執事たちの沈黙 桜田雛きつつきなぜ気づかないのか、なぜよくみないのかといった疑問抜きにしてめちゃ面白いです。少女が好きそうなベタな展開が多いですが、嫌なところが1つもなくべったべたで安心しながら読めます(笑) 昼ドラ的な青春(泥沼)ストーリー虹、甘えてよ。 青木琴美たたみ※ネタバレを含むクチコミです。資産家JKの、年の差溺愛ラブ!宵の嫁入り 七尾美緒名無し多額の遺産を相続したJKが、イケメン弁護士に求愛されて結婚したものの、その裏には怪しい事情(?)が……というサスペンス風味で始まった恋愛ファンタジー。 少女漫画ではあまり見かけないレトロ和風系の世界観がなかなか面白い。 10億円の豪邸に取り憑いているモノノケが、今後花嫁をめぐって弁護士と対立していきそう。ネタバレありの感想スレ5時から9時まで 相原実貴名無し※ネタバレを含むクチコミです。 エロ可愛いDJは正義!(?)ハツコイ×アゲイン 華谷艶名無しゆるふわ愛され天然エロJDが、中学時代の初恋の元カレと再会し、焼け木杭に火がつく話。 第一話で再会から告白、さらに押し倒されるところまであっという間に進むあたり、今どきのスピーディーな恋愛モノという感じ。 とはいえ、いきなり両想いになるとその先の展開がスケールダウンしかねないのだが……(そこは寸止めでジレジレさせる方針らしい)明治時代のシンデレラストーリー金色ジャパネスク~横濱華恋譚~ 宮坂香帆名無し宮坂香帆先生の新連載。 明治時代、ハーフの女の子が息を潜めるように生きていたところに、お坊ちゃまなイケメンヒーローと出会うという王道なシンデレラストーリー。 しかし2人そろって川(?)に落ちて、ヒロインの髪が金髪に変わるシーンはとてもドラマチックだった。 (現実としてありえるのかは考えてはいけない)完璧な美男美女の甘すぎる恋愛コーヒー&バニラ 朱神宝名無し社長に見初められた超美人女子大生が、溺愛されていちゃラブ甘エロ生活を送る話。 とにかくヒロインが美人のくせにすれてなくてかわいい。 男性にとっても理想の天使として描かれている。 もちろんヒーローも女性にとって理想(?)なので、ある意味天上の神々のラブストーリーのようにも思える。 汚い俗世から離れて現実逃避したいときにお勧め。 「グラゼニ」アダチ先生の読切!残虐坊主 足立金太郎ちゃん画風と時代背景がよくマッチしていてすごく雰囲気が良かったです。残虐坊主が語る、嘘か真かわからない恐ろしい話にどんどん引き込まれ、三吉の末路は予想外すぎてゾッとしました。 自分の理解が足りないため、末男・卍丸が結局どういう存在だったのか全く掴めぬままなのが残念です…。(本当にただの豪胆な子どもだっただけなのか、何かの象徴とか暗喩なのか…)ケモミミ男装少女の復讐譚!王の獣~掩蔽のアルカナ~ 藤間麗名無し藤間麗先生の新連載。 ケモミミ男装少女が皇子の守護者として、弟の仇を討つ話。 人間と獣人というテンプレートながら壮大な世界観の中で、主人公のポジションや目的が分かりやすく描かれている。 特に仕える皇子(ヒーロー)が仇ではないとすぐに判明するのは、ストレスフリーでよいのではないかと。なぜこの作品がこんなに売れているのか?恋と弾丸 箕野希望名無しヤクザの若頭×女子大生という、現実にはなかなかありえないハードな恋愛物。 ものすごく売れているらしいけれど、どこが人気の要素なのか考えてみた。 まずはエロシーンが濃厚なこと(?) あとはケータイ小説的な分かりやすい萌え(?)があるような気がする。 悪い男に溺愛されたいという女子の夢(?)が詰まっている(?) ……と、現状?だらけなのだが、チーズ本誌で連載開始したので追いかけてみたい。 平成最後の高橋留美子劇場 #読切応援きみはNo.1 高橋留美子名無し主人公はセールスマンの仕事をしていたが気が弱いので成績が振るわず上司にも嫌われ仕事を辞めることに。再就職したのは高齢者の話し相手となり心のデトックスサービスをする仕事だった。根っからの性格が受け身なので利用者からの評判も上々。まさに天職ともいえる環境で出会ったのが、パワハラ気質の元上司に似ているお得意様の北川様とその娘だった。 読み返すとタイトルが秀逸なことに気づきました。あの絶叫はある意味プロポーズだと思います。笑洋菓子から転向!下町と修行と人情とあんどーなつ 江戸和菓子職人物語 テリー山本 西ゆうじたか「パティシエールを目指していた女の子が、和菓子職人の弟子になる物語。「そんなん面白いに決まってんじゃん…!」と読んだら、案の定面白かった! (違う世界に挑戦する話が大好きなんです…Real Clothes、スピナマラダ!、空手小公子 小日向海流みたいな) まずこの絵柄がいい! キラキラした少女漫画やシュッとした少年漫画じゃ出せない「素朴さと温かみ」が下町の義理人情を引き立ててたまらない。 そして職人の在り方・心構えをガッツリ丁寧に描いてるところがいい! 和菓子を作るには、材料から日本の四季と文化に精通しなくてはならない。よって親方や女将さんがなっちゃんを育てるために、あれやこれや手を尽くすし、なっちゃんも期待に応えるために真剣に努力する。 店には親方、兄弟子、店を取り仕切る女将さんがいて、和菓子の道を極めるうえで主人公彼らとは「師弟関係」という線引きがある。 尊敬と愛情で繋がる「親しいが馴れ馴れしさはない」、職人の世界の人間関係がすごくよかったです。 そして何より、全く道の厳しい世界でもヘコたれない、主人公の真っ直ぐな心とタフな根性が読んでいて気持ちがいい! こういう子好きです。 何も知らずに読み進めていたところ、20巻のあとがきで衝撃を受けました。 作者の方がご病気で逝去されており、その遺志を継いで未完のまま完結させるというお知らせでした。 アメリカから来た新しい弟子となっちゃんの関係がどう決着するのか本当にワクワクして読んでいただけに、「ここでなっちゃんの世界は終わり」といきなり知らされショックで呆然としました…。 未完ではありますが、作中の下町人情や美味しそうなお菓子、日本の伝統文化は本当に最高。 最初から未完であると知ったうえで楽しんで読んでほしい名作です!すべての趣味はドラッグである刑務所の前 花輪和一(とりあえず)名無し※ネタバレを含むクチコミです。 ラッキースケベと相反しながら共存する男の理想てのひらにアイを! ムラタコウジ名無し※ネタバレを含むクチコミです。ラブコメでありラブシリアスな傑作初恋ゾンビ 峰浪りょうふな平成を代表するラブコメ漫画。ニヤニヤ無しでは読めない展開で読者を悶絶させたかと思えば、キャラの悲しさや苦しさがダイレクトに読み手に伝わるような心に迫ってくるシリアスな展開は、見事と言うしかない。作中で少しずつ育っていく、幼馴染の恋は必見……!<<155156157158159>>
星野之宣の短篇連作といえば、『2001夜物語』がまず思い浮かびます。ハードSFマインドをリーダブルで感動的な物語に詰め込んでいて、本当に素晴らしい大名作です。(SFっぽいセンスで描かれた漫画は多いのですが、星野之宣は折り目正しい「ハードSF」なんですよね、それがすごい) でも、個人的に思い入れが強いのは、ヤングジャンプに連載されていた『妖女伝説』! SFはもちろん史劇や伝奇など手を変え品を変えた多様なテーマを、実に平明で丁寧なドラマに織り込んで、しかもそれを、あの無類に「端正」な絵柄で見せてくれる。 良質、ハイ・クオリティー、佳品…そういう表現が本当にぴったり。 短篇漫画を読む悦びを、これだけビンビンに感じさせてくれる作品集はないです。 自分は十代の中頃に、この作品を何度も読み返すことで、「物語感覚」のようなものを学ばせていただきました。 その「感覚」は一生の宝物だと思っています。