まるまる
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2021/02/26
なぜ「いじめ」はこんなに長く続いているのか?
五十嵐かおる先生の言わずとしれた代表作「いじめ」シリーズ。1話完結のオムニバスです。2021年2月現在、17巻も出てるうえに、いまだに連載が続いていることに驚愕。今更ながら読んでみたいと思いつつ、17冊買うのはなかなか勇気がいる。そこで、1巻と最新17巻のみ、とりあえず読んでみることにしました。 ストーリーの基本的な構成としては ・女子生徒から女子生徒へのいじめ ・視点はいじめ側、いじめられ側、いじめリーダー格に逆らえない立場側など様々 ・最終的には同級生や近い年齢の女生徒が味方についていじめから抜け出す という感じ。 共通しているメッセージとしては「ひとりじゃない。きっと誰かが味方になってくれるから諦めないで」というものだと思います(多分)。 1巻と17巻を読んで比べた結果、ほとんど内容は同じであることがわかりました。16年続いてても変わらないって色んな意味ですごい。 私はちゃお読者ではないし、対象年齢からははるかにかけ離れているのでなんとも言えませんが、この漫画が16年も同じような内容で続いていて、そしてきっとこれからも続いていく。その意味ってなんなんでしょうか。 確実なことは、対象者は女子小学生なのでその子達が「読みたくない」ものではいけない。したがって、悪は粛正され、正義は勝たなくてはいけない。だとすると、中にはこの漫画を完全フィクションの勧善懲悪エンタメとして楽しんでいる人もたくさんいるのでは。しかし現実はそう簡単ではなく、いじめ問題の根は深く複雑で、むしろいじめる側にこそケアが必要な場合もあるけれど…。 他の巻も読めば、男子が主人公だったり、親や教師がもっと介入してきたり、いじめる側の心の病に焦点を当てるエピソードもあるんだろうか?いや、無さそう。 ちょっと調べてみたところ、結構教材として使われていることがあるみたいです。なるほど。そう考えると、余計にもっとバリエーションを増やしたほうがいいんじゃないかと思ってしまうな。うーん。 漫画にいじめをなくす力はなくても、いじめられている子の心を少しでも救うことはできる。それを続けることにはとても大きな意味があるということですかね。 (あえてここでは続く理由は「売れるから」とは言わないでおきますよ。)
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2021/02/03
ネタバレ
バッドエンドか、ハッピーエンドか、どっちだろう?
ひとりの少女が、自らの運命に翻弄され、悪い大人に良いように利用され、大切な人が傷つき、幾度も幾度もつらい思いを経験する。なんで碧穂ばっかりこんな目に合わなきゃならないんだ!読んでる方もつらすぎる。最後は絶対幸せになってなきゃだめだよ… しかし物語も終盤、碧穂は自らの死をもってすべてを終わりにする決意をする。そんなのは嫌だ!碧穂が幸せになる未来はきっとくるって信じてたのに… そして何もかもをふっとばす衝撃的なあのラスト。 碧穂はボーイフレンドの康太朗の命を救うために持っているすべての力を使って、時を1年戻してしまった。 それですべてが元通り…になるのではなく、康太朗だけは記憶も体も元のまま。これ、ハッピーエンドに見せかけたバッドエンドじゃないだろうか…? あの終わり方、康太朗だけが、碧穂が普通の人間である世界線に飛ばされたようにもみえます。もしそうなら最悪のバッドエンド。しかしそうではないということが読めばわかります。なのでハッピーエンドともいえます。 ただあの1年時が戻った世界は、康太朗がかつて生きていた世界とは、全く違う世界なんじゃないですかね。康太朗が好きだった碧穂とは、別の人間なんじゃないですかね。捉え方によっては、実は恐ろしいラストだとおもいます。
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2021/01/10
「きんぎょ注意報!」を読んでわかったこと。
アニメの印象が強いので、きんぎょ注意報!といえば「わぴこ」と「ぎょぴちゃん」がメインキャラクターだった記憶でしたが、漫画はどんなんだろうと思って読んでみると、案外ふたりともそこまで前に出てくる感じではないんですね。わぴこが主人公であることには違いないですけど、少女漫画のヒロインとしての役割を果たしているかというと、全く果たしていません(それがダメという事はない)。田舎者の自然児、動物と遊ぶことしか頭にないおバカだけど、千歳を思う気持ちは人一倍強く、ここぞというときに驚異的な記憶力を発揮する。そんないい設定がありながら、全体的に千歳が目立つ話が多い。ヒロインと呼ぶには千歳の方が相応しい気もしてくる。 ぎょぴちゃんも、その辺にただ浮遊していることが多いです。むしろ牛とかの方が目立ってますね。これは意外でした。 なかよしを代表する作品だと思ってましたが、当時の評判としてはどうだったんでしょう?葵と秀ちゃんは不良と優等生という対照的で魅力的なかっこいい男子。読者には人気も高かったんじゃないでしょうか。そういうキャラクターもちゃんと居るけど、恋愛模様はほぼほぼないに等しい。終わり方も、最終話らしい最終話でもなかったし、きんぎょ注意報としてはそれで良しなのか、それとももう少し続く予定だったけど終わってしまったのか。気になってしまいました。
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2020/10/29
ネタバレ
この漫画で描くのは「大人の恋」ではなく「人の生き方」 #完結応援
今月号のココハナ読んだら番外編が載っていて、本編知らなくてもすごく面白かったので本編の方も読んでみました。最終10巻に載る予定の最終回まで。 タイトルとカバーだけでは「パンと恋愛の話」という印象だけだったんですが、ちょっとこれは正直、想像を絶するというか、「生きるとは」みたいな話にも通じるような物語だったんです。この漫画で描くのは「大人の男女の恋」じゃない。本作を読んだだけでわかる。芦原妃名子という漫画家は凄いです。 "出会って二日目で婚約者になっちゃった!?"という恋愛漫画としての掴みはバッチリなのに、9巻でもふたり関係性はほぼ変わってない。そんなことある?本当だったら読者の「キュン」をせめて1冊に1回は入れるものなのでは?でもそんな考えはこの漫画の前では意味をなさないんですね。「そんなことより」なんですよ。すれ違ってもすれ違っても、逃げずに向き合って、会話を重ねて、少しずつ理解し合っていく。この過程を追うのが本作の醍醐味。 主人公ふたりに限らず、登場人物はみんないつも頭で考えて行動してる。その場の感情に任せて動いたことは殆どないんじゃないかな。 人のどうしようもなく不器用な部分や、諦め悪く心のどこかでしがみついてしまうところ、「好き」だけじゃない人と人が一緒にいる意味、何歳だろうと成長を諦めないこと、30代以上のひとがこれから生きていく上でのしかかってくる責任とか覚悟を、これでもかと時間をかけて丁寧に描き出してます。 柚季が最初から最後まで貫き通したポリシーである「一緒に毎日おいしいご飯を食べたい」というもの。結婚の条件としてもものすごく大事な要素だと思いますが、結婚とか関係なしに、毎日美味しいものを美味しいと思いながら生きる人生は理想であると、この漫画を読んで改めて噛み締めたのでした。 芦原妃名子先生の次回作、心よりお待ちしております…!