まみこ
まみこ
1年以上前
ラストは、2010年3月の六本木のライヴハウス。 …え?お前らメンバー、1980年12月8日何してたの?分かってるんだから、何があってもニューヨークに渡って、全力で止めろよ! 久しぶりに読み返したのですが、これ、原作者、ビートルズはおろか、音楽とか歴史とか全然好きじゃないですね。単に舞台装置として、1962年のビートルズを使っているだけでしょう。 実際、10巻(最終巻)の原作者の後書きを読むと、それの直接的な記述はないにせよ、露骨に分かってしまって、うむーん、と言う感じです。 …とは言え、今考えると1962年のビートルズに会って、何が言えるんでしょうね?物語の主人公、ショウ(ジョージ・ハリソン役)が、ジョージ・ハリソンに向かって「友達付き合いは考えてくれ、嫁さん盗られるぞ」って言ったら、かの名曲「いとしのレイラ」も「ワンダフル・トゥナイト」も生まれなかった訳ですし。 何でこう言う事書いたかって言うと、2023年10月に、ローリング・ストーンズの曲で、ポール・マッカートニーがベース弾いていて、それがモロに、1962年の荒削りのロックン・ロールだったからですね!これが214曲目だったら、どんなに幸せだったでしょう。 https://youtu.be/s_yZWjnip6w (以下、わかるが付くたび、コメント欄にビートルズのトリビアを書きます)
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
よしながふみさんの円熟味、精髄をたっぷりと堪能することができる連作短編です。 https://shueisha.online/entertainment/167862 上記のインタビューによると16年前から構想はあったものの、『大奥』と『きのう何食べた?』の2本の長期連載があったため、集英社のラブコールを保留し続けてようやく始まったというこの連載作。 「環(たまき)」と「周(あまね)」。 どちらも円の意味を持ち、古来から男女どちらでも使えるふたつの名前。本作はタイトル通り、すべて時代や性別や関係性は異なれど「周」と「環」という名前を持つふたりを中心にした物語を描いた連作短編です。 よしながふみさんらしく、時代や設定を変えてさまざまな形での人と人との絆が抒情性豊かに綴られていきます。中学生の女の子同士がキスをするシーンから始まるのも、とてもらしさが出ています。 上記のインタビューでも触れられている通り、当たり前の男女のすれ違いを描くだけではなく会話が成立しているけれど上手くいかない部分であったり、希望も絶望も同居しているさまであったり、人間が生きる世界の片隅にあるリアルを鋭敏な感覚と卓抜した手腕で的確に切り取り料理して提示してくれます。さりげないシーンであっても、ひとつひとつのセリフや表情、間に宿る重みに良さが溢れています。 人の裡にあるものは誰にもわからない。周りからどんな風に見えていようと、いかに恵まれた環境にあろうと、そこで抱えている芯にあるものは当の本人にしかわからない。その、当たり前のようで忘れがちなことが切々と語られているところは沁みます。 もし今までよしながふみ作品を読んだことがないという方でも、令和の今お薦めする最初の入門の1冊としても申し分ありません。生きていることに、生きていくことにこの1冊から勇気をもらえる方は必ずいることでしょう。